彼女



英二に彼女ができたらしい。

そう、不二は聞いた。情報源は意外なことに、河村だ。
「タカさん、そういう話好きだったの?」と不二は聞いた。
いや、そういうわけでもないんだけど・・・と、彼は答える。
どうやら、知ろうと思って知ったわけではなく、偶然知ってしまうことになったとか。
はやい話、「本人」が言いふらしているのだ。

「小柄で可愛くて、小動物みたいなかんじだって。」と河村。
「へぇ。じゃあ英二と”おそろい”でピッタリだね。」と不二は答えた。
それから必然的に、メンバーの恋人の話になっていく。

「大石の彼女は知ってる。髪が長くて、背の高めな美人でしょ?」と不二。
「そういえば、海堂も彼女出来たらしいね。」と河村。
「海堂、まわりから怖いとか言われてるけど、彼女いたんだ。」と言って、
不二は笑った。
この2人は、そういう「噂」の類はあまり好きではなかったが、知っているものは知っていた。

ふいに不二は、ズバリと聞く。
「タカさんは?」
「え?」
「彼女。」
「いないよー。オレ、もてないから。」
そう河村は答えたが、そうかな〜と不二はつぶやいた。

ここで話は急に切り替わる。
「手塚って、恋人いるのかな。」と不二は言う。
え〜と、どうだろう、と河村は頭をひねらせた。
そんな彼の後ろから、乾がやってくるのが見えたので、不二は、いきなり一方的に話しだす。

「手塚ってさぁ、真面目だから、テニスの他は勉強のことしか頭にないと思う、僕は。」
「ああ、そうかもね。」と河村。
「だから”恋人”も、勉強好きの人がいいよね?」
「まぁ、そうかな。」と河村。
「何かさ、人の一言(いちげん)たりとも聞き逃すまいっていう感じの。」
「?そうかなぁ・・?」と河村。
「手塚と話しながらも、重要なところメモとったりなんかしちゃって。」
「・・・・??」もう河村は、相槌が打てない。

乾が、2人に分からないようにこっそりと去っていったので、不二は話すのをやめた。

***

後日、乾は部長が話している最中、あまりノートを取らないようになったのだが、
それを見て不二は、
「乾、何遠慮してるんだろう。僕、応援してるのに。」と思っていた。

END



これ、ギャグかもしれない・・・^^