半熟

***

〜ドクターリッテルの、お悩み相談劇場〜

※リッテルは精神科医ではありませんが、悩み多き憲兵たちを救う為、
悩み相談を引き受けることになりました。

リッテル「次の方、どうぞ。」
青年「あ、はい。よろしくお願いします。」
リッテル「私の席からは君の顔は見えないし、声も変えてあるので、
私は君が、どこの隊の誰かってことは、分かりません。
だから心配せずに、何でも相談して下さい。
もちろん、秘密は厳守します。」
青年「ありがとうございます。」

リッテル「で、君の悩みというのは何でしょう?」
青年「はい。実を言いますと、恋の悩みなのですが・・・。」
リッテル「恋、ですか。うぅん、実は、私のあまり得意な方面では
ないのですが・・・聞きましょう。」
青年「自分には現在、好きなひとがいるんです。」
リッテル(”自分”?)
青年「でも相手は、全然手の届かないような方で・・・・。」
リッテル「・・・はい。」
青年「しかも、尊敬している先輩も、同じ人が好きだって言うんです。」
リッテル「・・・あぁ、そう・・・」
青年「それで、その先輩と抜け駆けは無しですよって約束したんですけどね。」
リッテル「あー、はい。」
青年「先日、先輩とその好きなひとが、デートしているのを、見てしまったんです!」
リッテル「待てエドワルド、私は抜け駆けなどしていない!」

思わず立ち上がってしまう、軍医の青年。
それを、横から見ていた”監督”の、シルバーは言う。
「こらお前ら、興奮して席を立つな。意味がないだろう。」
リッテルとエドワルドは我に返って顔を見合わせ、それから隊長の方を見た。

リッテル「あ、あぁ・・・すみません。」
エドワルド「申し訳ありませんでした。」

リッテルは精神科医では無いのだが、悩み多き憲兵たちを救う為、
悩み相談を引き受けることになり。
第3小隊内で予行演習を行ってみたのだが、いきなりの失敗である。

シルバー「それにしても、ボソボソ喋っていたから聞こえなかったが、
一体何の話題で、そんなにいきり立ったのだ?
お前たちも、まだまだ若いのだな。」

恋の話題には、冷静になることなど出来ない。
それなりに歳は重ねていても、未だヒヨッコ。

<了>

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