Sweet Oscar


麗しのオスカーお姉様  2.5




オスカーは執務室の机の上に組み敷かれたままだ。組み敷いているのはオリヴィエ。それほど力が強いと言うわけでもない。女になったとは言え、まだ大剣を振り回す腕力は残っているのだ。本気を出せば振り払うことも出来るはずだ、と彼、いや彼女は思った。
ああ、それなのに。オリヴィエの濃厚なキスに、すっかり体が準備オッケーになってしまったオスカーであった。
「ほんとに綺麗だ、オスカー。私も男だからね、その気になる時はなるんだよ。いいかい、健康な男性ならみんなこんな気になるんだよ、今のあんたを見れば。」
「オ、オリヴィエ、おまえ、まさか……」
「そのまさか、だよ。もう止まらないからね、恨むならその美貌を恨むんだね。」
そう言うと、オリヴィエはもう一度オスカーさまの唇に口づける。その濃厚なキスは、オリヴィエが思いも寄らぬテクニシャンであることを想像させるに十分だったのだ。
「んん………んふッ……はっ……あ、ん……や、やめ……っ…」
オリヴィエは充分オスカーの舌を味わい尽くすと、その唇と舌を、体の方に移動させる。
首筋、鎖骨、そして胸の両側にたわわに実ったその形のいい果実に到達すると、その挑発的な下着の留め金を器用に外し、その実を味わい始めた。
「あぁっ!……何をするんだ、オリヴィ……あ、や、やめ……あ…は……」
オスカーはもちろん抵抗はした。だが今は体だけでなく心もどんどん女に近づいているらしい。ぞくぞくとした何かが体の中心を突き抜けて、頭のどこかをとろけさせつつ更にどこか別のところが熱を持ってきたのを感じないわけにはいかなかった。
「うん、いい声だね、オスカーちゃん。ほら、ここ、濡れてきたでしょ?」
オスカーの体はびくん、と大きく跳ねた。いきなりオリヴィエが、そのレースのついた細い布地の上からオスカーの熱くなってきた場所に触れて来たからだ。
「ああっ!」
「大丈夫、怖くないよ。私、こう見えても…まあ、あんたにゃ負けるだろうけど、それなりに女性を相手にしてきたからね。初めてでも大丈夫。」
まるで内装生理用品の宣伝文句のようなことを言いながら、オリヴィエはそっと、その場所を覆っている細い布地を下ろしていく。そしてそれを器用に足から抜き取ると、そっと、その尖り始めた先端を指で押したり軽くつまんだりしはじめた。
「ひぁっ!……あぁ……っ、やめてくれっ、オリヴィエ……ああ、やめっ……ふ…ん、ああ、や、…い……い…あ…んん……」
いつの間にか、オスカーは自分で少しずつ腰を揺らし始めた。頭のどこかで、そう言う自分を(ヤバい)と思っているにはいるのだが、もう体の方が止まりそうもない。
「すごく色っぽいよ、オスカーちゃん。男の方のあんたに、今のあんたを見せてあげたいよ……もう、絶対……ああ、私もこんな美人を抱くのは初めてなんだ。ほんと、嬉しいねえ。ああ、濡れて来たね。うん…大丈夫、痛くないように充分潤ってからにするからね。なんてったって、ここは初めてだもんね、あんた。」
そう言いながらオリヴィエは、くちゅくちゅと音を立ててオスカーのそのピンクの薔薇の花びらのような場所を揉みしだき始める。
「あ……は、ああ、もう……っ、やめっ…ふぁっ…!」
「あらあら、やめちゃっていいの?ここをこのままにしておく方がよっぽど罪だと思うけど?やめてみる?」
そう言って、オリヴィエはぴたっと指の動きを止める。
「どう?オスカーちゃん。このままやめちゃう?」
オリヴィエはそう言って意地悪そうにニヤっと笑いながら、オスカーの潤みきったアイスブルーの瞳を見下ろす。頬も赤く染まって本当に可愛い。オリヴィエももちろん今やめられたら本当にヤバい。だけど攻側の常として、ここは強気に出てみた。落とす自信は十二分にあるのだ。
突然止められた方のオスカーは、困惑した。『やめて』は女性の常套句だ。そんなことは星の数ほど女性を落として来たオスカー自身が一番良く知っている。ほんとにやめて欲しいのかそうでないのかは今ののぼせた頭でだって見分けがつく。

…困ったことに、自分がやめて欲しい方でないことも。

「どうする?……ん?」
オリヴィエはその青い瞳でオスカーを見つめる。ヤバい、こいつ結構色男じゃないか。と組み敷かれたままのオスカーは思った。……この男になら、あげてもいいかも……と思ってしまってから、自分の心に突っ込みを入れる。
『あげてもいい……って、…何をだーーーーっ!』
オリヴィエはそんなオスカーをお見通しのように言った。
「あんたのヴァージンを頂くよ。このままあんたが他の守護聖にヤられちゃうのを黙って見ているのなんて、私には出来ないからね。いいね?」
オリヴィエが思い切り低音でそう耳元で呟く。なんて声だ。こいつ、こんな声が出せるんじゃないか。畜生、いつものあの極楽鳥の雄叫びみたいな声はいったい何なんだ。
オスカーはそう思いながら、耳元で囁かれた甘い溜息のようなハスキーヴォイスにもうすっかりトロトロになっているようだった。
「あっ……ん、い……い、痛ッ!」
いきなり…でもないのだがオスカーのすっかり濡れそぼったそこに、オリヴィエの指がゆっくりと入って来た。もう片方の手では相変わらず前の突起あたりを弄びつつ、片手ではチュクチュクと音を立てながら用心深く中を探っていく。だが彼の長い爪が内壁を傷つけそうな気がして、不安で堪らない。
「オ…リ……ヴィエ……っ、おまえ、爪が……や、やめてくれ、やっ……っ」
「……ごめん、やっぱり痛いか。でも傷つけないように慎重にやるからさ、もう少し我慢して。いいね、オスカー?」
相変わらず結構セクシーな低音でそう囁きながら、オリヴィエの指がオスカーの固くすぼまった蜜壷を次第にほぐしてゆく。オスカーは小さく喘ぎながら、体から少しずつ力が抜けていくのに気付かないわけには行かなかった。

「もういいよね、ごめんね、ちょっと痛いかも。」
「えっ……?あっ!」
そのとき、オスカーの体を割って、みしみしと何かが入って来た。
「あっ、あっ………」
その痛みを伴う、充溢感。オスカーの頭の中がぐるぐると回る。
「い、痛……っ、ああ、あぁ…っ!」
「ごめん、オスカー、もう少し我慢して!」
オリヴィエは、オスカーの美しい曲線を描く腰を持ち上げてゆっくりと動く。
「ああ、は、んっ…ん、はぁ…っ」
「いいよ、オスカー。あんたって、ほんといいよ。すっごく綺麗だし……っ」
「ん、あ、は……っ……んん…っ、オ…リ…ヴィエ…っ…」
いつの間にか、オスカーはオリヴィエの動きに合わせて小さく腰を動かしている。こういうときはむしろ動いたほうが痛さが緩和されると言うようなことを聞いたことがある。幸か不幸か、そう言う知識は豊富なオスカーなのであった。

しばらくそんな状態のまま、オスカーはいつの間にか快楽の波に体を漂わせていると、
「そう、上手じゃない、オスカー…っ……ん、ちょっと、私もう、…」
「はっ……んん……な、なに…?…ま、まさかっ……おまえッ…ひぅ…っ」
「もうダメ、……悪いね、だいじょぶだよね、中でも…」
「な、中って……ああ、や、ダメ……っ、あ、ああっ……」
オリヴィエはオスカーに深く突き入れると同時にフィニッシュを迎えた。
「ん……んっ……くっ…」
「あ、あぁ……っ、俺っ……い、イくっ……」
そして、オスカーの体は美しい曲線を描いたまま大きく仰け反った。

「オ、オリヴィエ、……おまえ、…い、いくらなんでもっ……」
「ごめんごめん、あんまり気持ちがいいんで、つい…ね。」
「つい、で済むかっ!」
「あはは、大丈夫だよ、いくらなんでも子供は出来ないって。」
「ばっ…、馬鹿!だいたい、俺は……いやだって…言ったのに……。」
そう言いながら、オスカーは頬を濡らす涙に気がつく。何なんだ、俺が何故こんなことくらいで泣かなきゃならないんだ。
「うん、本当にさ、よかったんだ、あんた。ねえ、正直に言ってよ、オスカー、私のこと、嫌い?気持ち良くなかった?」
オリヴィエは真剣な目でオスカーを見つめながらそう言う。
「……き、嫌いじゃないがな…けど…」
「私とのセックス、厭だった?」
「………い……いや、別に…その…」
「少しは気持ちいいって、思った?そう言えば、あんた、ちゃんとイけたよね?」
オスカーはぐっと口篭もる。確かにオスカーは絶頂感を感じたのだ。

「……す、少しは……な。」
「ふふ、良かった。」
そう言ってにっこり笑うオリヴィエの顔は、ほとんど素顔だった。
『結構……いい男じゃないか……』
オスカーは口惜しいながらも、そんな彼にときめきを感じないわけには行かなかったのだった。