「キャメル」

最近複葉機しか描いていない気もしますが、WW1期のイギリス、ひいては連合軍機を代表する傑作戦闘機、ソッピースF.1キャメルです。
前回のSE.5aがWW1らしからぬボンテージ姿だったことを反省し、優雅な(?)ドレス姿で再現してみました。当初案ではF1ロータス・ホンダ/キャメルカラーを前面に出したレースクイーン姿だったのですが(笑)
なお盾(ヒーターシールド)の図案は、紋章学に従ったものではなく、適当にでっち上げたものです。ヒストリカルではもちろんないので、ご注意を(爆)


ソッピースF.1キャメル

ソッピース・キャメルは、R.A.F.SE.5と対として挙げられる戦闘機です。配備時期も配備数もほぼ同等、そして戦果まで二分するイギリスの傑作戦闘機です。
しかしキャメルとSE.5の共通点はここまでです。SE.5は操縦が容易で安定性も抜群だったのに対し、キャメルはその強力なエンジントルクに起因する首振りの影響から、錐揉みに陥りやすく、かつその状態からの復帰も容易ではありませんでした。しかしこの首振りの癖は、格闘戦においては非常に強い味方となったのです。すなわちエンジントルクを利用した旋回は、ドイツ軍機には真似のできない小さな半径での旋回性能をキャメルに与え、それゆえ連合軍最強のドッグファイターと成したのです。その強い癖から、パイロットを選ぶ機体ではありましたが、それゆえキャメルは素晴らしいドイツ機キラーとなったのです。
キャメルのエンジンは、クラーゲット9B空冷9気筒であり、130馬力の出力でした。これはSE.5の200馬力と比べると貧弱に感じますが、重量が軽くすむ空冷エンジンの構造により、総重量で300kg近く軽量となっており、この面からもキャメルが格闘戦に強かった理由がうかがい知れます。
武装はビッカースMk1 7.7mm機銃2丁を機首カウリング上面に装備していました。そしてこの機銃のカバーをラクダのコブに見立て、キャメルという愛称がついたのです。



参考文献
CHARTWELL BOOKS,INC刊 Enzo Angelucci著 「The Illustrated Ecyclopedia of Military Aircraft」
Patrick Stephens Limited刊 R Wallace Clark著 「BRITISH AIRCRAFT ARMAMENT VOLUME2: RAF GUNS AND GUNSIGHTS FROM 1914 TO THE PRESENT DAY」
グリーンアロー出版社刊 野原茂著 【図解】世界の軍用機史11「世界のレシプロ軍用機集 1909〜1945」
酣燈社刊 別冊航空情報 「名機100 増補改訂版」
東京美術刊 フランツ・S・マイヤー著 毛利登約/編 「装飾デザイン辞典」


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