「FIREBIRDS」
2005年の寒中お見舞いとして、リンクしている皆様にお送りしたイラストです。
イギリス機が好きだと言いつつ、これまでライトニングはまともに描いていなかったので、ここ一発奮起して描きました。1963年にイギリス空軍公式デモンストレーションチームとなった、第56戦闘機飛行隊「FIREBIRDS」からライトニングMk.F.1Aです。
ややくすんだ鈍い反射の胴体ベアメタル部と、ピカピカの耐熱スチールの機首・尾部ベアメタル部とで、異なる質感を表現するのに苦労した一枚です。ほんとはもっと蒼空の青を反射した色にしたかったです(笑)
あと構図中に2機の機体を入れ、動的なイメージを持たせるように意図した絵でもあります。やはり1機ぽつんと描くよりも、イマジネーションが広がるのですが、手間が2倍・・・おかげで時間ばかりかかった一枚でもあります。
とまあ苦労はさておき、絵としてはちょっと失敗です。ライトニングの主翼の後退角は60度ですので、手前のライトニングは明らかに後退角不足。それと機首の対空ミサイル「ファイアストリーク」を描き忘れたのが痛恨です。当初デモフライトにミサイルはつけないだろうと思っていたのですが、後に写真を見返してみると、全ての写真でファイアストリークをつけているではありませんか! やられました(爆)
イングリッシュ・エレクトリック(EE)ライトニング F.Mk.1A
ライトニングは、イギリスが独力で開発した、最初で最後の超音速戦闘機です。ギリギリまで絞り込まれた胴体、後退角60度という破格の後退角を有する主翼、エンジン2機を胴体上下2段に配置する独特の形状、これらによりライトニングは、他の戦闘機に類を見ない、非常にユニークな戦闘機となっています。
ライトニングの原型機(超音速実験機)P.1Aは、1954年8月4日に初飛行し、初飛行で音速を超える(マッハ1.02)と言う快挙成し遂げます。そして開発テスト用のP.1Bを経て、1956年11月ライトニングMk.F.1として制式採用されます。
イラストのライトニングMk.F.1Aは、Mk.F.1の改修型で、エンジンをそれまでのロールスロイス・エイボン200Rから210Rにアップグレードし、あまりに短い航続距離を補うために、着脱式の空中給油プローブを装備可能に改修されておりました。またエンジンの熱からケーブル類を守るため、機体下部にケーブルダクトを増設しているのも特徴です。
ライトニングは当時としては推力重量比に余裕があり、また比較的翼面積が大きかったことから、当時のマッハ2級の戦闘機に対し、ダッシュ力と旋回性能に優れていました。しかしあまりに短い航続距離と搭載武装の少なさが災いし、イギリス本国以外で本機を使用した国は、サウジアラビアとクェートにとどまり、決して成功した飛行機とは言えませんでした。
参考文献
文林堂 世界の傑作機No.80「E.E./BAC ライトニング」
文林堂 野茂茂著 世界の傑作機別冊「世界のジェット戦闘機」