「東海陸上哨戒機」


米潜水艦トライデント号のクライム艦長は罵声をあげた。
潜望鏡深度に浮上し、潜望鏡を出した瞬間、レーダーが航空機の存在を告げたのだ。
逆探に反応はなかった。にも関わらず、その航空機は緊急潜行する彼の潜水艦を発見し、爆雷を投下したのである。
なぜ見つかったのか、彼には判らなかった。
そして3回目の爆音と共に、トライデント号の耐圧隔壁が破壊される音を聞いた。

終戦まで米軍は、日本軍の対潜水艦用磁気探知儀の存在と、
それを搭載していた東海の情報を得ることができなかったのである。
(フィクション)



 九州(渡辺)陸上哨戒機Q1W1「東海」は、世界初の対潜哨戒機として設計・製作された機体です。昭和19年10月より就役し、視界に優れる多面体風防、10時間を超える長大な巡航時間、三式空六号無線電信機(レーダー)及び三式一号探信儀(対潜磁器探知機)の標準装備等の特徴がありました。巡航速度222km/h、最大速度332km/hという低速のため、制空権を失った状態ではその性能を生かし切れず、また生産数も153機とあまりに少なすぎ、大きな武勲を立てることなく終戦を迎えました。
 このCGは、「晴天社電氣軌道晴天社駅」を運営なさっている晴天社駅駅長さんに、HP9000ヒットのお祝いとしてお送りしたものです。

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