「ハリケーンMkUD/Trop」

 スーパーマリン・スピットファイアと並び、バトル・オブ・ブリテン勝利に大きく貢献した名作機、ホーカー・ハリケーンの登場です。ハリケーンは1935年11月に原型機飛行が行われた飛行機で、これはスピットファイアより4ヶ月早い飛行でした。ですがハリケーンの設計は、単葉機ながら複葉機と同じ鋼管羽布張り構造を採用するなど、旧来の手法を色濃く残していました。そのためスピットファイアと同じエンジンを積みながら、速度は56km/hも遅い504km/hにとどまることとなりました。その後量産に移り、エンジンもマーリン2型(1030馬力)に変わり、速度性能や安定性などが改善されました。
 ハリケーンの名前を不朽にしたのは、1940年8月からのバトル・オブ・ブリテンでした。ここではスピットファイアが護衛戦闘機を、ハリケーンが爆撃機を攻撃するように役割を分担し、その結果ハリケーンの総撃墜数はスピットファイアのそれを上回るという栄誉を得たのです。また旧来の鋼管羽布張りの機体は、性能的には不利でしたが生産性はすこぶる良好で、RAFが一定数の戦闘機をそろえることに貢献しています。
 絵中のMkUDは、エンジンをマーリン3型(1030馬力)に換装し、プロペラを金属3葉に変更したMk2の武装強化型です。Mk2Aの7.7mm機銃8門に対し、Mk2Dでは40mm機関砲2門(照準用7.7mm機銃2丁)に強化され、主に対地戦闘に使用されました。ですが翼下にポット式の40mmm砲をぶら下げたため、速度性能は430km/h台にまで低下してしまいました。Mk2D型は後のMk4型と並び、本格的地上攻撃機として、後継機タイフーン・テンペストの登場まで活躍しました。なおTropは、トロピカル(砂漠)仕様の略で、吸気口にエアフィルタを取り付けた型を言います。

 このイラストは、えるもさんが運営なさっている「CERAMICわぁるど」との相互リンク記念にお送りしたものです。


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