「凱旋」

 激しい攻防戦も終末を迎えようとしていた。今回の爆撃で、重要拠点であるテンガー、セレター、センバワン、カランの各飛行場はその機能を完全に停止し、ブラカンマチ、チャンギー両要塞の抵抗も排した。
 そしてクアルン飛行場に帰投する中、各員は勝利を確信していた。事実この日昭和17年2月15日19時、シンガポールの英軍は、帝国陸軍に無条件降伏したのである。(一部フィクション)

 今回は、久しぶりの陸軍機、大戦中地上支援機として活躍した川崎九九式双発軽爆撃機(キ-48T)です。金魚のように出っ張ったお腹(爆弾倉)がユーモラスで、かなり好きな飛行機です。
 九九双軽は、飛燕で有名な土井武夫技師が中心となり開発した軽爆撃機で、エンジンにハ-25(海軍名栄一二型。零戦のエンジンとしてあまりに有名)2機を用い、最高速度480km/h、最大爆弾搭載量400kgの性能を持っていました。また稼働率に優れ、実用性も十分備えており、大戦初期の快進撃の立て役者となりました。戦争中盤になると、その搭載量の少なさ、航続距離の短さが問題となりましたが、これに代わる有用な地上支援機の開発が遅れ、結局大戦全期を通して使用されました。エンジンをハ-115に換装し速度性能を505km/hに、爆弾搭載量を500kgに改良した二型と合わせ、1977機が製造されました。これは九七式重爆撃機に次ぐ、陸軍爆撃機の生産量でした。
 この絵は、「Fukarville Crossroad」の3000ヒット記念に、ふかふかさんにお送りした絵です。


[ Back ]