「五式戦闘機二型」

 対空絵画室6万ヒット記念に、「陸奥屋」を運営なさっている陸奥屋さんにお送りしたイラストです。巫女装束のいなは(通称M装備)と、旧日本陸軍の高々度戦闘機・川崎五式戦闘機二型です。
 試作3機のみで終わってしまった本機ですが、ここでは明野教導飛行師団所属機として描いてみました。


川崎五式戦闘機二型(キ100-II)

 川崎五式戦闘機は、同社の三式戦闘機「飛燕」の改良型と言える機体です。三式戦は、速度性能、高々度性能、急降下性能が傑出した機体でしたが、なにより扱いが難しい液冷エンジン機であったことが禍し、稼働率や生産性が非常に悪い飛行機となってしまいました。そこでエンジンを、扱い慣れた空冷エンジンに換装する計画が立てられました。こうして液冷のハ140から、空冷のハ112IIに換装した”空冷飛燕”が誕生したのです。この”空冷飛燕”は、最高速度こそ三式戦に劣りましたが、重量軽減により上昇力や運動性が増し、また信頼性の面では三式戦はおろか、四式戦(中島四式戦闘機)をも凌ぐ事となりました。こうして1945年2月、五式戦闘機一型として制式採用が決定しました。
 五式戦闘機二型は、高々度性能を増すため、エンジンを排気タービン付きのハ112-II-ルに換装した機体です。タービンを機体下部に設け、それに伴い潤滑油冷却器を機体下部右側に、またカウル上面にあった気化器インテイクを、左主翼付け根に移動するなどの変更点があります。
 1945年9月から量産開始の予定でしたが、戦争は8月に終結し、結局試作機3機のみの生産で終わっています。

 
参考文献
文林堂 世界の傑作機No23「陸軍5式戦闘機」
酣橙社 別冊航空情報「日本陸軍制式機大鑑」
グリンアロー出版社 野原茂著 図解世界の軍用機史6「日本陸軍軍用機集」
大日本絵画 ヘンリー・サカイダ著 梅本弘訳 世界の戦闘機エース6「日本陸軍航空隊のエース1937-1945」


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