Round.8 カナダ
18.Jun.2000 :ジル・ビルヌーブ・サーキット


◇予選グリッド

 ポールをとったのは、モナコに続いて連続ポールのフェラーリ・シューマッハー兄。2位にはマクラーレン・クルサードがつけます。3位はフェラーリ・バリチェロ、4位にマクラーレン・ハッキネンとなります。ハッキネンは、序盤で見せた予選での速さが薄れており、スランプという感じです。その下は5位ジョーダン・フレンツェン、6位BARホンダ・ビルヌーブ、7位ジョーダン・トゥルーリ、8位BARホンダ・ゾンタと、ホンダパワーが3列4列目を独占する事になりました。9位は好調アロウズ・デ・ラ・ロサ、10位ベネトン・フィジケラのトップ10となりました。


◇決勝

 スタート前のフォーメーションラップ。このスタート直前、マクラーレン・クルサードがエンストを起こしましたが、間一髪エンジンを起動しラップを開始します(ですがこのエンストが後に大きな問題となるのです)。
 例年スタート直後に大きなトラブルが発生するカナダですが、今年は大きなトラブルなくスタート、そして第一コーナーとクリアしていきます。スタートでは母国グランプリであるBARホンダ・ビルヌーブが好スタートを決め、6位から3位にジャンプアップ、またアロウズ・デ・ラ・ロサも9位から7位へ順位を上げます。  序盤最も注目を集めたドライバーがデ・ラ・ロサかも知れません。2周目、ペースの上がらないジョーダン・フレンツェンをヘアピンでパス、その後3位ビルヌーブの先導で数珠つなぎになっている5位マクラーレン・ハッキネンへ肉薄するのです。この状況は、デ・ラ・ロサが給油のためピットに向かう21周まで続きます。タンクが軽い(デ・ラ・ロサは2ストップ作戦でした)とはいえ、マクラーレンのペースについていくパフォーマンスには驚くばかりです。
 1位フェラーリ・シューマッハー兄と2位マクラーレン・クルサードは1秒ほどの差で周回を重ねますが、そこから3位ビルヌーブとの間は10周で14秒にも達していました。完全にシューマッハー兄とクルサードの、目下ポイント1位と2位の争いの様相が強くなってきます。
 ですが14周目、何とクルサードにペナルティーストップが課せられます。フォーメーションラップでのエンジン起動が、レッドシグナル点灯後であったためとのこと。これで2位から10位までドロップ、1位シューマッハーは悠々一人旅となります。
 序盤最大の見せ場は、クルサードのドロップにより2位に上がったビルヌーブと、バリチェロのバトルでしょう。ストレートの速さを生かして、2位をキープしていたビルヌーブでしたが、25周目第2シケインでバリチェロに並ばれます。セントローレンス・シーウェイ、第3シケインとサイド・バイ・サイドで突き抜け、ついにヘアピンでビルヌーブを抜き去ったバリチェロは、今までビルヌーブに押さえられていた鬱憤を晴らすかのようにファステストラップを記録し、シューマッハー兄を追います。
 そしてレース後半に入り、各陣営がピットストップを済ませた直後の40周目付近、雨がコースを濡らし始めます。まず動いたのはフェラーリ。同一周回でシューマッハー兄、バリチェロのタイヤ交換を決断、バリチェロのタイヤが用意されないというトラブルもありましたが、いち早くレイン対策を済ませます。
 給油と雨のピット作業の結果、1位シューマッハー兄、2位バリチェロとフェラーリ1-2体制、3位は給油とレインタイヤへの履き替えを一緒に済ませたベネトン・フィジケラという順位になります。以下4位ハッキネン、5位ジョーダン・トゥルーリ、6位ベネトン・ブルツ、7位アロウズ・フェルスタッペン、8位ウィリアムズ・シューマッハー弟、10位クルサードのオーダーになります。
 ここから最高のパフォーマンスを示したのは、アロウズ・フェルスタッペンでした。57周には1コーナーでブルツをパスし6位に、60周にはトゥルーリをパスし5位と順位を上げます。ですがハッキネンには追いつけず、この順位でチェッカーとなります。
 結果1位シューマッハー、2位バリチェロ、3位フィジケラ、4位ハッキネン、5位フェルスタッペン、6位トゥルーリの順位となりました。

◇感想

 結果的にシューマッハーが独走で優勝、今期4勝目をあげ、チャンピオンシップ獲得へ大きく前進した一戦だったと言えるでしょう。
 それから目を離せばレインコンディションの妙もあり、なかなか面白い展開のレースとなりました。序盤と終盤のアロウズのパフォーマンスや、レインタイヤへの履き替えがドンピシャで決まったフィジケラ、逆に運が全くなかったマクラーレンとの対比が面白かったです。特にマクラーレンは、クルサードのペナルティーや、ハッキネンのタイヤ交換時期等、痛いミスが重なりました。「もしも」ハッキネンの給油ストップが、あと5周遅ければ、バリチェロに追いついていた公算が大きいと思えるのです。マクラーレンの2-3も夢ではなかったと思うのは、私だけではないはずです。


[ Back ]