Round.11 ドイツ
30.Jul.2000 :ホッケンハイムリンク


◇予選グリッド

 雨の予選、制したのは巧みにクリアラップを作り出した、マクラーレン・クルサードでした。2位は、雨が弱まったコンディションをつき、渾身のアタックを成功させたフェラーリ・シューマッハー、3位は予選序盤のアタックが功を奏したベネトン・フィジケラ、4位は慎重になりすぎたと自ら語ったマクラーレン・ハッキネンでした。以下予選最高位をゲットした、アロウズ・デ・ラ・ロサ、6位ジョーダン・トゥルーリ、7位ベネトン・ブルツ、8位ジャガー・ハーバート、9位BARホンダ・ビルヌーブ、10位ジャガー・アーバインのトップ10でした。なおコンディションに恵まれなかった2人、ジョーダン・フレンツェンとフェラーリ・バリチェロは17、18位という、今期ワーストグリッドからのスタートとなります。


◇決勝

 レースは前回オーストリアに続いて波乱の幕開けとなります。1コーナーでフェラーリ・シューマッハーにベネトン・フィジケラが追突、両者リタイヤとなってしまうのです。そのため好スタートの1位マクラーレン・ハッキネン、2位同・クルサード以下、予選順位から大きく離れた順位でコントロールタワーに戻ってきます。オープニングラップが終わった段階で、1位ハッキネン、2位クルサード、3位ジョーダン・トゥルーリ、4位アロウズ・デ・ラ・ロサ、5位ジャガー・アーバイン、6位同ハーバートのトップ6となります。なお18位スタートのバリチェロは、この段階で早くも10位まで上がってきています。そして3周目には7位と得点圏まで後一歩、5周目にはアロウズ・フェルスタッペンを抜いて6位、6周目にはハーバートを抜いて5位と、着実に順位を上げていきます。同じく後方からのスタートとなったジョーダン・フレンツェンも激しい追い上げを見せ、8周目には8位にまで順位を上げています。
 一方、バリチェロの追い上げなどかまわず、順調にラップを消化しているマクラーレンの2人、1秒ちょっとの間隔でパレードを続ける状態が続いていました。3位トゥルーリは20秒以上も後方。マクラーレン楽勝かと思われたその時、今レース1度目のハプニングが発生します。23周目、何とコース脇を観客が歩いているではありませんか。その男は、大胆にもコースを横断、危険と判断したマーシャルは、「危険物の除去」を決定します。急遽係員が男を追跡すると共に、コース上にはセフティーカーが導入されたのです。その状況をいち早く利用したのがトゥルーリ、バリチェロといったドライバー。トップのハッキネンもピットへ急ぎます。一方クルサードはセフティーカーの後ろについてしまい、まるまる1周を損してしまいます。結局次の周にピットへ入ったものの、順位を大きく下げ6位までドロップしてしまいます。
 この後、1位ハッキネン、2位トゥルーリ、3位バリチェロ、4位デ・ラ・ロサ、5位フレンツェン、6位クルサードの順で周回を続けます。しかし34周目、2回目のハプニングが起きます。ついに雨が降り出したのです。この雨ですかさずレインタイヤに履き替えたのはハッキネンとトゥルーリ。しかしバリチェロ、フレンツェンは一向にピットへ入りません。その結果1位バリチェロ、2位ハッキネン、3位クルサードとなります。
 結局ドライタイヤで走りきったバリチェロが、124戦目にして初のポディウムの中央に立つこととなりました。2位はハッキネン、3位クルサード、4位ウィリアムズ・バトン、5位ザウバー・サロ、6位アロウズ・デ・ラ・ロサの順位でレースを終えます。


◇感想

 2ストップをセフティーカーに絡めて巧く処理し、最後はドライタイヤでスリッキーな路面をミスすることなく走りきったバリチェロが初勝利を納めました。勝利にふさわしい、見事な走りだったと思います。表彰台で泣きじゃくるバリチェロ。勝者に惜しげもなくシャンパンを浴びせるハッキネンとクルサード。久々に見ていて胸が熱くなる光景でした。最近のシャンパンファイトは(とくにシューマッハーとハッキネンですが)どうもよそよそしい感じがしていましたので、勝者を心から祝福している姿を久々に見たような気がします。だからF1は素晴らしい。

 追伸 ジャガー・ハーバートが今期限りで引退することを表明しました。なんだかまた寂しくなりますね。お疲れさまでした。


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