Round.13 ベルギー
27.Aug.2000 :サーキット・デ・スパ−フランコルシャン


◇予選グリッド

 ベルギーの予選は、フレッシュな顔ぶれが上位に来ました。ポールは貫禄のマクラーレン・ハッキネンでしたが、2位にはジョーダン・トゥルーリ、3位にはウィリアムズ・バトンが飛び込みます。4位はかろうじて2列目をキープしたフェラーリ・シューマッハー兄、5位には今期ワースト順位のマクラーレン・クルサードが続きます。以下ウィリアムズ・シューマッハー弟、7位BARホンダ・ビルヌーブ、8位ジョーダン・フレンツェン、9位ジャガー・ハーバート、10位フェラーリ・バリチェロのオーダーとなります。

◇決勝

 雨は降ってないもの、路面はウエット状態。そのためマーシャラーはセフティーカー先導によるローリングスタートを決定します。なおローリングスタートは、97年同じくここベルギー初めて行われて以来2度目のことです。
 さてレースはローリングスタートのため、名物となった1コーナー「ラ・スルス」への飛び込みでのアクシデント(98年はそこで12台が連鎖衝突しています)と無縁に進むことができました。ですがウエット路面でマシンポテンシャルの差が縮まったせいで、序盤から激しいバトルが繰り広げられます。無難に逃げる1位マクラーレン・ハッキネンの後方では、2位ジョーダン・トゥルーリと3位ウィリアムズ・バトン、そして4位フェラーリ・シューマッハー兄が2位争いを演じています。まずは4周目、ラ・スルスでバトンがトゥルーリをパスにかかります。がラインを交差させたトゥルーリがインから抜き返して順位は変わらず。翌5周目、バスストップ・シケインでバトンが再び仕掛けます。ここでもトゥルーリがブロック、速度が鈍ったバトンはその隙をシューマッハ兄ーに突かれ4位に転落します。そして6周目、ラ・スルスでシューマッハー兄がトゥルーリをパス、ここでバトンも一気にパスしようとしますが、接触してしまいスピン。このスピンでトゥルーリはエンジンを止めてしまいリタイヤ、一方のバトンもウィリアムズ・シューマッハー弟に抜かされ再び4位に戻ります。
 そして6〜7周目、このレースのターニング・ポイントが訪れます。レコードラインが乾いてきたと判断したプロスト・アレジがタイヤをレインからドライに変えたのです。アレジのタイヤ交換を筆頭に、次々とタイヤ交換のためにマシンがピットに戻ってきます。この波に乗り遅れたのがマクラーレン・クルサード。チームがハッキネンのタイヤ交換を優先させたため、丸々一周不利なウエットタイヤでの走行を余儀なくされたのでした。その結果、1位ハッキネン、2位シューマッハー兄、3位シューマッハー弟、4位アレジ、5位バトン、6位BARホンダ・ビルヌーブ、7位フェラーリ・バリチェロ、8位ジョーダン・フレンツェン、9位クルサード、10位ジャガー・ハーバートの順になります。
 さて順調に周回をこなしていたハッキネンでしたが、13周目あろう事か単独スピン、シューマッハー兄が労せずして首位となります。22周目、シューマッハー兄が2回目のピットストップを行いハッキネンが暫定首位に立ちますが、彼も28周目にピットイン。結局10秒以上の差をシューマッハー兄につけられ、2位で周回に復帰します。
 以降10周以上、特に動きがないままレースが進みます。が34周目、バリチェロがピットロード前から突如スローダウン。ピットレーン途中でストップするというアクシデントが発生します。同時期、4位と検討していたアレジが、マシントラブルで戦列を離れます。
 一方そのあたりから、1位シューマッハー兄と2位ハッキネンの差が縮まり始めます。一時期15秒あったタイム差が、39周目には1秒を切るまでになります。ここからシューマッハー兄とハッキネンとの、ドライバーズポイントトップを目指すバトルが始まります。明らかにスピードに勝るハッキネンでしたが、抜きづらいコース特性に加え、前を走るシューマッハー兄はレース巧者。なかなかハッキネンを前に出すようなミスはしません。ですが41周目、直前の周回で仕掛けたのと同じ場所、ストレートエンドでついにシューマッハー兄をとらえます。周回遅れのBARホンダ・ゾンタを抜こうとアウトに振ったシューマッハー兄に対し、スリップから飛び出しインを突き進んだハッキネンが見事トップを奪ったのです。結局ラスト4周の大逆転でハッキネンが優勝、2位はシューマッハー兄、3位にはシューマッハー弟が入ります。以下4位クルサード、5位バトン、6位フレンツェンの順でフィニッシュとなります。


◇感想

 今回は序盤・終盤共に見応えのあるレースとなりました。何と言ってもレース終盤も終盤、ラスト4周の大逆転には正直びっくりしました。あるいはシューマッハー兄が抑えきれるか?とも思いましたが、(ハッキネンらしくないとも思える程)思い切りの良いオーバーテイクでハッキネンが優勝。序盤4位と快走したアレジも、ウエットコンディションの妙を見せてくれました。
 これでハッキネンとシューマッハー兄とのポイント差は6ポイント。次回イタリアでシューマッハー兄の逆襲はあるのか、タイトルの行方が面白くなってきました。


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