Round.14 イタリア
10.Sep.2000 :アウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ


◇予選グリッド

 フェラーリ地元グランプリであるモンツァ。それにふさわしく、今期初めてフェラーリがフロントローを占めました。ポールはシューマッハー兄、2位にはバリチェロがつけます。3位にはマクラーレン・ハッキネン、4位には今期最高グリッドを得たBARホンダ・ビルヌーブが来ます。5位は精細を欠いたマクラーレン・クルサード、以下6位ジョーダン・トゥルーリ、7位ウィリアムズ・シューマッハー弟、8位ジョーダン・フレンツェン、9位ベネトン・フィジケラ、10位アロウズ・デ・ラ・ロサのオーダーとなります。


◇決勝

 今年のイタリアは波乱ずくめのスタートとなります。全車難なくスタートを切ったかに見えましたが、まずはグッドイヤー・シケインでジャガー・アーバインがコースオフ、ウォールにヒットした後ストップします。1コーナーのカーブ・グランデこそ何事も起きませんでしたが、次のロッジアで大事故が発生します。ジョーダンフレンツェンが同僚トゥルーリに追突、そのマシンのリバウンドに、フェラーリ・バリチェロ、マクラーレン・クルサードが相次いで接触しコースオフ、最後にはアロウズ・デ・ラ・ロサが前輪を失った状態で大きくバウンド、バリチェロのマシンを飛び越えてグラベルに落下します。このクラッシュにより、クルサード、バリチェロ、フレンツェン、トゥルーリ、デ・ラ・ロサ、ハーバートの6人がレースを終えます。
 その直後から11周目まで、セフティーカーにより周回が続けられます。セフティーカーが抜ける直前、リスタートを誤ったウィリアムズ・バトンが急加速、前の車への接触を避けるためエスケープゾーンに逃げますが、そのままコースに戻れずリタイヤとなります。12周目、レース再開時のオーダーは、1位フェラーリ・シューマッハー兄、2位マクラーレン・ハッキネン、3位BARホンダ・ビルヌーブ、4位ウィリアムズ・シューマッハー弟、5位ベネトン・フィジケラ、6位ベネトン・ブルツ、7位アロウズ・フェルスタッペン、8位ミナルディー・ジェネ、9位プロスト・ハイドフェルド、10位BARホンダ・ゾンタとなります。
 序盤の見所は、フェルスタッペンとゾンタのオーバーテイクでした。次々と前車をオーバーテイクし、17周までにフェルスタッペンは3位、ゾンタは4位まで順位を上げていたのです。21周目、このレースの白眉といえるオーバーテイクが起こります。グッドイヤーシケインでの飛び込みでゾンタがフェルスタッペンのインを差し、その後カーブ・グランデの飛び込みまでサイド・バイ・サイドの状態が続くのです。結局エンジンパワーに勝るゾンタに軍配が上がり、ゾンタが3位に順位を上げます。
 30周目、ザウバー・サロを手始めに、1ストップ作戦をとったマシンの給油が始まります。その中、上位陣はぎりぎりまでピットインを送らせる作戦に出ました。ようやく39周目、トップを走っていたシューマッハー兄が動きます。給油・タイヤ交換を7.2秒で済ませ、2位で周回に戻ります。42周目、今度は暫定トップのハッキネンがピットインします。ピットクルーは6.6秒で送り出したものの、シューマッハー兄に15秒近い差をつけられ2位で周回に戻ります。この時点での順位は、1位シューマッハー兄、2位ハッキネン、3位シューマッハー弟、4位ベネトン・フィジケラ、5位フェルスタッペン、6位ブルツの順となります。なお4位フィジケラは翌周にピットインしますが、クラッチトラブルでスタートできず、1分以上のタイムロスとなってしまいます。
 レース終盤では、ハッキネンがファステストラップを連発しますが、結局シューマッハー兄には追いつけず、1位シューマッハー兄、2位ハッキネン、3位シューマッハー弟、4位フェルスタッペン、5位ベネトン・ブルツ、6位ゾンタの順位でレースを終えます。


◇感想

 アイルトン・セナに並ぶ、歴代2位の優勝回数(41回)となった勝利、総合優勝の可能性を引きつけた勝利、フェラーリの地元での勝利、これらの勝利の重さに、レース後の記者会見で声を詰まらせたシューマッハー。勝った後の笑顔の会見に見慣れていた私にとって、かなり意外な状況でした。とにかくこれでドライバーズポイントの差は2点。これからが俄然面白くなってきました。鈴鹿・セパンとフェラーリ得意のコースなので、次戦インディアナポリスでは、何としてでも勝利したいハッキネン。さてどうなりますか。
 ところで、ロッジアでのクラッシュに巻き込まれたマーシャルの一人が、治療の甲斐なく亡くなりました。レースで人が亡くなったのは、94年のイモラ、アイルトン・セナが事故死して以来の事でした。亡くなった方のご冥福をお祈りいたします。


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