Round.5 オーストリアグランプリ
12.May.2002 : A-1リンク


◇予選グリッド

 予選、圧倒的な強さを見せたのは、フェラーリ・バリチェロ。開幕戦に継ぐ2度目のポールとなりました。2位はウィリアムズ・シューマッハー弟。フェラーリ・シューマッハー兄は、今期ワーストとなる3位。3位がワーストだけに、如何に今年の彼が速いのかを思い知ります。以下4位ウィリアムズ・モントヤ、5位ザウバー・ハイドフェルド、6位マクラーレン・ライコネン、7位ザウバー・マッサ、8位マクラーレン・クルサード、9位BARホンダ・パニス、10位トヨタ・サロとなります。ジョーダン・佐藤は18位からのスタートとなりました。


◇決勝

 スタートでは、軒並みイン側グリッド(偶数番号グリッド)のマシンが順位を落とします。加えて、中盤で接触が相次ぎ、順位は大幅にシャッフルされてしまいます。そのため1周目を終わった時点での順位は、フェラーリ・バリチェロ、同シューマッハー兄、ザウバー・ハイドフェルド、ウィリアムズ・シューマッハー弟、同モントヤ、マクラーレン・クルサード、同ライコネン、ルノー・バトン、ザウバー・マッサのトップ10となります。
 2周目、シューマッハー弟、モントヤが相次いでハイドフェルドを攻略し、それぞれ3位、4位に浮上、フェラーリ追撃態勢に入ります。しかし今日のバリチェロは、前グランプリまでの不運が嘘のような快調そのもので、9周目にはシューマッハー弟との差を15秒に、20周目には20秒にと、どんどん引き離していきます。
 バリチェロ独走かと思わせた23周目、このレースのターニングポイントが訪れます。ホームストレート中程で、BARホンダ・パニスが突然リアより炎を発し、そのままコース中央でストップしてしまったのです。これによりセフティーカーが入り、バリチェロの貯金はなくなってしまいます。しかし2ストップ作戦を予定していたフェラーリは、同じ周にバリチェロとシューマッハー兄を同時にピットインさせ、1回目のピットストップによるタイムロスを、上手く帳消しにしました。  27周目、セフティーカーが去りリスタートとなった時、またも大きな事件が発生します。ハイドフェルドがレムスコーナー手前でスピン、コントロール不能になったマシンは、コーナーをショーットカットする形で再びコースに飛び出し、横合いからジョーダン・佐藤に激突したのです。幸いハイドフェルドは、マーシャルの助けですぐにマシンを降りる事ができましたが、一方の佐藤は、担架で救急車に搬送される事態となったのです。この後佐藤は、精密検査のためにヘリで病院へと搬送されました(意識も戻り、また骨折等の怪我もないとのこと)。
 ハイドフェルドと佐藤の事故で、再びセフティーカーが入る事態となりましたが、37周目、再びレースが再開されます。この時点でのオーダーは、バリチェロ、シューマッハー弟、シューマッハー兄、モントヤ、クルサード、ジョーダン・フィジケラ、BARホンダ・ビルヌーブ、ルノー・バトンとなります。
 しばらくこのオーダーでの周回が続きますが、48周目、2位シューマッハー弟がピット作業を行い、5位で周回へ復帰します。また51周目、3位モントヤがピットイン、給油のみという奇策(結局モントヤは、スタート時点で履いていたタイヤで、レースを走りきります)により、チームメイトの前で周回に復帰できます。62周目バリチェロ、63周目シューマッハー兄と給油とタイヤ交換を済ませ、全てのピット作業が終わった時のオーダーは、バリチェロ、シューマッハー兄、モントヤ、シューマッハー弟、フィジケラ、クルサード、バトン、ビルヌーブ、トヨタ・サロ、同マクニッシュとなります。
 このままバリチェロがシューマッハー兄を従えてゴールか?と思わせた71周目、ファイナルラップの最終コーナーで、バリチェロが急遽スロー、シューマッハー兄を先行させて、レースは終了します。
 1位シューマッハー兄、2位バリチェロ、3位モントヤ、4位シューマッハー弟、5位フィジケラ、6位クルサード、7位バトン、8位サロ、9位マクニッシュ、10位ビルヌーブの結果でした。


◇感想

 佐藤の事故が気がかりなレースでしたが、意識もあり怪我もないという第一報に、ちょっと安心。あとは精密検査の結果、頭にも異常がないことを祈るだけです。
 さて、レースに目を戻すと・・・シューマッハー優勝に、なにやら裏切られた気分です。このレースはバリチェロのものでした。予選も本戦も彼の速さに付いていける者はいなかったのです。全力を出してチームメイトを破ってきながら、チームオーダーにより優勝を剥奪されたのです。しかしファンは覚えているでしょう。2002年オーストリアGPの勝者は、紛れもなくルーベンス・バリチェロだと言うことを。


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