Round.9 ヨーロッパグランプリ
23.Jun.2002 : ニュルブルクリンク


◇予選グリッド

 予選は、ウィリアムズの2人の一騎打ちでした。ポールは最終アタックでトップに立ったモントヤ。2位はシューマッハー弟。セカンドローは、3位フェラーリ・シューマッハー兄、4位同バリチェロ、サードローは、5位マクラーレン・クルサード、6位同ライコネン、フォースローは7位ルノー・トゥルーリ、8位同バトンと、綺麗にコンストラクター1位から4位が並びます。
 今回のホンダ勢は、BARホンダ・パニスの12位が最高で、ジョーダン佐藤の14位はともかく、ジョーダン・フィジケラが18位、BARホンダ・ビルヌーブが19位と、大きく沈みます。一方のトヨタは、サロが今期5度目のトップ10入り(10位)を果たします。


◇決勝

 1コーナーが改修され、全長5kmを越えるロングコースとなったニュルブルクリンク。その1コーナーは、ほぼ180度回り込む低速コーナー。続くコーナーも低速コーナー3個で、ぐるりと360度回転するレイアウト。それだけに、コーナー飛び込みでのアクシデントが心配されました。  スタートでは、ウィリアムズ・モントヤとフェラーリ・シューマッハー兄が出遅れ、ウィリアムズ・シューマッハー弟、フェラーリ・バリチェロ、モントヤ、シューマッハー兄の順で1コーナーを出ていきます。順調に流れていくに見えた1コーナー、しかしレース前の心配通り接触が発生します。ジョーダンフィジケラが、同佐藤に並んだ直後、フィジケラのリアがグリップを失いスピン。佐藤に接触し、両者ともダメージを負い、ピットインを強いられます。不幸中の幸いは、このアクシデントに巻き込まれる後続車がいなかったことでしょうか。
 さて、トップに目を移すと、早くもフェラーリ勢のオーバーテイクが見られます。まずヘアピンで、バリチェロがシューマッハー弟をかわしてトップへ、ビードルシケインではシューマッハー兄がモントヤをかわします。そして2周目、ミシュランコーナーでシューマッハー弟をとらえ、一気にパス。これでフェラーリ1-2体勢が完成します。
 このレースでのフェラーリの速さは際だっており、8周目には、1位バリチェロと3位シューマッハー弟の差は8秒、16周目には26秒と、あっという間にピット作業1回分のロスタイムマージンを築いてしまいます。この時点でのオーダーは、バリチェロ、シューマッハー兄、シューマッハー弟、モントヤ、マクラーレン・クルサード、ルノー・バトン、マクラーレン・ライコネン、ルノー・トゥルーリ、ザウバー・マッサ、同ハイドフェルドとなります。
 21周目、BARホンダ・ビルヌーブを皮切りに、1回目のピットストップが始まります。上位では22周に8位トゥルーリが、23周には6位バトンがピットストップを行います。同周、2位走行のシューマッハー兄が、いきなりのコースオフ、無事に周回に復帰できるものの、1位バリチェロとは15秒近い差が付いてしまいます。そのシューマッハー兄は24周目、翌25周目にはバリチェロがピットインし、それぞれ順位をキープして(つまり1-2で)周回に復帰します。
 さて、今レースの鬼門は1コーナー。それまで、フィジケラ、佐藤、トゥルーリ、ライコネン、トヨタ・サロ等が、接触・オーバーランと言ったトラブルに見舞われていました。そして27周目、4位モントヤをクルサードがアウトから抜きにかかったその時、モントヤのリアがグリップを失いスライド、モントヤ左リアとクルサードの右フロントが接触、二人ともサスペンションを破損し、リタイヤとなります。この結果、オーダーはバリチェロ、シューマッハー兄、シューマッハー弟、ライコネン、マッサ、BARホンダ・パニス、バトン、トゥルーリ、ジャガー・デ・ラ・ロサとなります。
 30周目、3位シューマッハー弟がピットイン、5位で周回に復帰します。また36周目、もっともストップを先に伸ばしていた3位ライコネンがピットイン、順位をキープして周回に復帰します。そして、43周目シューマッハー兄、46周目バリチェロと、それぞれ2回目のピット作業を終えます。
 終盤、バリチェロとシューマッハー兄との差が1秒前後に縮まります。一瞬オーストリアの順位交換が思い出されましたが、順位はキープでチェッカー。バリチェロが2度目の優勝を決めました。2位はシューマッハー兄、3位ライコネン、4位シューマッハー弟、5位バトン、6位マッサ、7位ザウバー・ハイドフェルド、8位トゥルーリ、9位パニス、10位アロウズ・ベルノルディーのトップ10でした。なお佐藤は、完走16台中16位という結果に終わります。


◇感想

 バリチェロが完璧にレースをコントロールし、見事優勝。終盤はシューマッハー兄が追いついてきましたが、順位をキープしてチェッカーを受けました。逆に言うと、無理な追い越しを禁止するチームオーダーとも取れるのですが、ファンにとっては、オーストリアのような、抜かさせるオーダーよりも説得力があると思います。
 F2002を得てから、シューマッハーに劣らぬ輝きを取り戻しつつあるバリチェロ。これからも、チームメイトの前でチェッカーを受けてくれることを願います。
 ライコネンは、クルサードとモントヤが共倒れという漁夫の利でしたが、立派に3位をゲット。これでマクラーレンは、3戦連続表彰台。信頼性に難があるウィリアムズを追撃に入りました。


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