Round.1 オーストラリアグランプリ
09.Mar.2003 : アルバートパーク サーキット


◇予選グリッド

 今年から予選方法が変更となり、合計12周の最速ラップ方式から、各車1周毎計測を行うスーパーラップ方式となりました。また予選終了から決勝スタートまで、マシンセッティングの変更はもとより、燃料の追加、エンジンの積み替え等、一切のメンテナンスが不可能となりました。それ故、決勝までにらんだ予選セッティングが必要となり、なおさら順位の予測が難しくなります。
 そんな中、やはり強かったのはフェラーリ。1位シューマッハー兄、2位バリチェロと、盤石の体勢を築きます。3位はウィリアムズ・モントヤ、4位には意外にもザウバーのフレンツェンが入ります。5位はウインターテストから好調をアピールしていたトヨタ・パニス、6位はこれまた好調を持続していたBAR・ビルヌーブが入ります。以下7位ザウバー・ハイドフェルド、8位BAR・バトン、9位ウィリアムズ・シューマッハー弟、10位ルノー・アロンソとなります。
 なお新方式の餌食となったのは、初日2位を記録したマクラーレン・ライコネン。コースオフを喫し15位に沈みます。マクラーレンはエース、クルサードも11位と、完全に出遅れてしまいます。


◇決勝

 スタート直前、小雨がぱらつくコンディション。ここで雨に強いブリヂストン勢はインターミディエイトが多く、雨が不得手なミシュラン勢はドライと、タイヤチョイスに差が出ます。そしてスタート。フェラーリ・シューマッハー、バリチェロ、ウィリアムズ・モントヤ、トヨタ・パニス、ザウバー・フレンツェン、ハイドフェルドと1コーナーをパスして行きますが、インターミディーを履いたザウバーの勢いがすさまじく、ハイドフェルドは3位まで順位を上げていきます。またパニスは、ずるずると順位を下げ11位まで後退してしまいます。
 1周を終えて、シューマッハー兄、バリチェロ、ハイドフェルド、モントヤ、フレンツェン、BAR・バトン、同じくビルヌーブ、ルノー・トゥルーリ、同じくアロンソ、ミナルディー・ウィルソンのオーダーとなります。しかし思いの外路面が乾くのが早く、インターミディーを履いた車はドライ車に次々と抜かれていくという、またタイヤ交換のためピットインするという、めまぐるしく順位が入れ替わる序盤となります。序盤のトラブルはまだ続きます。5周目、2位バリチェロが単独スピン、タイヤバリアにクラッシュ、リタイヤとなります。また7周目、トップのシューマッハー兄がインターミディエイトからのタイヤ交換でピットイン、その直後ジョーダン・ファーマン、トヨタ・マッタが相次いでスピン、特にファーマンの後始末のためセフティーカーが入ります。
 再スタートとなった12周目、オーダーはモントヤ、トゥルーリ、シューマッハー弟、ジャガー・ウエーバー、マクラーレン・ライコネン、シューマッハー兄、マクラーレン・クルサード、ビルヌーブとなります。なおシューマッハー弟は、17周目にモントヤと同一周回にピットインするトラブルをおこし、しかも右リアタイヤの交換に手間取りタイムロス、さらに畳みかけるようにアウトラップでスピンするなど、散々となります。翌18周目、2回目のセフティーカーが入り、再び隊列の間隔が狭まります。21周目リスタートとなり、ライコネン、シューマッハー兄、クルサード、ビルヌーブ、バトン、モントヤ、パニス、フレンツェンのオーダーとなります。ここから31周まで、ライコネンとシューマッハー兄は、1秒を切る僅差で周回する事となります。何度かシューマッハー兄が仕掛けますが、ライコネンにその都度ブロックされ、31周目、ピットへ入ります。33周目、今度はライコネンがピットに入りますが、インラップでファステストを叩き出すという見事な走りで、シューマッハー兄の前2位で周回に復帰します。
 こうしてライコネンとシューマッハー兄のバトル再開となります。37周目にはストレートエンドでシューマッハー兄がライコネンに並びかけますが抜き去るに至らず、テールtoノーズ状態が続きます。しかし40周目、ライコネンがピットロード速度違反でピットスルーのペナルティーを受け、約20周続いたバトルに決着が付きます。43周目、トップのモントヤが2回目のピットインを行い、これによりシューマッハー兄が7週目以来のトップに立ちます。しかしバジーボードが2枚とも脱落するハプニングが発生し、46周目、バジーボードを取り除くため緊急ピットイン。こうしてモントヤがトップに返り咲きますが、翌47周目に単独スピンを喫し2位へ後退となります。こうして漁夫の利を得たクルサードが、このドタバタ乱戦を制しトップチェッカーとなりました。
 以下2位モントヤ、3位ライコネン、4位シューマッハー兄、5位トゥルーリ、6位フレンツェン、7位アロンソ、8位シューマッハー弟のオーダーとなりました。


◇感想

 波乱ずくめの開幕戦。今年はスタート直後の多重クラッシュこそありませんでしたが、上位陣、特にトップを走るドライバーに不運が訪れた、そんなレースでした。バリチェロのスピンに始まり、ライコネンのペナルティー、シューマッハー兄のハプニング、モントヤのスピン。こうしたドタバタを後目に、じわじわと順位を稼いだクルサードが、ベテランの妙を見せてトップチェッカー。2003年シーズンは、かなり意外な幕開けとなりました。
 しかし、連続表彰台は53戦で途切れたとは言え、やっぱりフェラーリは速いです。一歩抜きん出ている状況は、まだまだ続きそうです。


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