Round.5 スペイングランプリ
04.May.2003 : サーキット・デ・カタロニア
◇予選グリッド
予選ポールは、新車F2003-GAで挑んだフェラーリ・シューマッハー兄、バリチェロの1-2となります。3-4位は地元で気合の入るアロンソとトゥルーリのルノーコンビ。5位はBAR・バトン、6位はトヨタ・パニスと、3列目は日本勢がつけます。以下7位ウィリアムズ・シューマッハー弟、8位マクラーレン・クルサード、9位ウィリアムズ・モントヤ、10位ザウバー・フレンツェンのトップ10となります。
なおポイントリーダーのマクラーレン・ライコネンは、まさかのアタック失敗−コースアウト−で、最後尾スタートとなります。
◇決勝
スタートで目を見張ったのは、ルノー・アロンソのダッシュでした。元々ローンチコントロールには定評のあるルノーですが、一気にフェラーリ・バリチェロをかわし、トップのフェラーリ・シューマッハー兄に迫ります。しかしここはフェラーリのチームプレイの妙、シューマッハーがアロンソをブロックする隙に、バリチェロがアロンソに追いつき、1コーナーではフェラーリの2台が壁となって、アロンソを前に行かせません。一方後方では、スタートできなかったジャガー・ピッツォニアにマクラーレン・ライコネンが追突するトラブル発生。こうして2台のスクラップがメインストレートをふさいでしまい、早くもセフティーカーが入ります。この時点でのオーダーは、シューマッハー兄、バリチェロ、アロンソ、ウィリアムズ・シューマッハー弟、BAR・バトン、ウィリアムズ・モントヤ、BAR・ビルヌーブ、トヨタ・ダ・マッタとなります。
リスタートは6周目、1コーナーではフェラーリの2台が1-2を守りますが、モントヤがバトンをパスし、5位へ順位を上げます。13周目、ビルヌーブのピットインを先頭に、1回目のピット作業が始まります。上位では17周目にアロンソ、18周目にシューマッハー弟、19周目シューマッハー兄、20周目バリチェロとピットインします。この時点でバリチェロはアロンソに逆転され3位へ落ちます。また17周目、マクラーレン・クルサードがバトンを抜こうとしてスピン、クルサードはグラベルにマシンを止めています。
30周目、ダ・マッタが2回目のピットイン。ここから2回目のピットストップが始まります。上位では36周目シューマッハー兄、37周目バリチェロ、38周目アロンソ、41周目シューマッハー弟、42周目モントヤと、ピット作業が続きます。その間の38周目、ピットを終えたアロンソと、シューマッハー弟の間で、激しいバトルが繰り広げられます。数周に渡るテール・トゥ・ノーズの後、バランスを崩してコースを外れたのはシューマッハー弟。こうしてアロンソは自力で2位を奪い返します。43周目、ここまで入賞圏内で健闘していたパニスが、ギアボックスのトラブルからリタイヤとなります。そして47周目、今度はチームメイト同士、シューマッハー弟とモントヤがサイド・バイ・サイドの激しい戦いを演じます。結局モントヤがシューマッハー弟をねじ伏せ、前に出ます。この時点でのオーダーは、シューマッハー兄、アロンソ、バリチェロ、ダ・マッタ、モントヤ、シューマッハー弟、ジャガー・ウエーバー、ジョーダン・ファーマンとなります。
50周目、シューマッハー兄が3回目のピットイン、翌51周目、アロンソ、バリチェロと相次いでピットインします。しかしここで上位の順位変動はなく、このまま終幕かと思わせました。しかしながら、最後に魅せたのはダ・マッタでした。自身初の、そして今期トヨタ初のポイントに向けて攻め続け、残り数周に渡りシューマッハー弟をテール・トゥ・ノーズの戦いを演じます。しかしながらシューマッハー弟は、要所を押さえた老練な走りで、ルーキーダ・マッタに隙を見せることなく走りきり、チェッカーとなります。
結局シューマッハー兄が2連勝を飾り、アロンソが自身最高位の2位を獲得、3位にバリチェロが続く結果となりました。以下4位モントヤ、5位シューマッハー弟、6位ダ・マッタ、7位ウエーバー、8位ファーマン、9位バトン、10位ザウバー・ハイドフェルドのトップ10となりました。
◇感想
新車F2003-GAを投入し、2連勝を飾ったシューマッハー兄。前戦サンマリノに続き、予選1日目、2日目、決勝とトップのハットトリック。やはりフェラーリは強い。それ以上にルノーが面白い。ローンチコントロール、トラクションコントロール等、ハイテクには定評があり、かつ低燃費、低重心で知られるRS23エンジン、素直な特性のシャシー性能。これらがピタリとはまって、打倒フェラーリの筆頭になりつつある感がします。今レースのように、早々にマクラーレンが姿を消したレースでは、特にその存在が輝きます。そして、今年のルノーは壊れない。実は開幕4戦連続で2台完走を成し遂げています。今回はローンチコントロールのトラブルで、トゥルーリは0周リタイヤとなってしまいましたが、派手なブローを演じ続けた昨年とは、まさに隔世の感があります。
今年のレースをかき乱すのは、実はライコネンではなく、アロンソなのかもしれません。