Round.8 カナダグランプリ
15.Jun.2003 : ジル・ビルヌーブ・サーキット
◇予選グリッド
雨の予選1日目から一転、予選2日目はドライコンディションで行われます。
フルウエットではブリヂストン勢が上位を占めましたが、ドライでは地力に勝るミシュラン勢が優勢で、ウィリアムズ・シューマッハー弟と、モントヤが1-2位を独占、4位にルノー・アロンソ、6位ジャガー・ウエーバー、7位トヨタ・パニス、8位ルノー・トゥルーリ、9位トヨタ・ダ・マッタと、トップ10中7台を占める結果となりました。
ブリヂストン勢は、3位フェラーリ・シューマッハーが最高で、次いで5位フェラーリ・バリチェロ、10位ザウバー・フレンツェンとなります。
一方ポイントリーダーのマクラーレン・ライコネンは、アタックに失敗、最下位に終わります。
◇決勝
予選20位で最下位に終わったマクラーレン・ライコネンと、同じく19位に終わったジョーダン・ファーマンがピットスタートを選び、グリッド上18台によるスタートとなりました。スタートでは特に混乱無く、各車1コーナーへと侵入していきます。オーダーはウィリアムズ・シューマッハー弟、同モントヤ、フェラーリ・シューマッハー兄、ルノー・アロンソ、フェラーリ・バリチェロ、ジャガー・ウエーバー、トヨタ・パニス、同ダ・マッタ・・・となります。
しかし2コーナーで、バリチェロがアロンソにヒット、フロントウイングを壊してしまうアクシデント、次いで2周目、ルノー・トゥルーリがジャガー・ピッツォニアが接触、ピッツォニアはスピンしたものの戦線に復帰できますが、トゥルーリはピットへ。結局このダメージが後を引いて、後にリタイヤとなってしまいます。そして最終シケインで、2位モントヤが単独スピン、順位を5位まで落としてしまいます。
順位を落としてから、モントヤの猛追が始まります。4周目にはウエーバーを攻略し4位、10周目にはアロンソもパスして、トップ3へと返り咲きます。
15周目からピット作業が始まり、まずはパニスが給油を行います。次いで19周目にモントヤとウエーバー、20周目にシューマッハー弟、21周目にシューマッハー兄がピットへ入ります。ここでシューマッハー兄は、間一髪でシューマッハー弟を逆転します。26周目、ルノー・アロンソが、上位陣では最後となるピット作業を行い、1回目のピット作業が終了します。この時点でのオーダーは、シューマッハー兄、シューマッハー弟、モントヤ、アロンソ、ライコネン、バリチェロ、マクラーレン・クルサード、ウエーバーとなります。
34周目、5位走行中のライコネンにアクシデント発生、右リアタイヤがストレート後半でバーストしたのです。幸か不幸か、ストレートエンドにはピットレーン入り口があるため、そのままピットへ向かいます。
39周目より、2回目のピット作業が始まります。39周目バリチェロ、42周目パニス、45周目モントヤ、46周目シューマッハー弟、ウエーバー、47周目シューマッハー兄と続きます。49周目、クルサードがピットインしますが、そのままガレージへ、リタイヤとなります。55周目アロンソのピット作業にて、各車のピット作業が完了します。この時点でのオーダーは、シューマッハー兄、シューマッハー弟、モントヤ、アロンソ、ライコネン、バリチェロ、ウエーバー、ダ・マッタとなります。残り10周を切った時点で、シューマッハー兄弟にモントヤが追いついてきます。ラスト5周時点では、なんと4位アロンソも追いつき、上位4台が2.5秒以内を走行するパレード状態になります。しかしながら、ブレーキをいたわる余裕の走りで、シューマッハー兄が残り数周を抑えきり、今期4勝目をあげました。2-3位はシューマッハー弟、モントヤのウィリアムズ勢が、4位にはアロンソが入ります。5位は唯一1ストップを採ったライコネンが入り、以下6位バリチェロ、7位ウエーバー、8位パニス、9位ミナルディー・フェルスタッペン、10位ピッツォニアとなります。残り5周まで8位を走行していたダ・マッタは、サスペンショントラブルでストップ、完走扱いながらポイントをフイにしてしまいます。
◇感想
モナコに引き続き、ウィリアムズが好調を維持し、フェラーリに肉薄したレースとなりました。もっとも、シューマッハー弟がパレード状態に甘んじ、オーバーテイクを仕掛けなかったことが残念ではありましたが・・・。しかし、フェラーリF2003-GAは速いのでしょうか。F2002の場合、バリチェロも速かった。しかしF2003-GAでは、バリチェロが芳しくないのです。これはセッティング幅が狭く、悪く言えばベネトンB195のように、シューマッハースペシャル化している証拠なのではないでしょうか。このまま推移すると、コンスタントにポイントを稼いでいるウィリアムズもしくはマクラーレンが、コンストラクターズを奪還する可能性が高い、そう私は見ています。