Round.15 アメリカグランプリ
28.Sep.2003 : インディアナポリス・モータースピードウェー


◇予選グリッド

 州知事の死を悼み、半旗を掲げるサーキット。
 そんなブリックヤードの予選を制したのは、マクラーレン・ライコネン。通算2度目のポールとなります。2位はフェラーリ・バリチェロとなりますが、3位にはなんとトヨタ・パニスが来ます。パニス自身予選最高グリッドタイであり、もちろんトヨタ参戦初のセカンドローとなります。4位はウィリアムズ・モントヤ、5位は同シューマッハー弟、6位はルノー・アロンソとなり、フェラーリ・シューマッハー兄は、ここ一番のレースで7位に沈んでしまいます。以下8位マクラーレン・クルサード、9位トヨタ・ダ・マッタとなり、予選1回目ポールのルノー・トゥルーリは、ウォームアップ走行でのクラッシュが響き10位となります。
 なおクラッシュの影響で休場していたジョーダン・ファーマンが、このレースから復帰します。復帰レースは18位でした。


◇決勝

 スタート前に路面を濡らした雨もほとんど止み、各車ドライタイヤで臨んだスタート、ここではトヨタ・パニスとフェラーリ・シューマッハー兄が好スタートを決め、1コーナーの飛び込みは、マクラーレン・ライコネン、パニス、ウィリアムズ・シューマッハー弟、シューマッハー兄、フェラーリ・バリチェロ、マクラーレン・クルサード、ウィリアムズ・モントヤのオーダーとなります。そのバリチェロですが、マシンに伸びがなく、2周目にはマクラーレン・クルサードに抜かれてしまい、3周目にはモントヤにインを突かれてしまいます。ここでやや外側に膨らんだモントヤのマシンに押され、バリチェロがたまらずスピン、グラベルにはまってリタイヤとなります。一方のモントヤは8位まで順位を下げてしまいます。
 4周目、雨粒が落ち始め、翌5周目パニス、BAR・ビルヌーブ等がピットに入りタイヤをスタンダード・レイン(浅溝のレインタイヤ。今までのインターミディエイトに相当。以後レインタイヤと略)に変えます。6周目、シューマッハー兄のペースががたんと落ち、最終コーナーオーバルの入り口でモントヤに、続くストレートでルノー・アロンソに、続けて抜かれてしまいます。これはブリヂストンのドライタイヤが、ミシュランのドライに比べ、雨に弱い特性であるためでした。その後雨は収まり、シューマッハー兄のペースも戻ります。しかしこれで割を食ったのが、タイヤをレインに変えたパニスとビルヌーブでした。そのためビルヌーブは10周に、パニスは11周に、再びピットに入ることとなります。
 15周目、1コーナーでモントヤがクルサードをパスします。クルサードは続いてアロンソにも抜かれてしまいます。
 その15周目の終わり、シューマッハー弟がピットイン、翌16周目、クルサードもピットに入ります。この辺りから、再び雨が降り始めますが、17周目にピットインしたアロンソ、18周目のライコネン、20周目のシューマッハー兄等、ドライタイヤでレースに復帰します。しかし雨足は本格的となり、翌21周目、早くもシューマッハー兄がレインタイヤに切り替え、22周、ライコネンとアロンソもそれに続きます。23周目、モントヤがバリチェロを押し出したかどでドライブスルーペナルティーを受けます。そして翌24周目、レインタイヤに履き替えるためのピットイン。これで実質タイトル争いから脱落してしまいます。
 雨とピットストップのタイミングで、コース上では、なんとBAR・バトンがトップを、ザウバー・フレンツェンが2位という状況が生まれます。この二人は1回目のピットストップを延ばし、ジャストタイミングでレインタイヤに履き替えたのでした。一方一時8位まで順位を落としたシューマッハー兄でしたが、ブリヂストンレインタイヤの威力もあり、25周目には6位、28周にはインフィールドでライコネンを抜き去り3位に、そして32周にはフレンツェン、38周にはバトンと、あれよという間にトップに立ちます。
 そのバトンですが、42周目ストレートでエンジンがブロー。自身初の表彰台はお預けとなってしまいます。この周の終わりから、3回目のピットイン(ルーチンだと2回目)が始まります。まずはライコネンがピットに入り、翌43周目にはトゥルーリ、48周にはシューマッハー兄と、ピットストップを行います。一方リタイヤも相次ぎ、45周にはアロンソがエンジンブローで、49周目にはクルサードがギアボックスのトラブルからリタイヤしています。
 ピット作業もほぼ完了し雨も完全に上がった51周目、オーダーはシューマッハー兄、フレンツェン、ライコネン、ザウバー・ハイドフェルド、トゥルーリ、ジョーダン・フィジケラ、モントヤ、ジャガー・ウィルソンとなります。
 54周目、ストレートでライコネンがフレンツェンをかわし2位へ上がります。そして68周目、モントヤがフィジケラをかわして6位へ上がります。5位に入ればタイトルの可能性が残る状況ですが、5位を走るハイドフェルドとは1周の開きがあり万事休す。結局ライコネンとモントヤの追い上げもここまでで、レースはチェッカーを迎えます。
 優勝はシューマッハー兄、2位ライコネン、3位のフレンツェンは2000年アメリカGP以来3年ぶりの表彰台となります。以下4位トゥルーリ、5位ハイドフェルド、6位モントヤ、7位フィジケラ、8位ウィルソン、9位トヨタ・ダ・マッタ、10位ミナルディー・フェルスタッペンとなります。


◇感想

 天佑とも言える雨。この雨を味方に付けたシューマッハー兄。これであと1ポイントでチャンピオン決定です。一方のライコネンはなんとか2位に入り、鈴鹿までタイトル決定を持ち越すことに成功します。しかしライコネンがタイトルを獲得するためには、自身の優勝とシューマッハー兄のノーポイントが必要であり、現状を考えるにほとんど無理な状態でしょうか。でもこれでライコネンがタイトルを取ったら、2003年シーズンは奇跡のシーズンと言われるでしょうね。優勝2回の選手が、優勝6回の選手を下す、それも最終戦で逆転してなんて!
 そんなラストを激しく希望(笑)


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