Round.16 日本グランプリ
12.Oct.2003 : 鈴鹿サーキット・インターナショナル・レーシングコース
◇予選グリッド
チャンピオンシップの行方を占う予選2日目。セッション終盤から降り出した雨により、グリッドは大きく混乱する事となりました。ポールはフェラーリ・バリチェロ、2位はウィリアムズ・モントヤでしたが、セカンドローはダ・マッタ、パニスとトヨタが独占する事になります。5位ルノー・アロンソ、6位ジャガー・ウエーバー、7位マクラーレン・クルサードと続き、タイトルには優勝が最低条件となるライコネンが8位に沈みます。それでも14位のフェラーリ・シューマッハー兄よりは幾分ましなグリッドとなります。
この日、もっとも割を食ったドライバーは、前日トップタイムのルノー・トゥルーリと、同2位のウィリアムズ・シューマッハー弟でしょう。この2人は雨のためアタックを断念し、最後尾からのスタートとなります。
なお急遽参戦が決まったBAR・佐藤は、予選13位、シューマッハー兄の前でスタートとなります。
◇決勝
スタートではややトヨタ勢が遅れ、フェラーリ・バリチェロ、ウィリアムズ・モントヤ、ルノー・アロンソ、トヨタ・ダ・マッタ、マクラーレン・クルサード、トヨタ・パニス、マクラーレン・ライコネンの順で、1コーナーに飛び込んでいきます。その後、スプーンでバリチェロをパスしたモントヤが、オープニングラップを制します。
2周目、BAR佐藤がシケイン入り口でジャガー・ウィルソンをパスし、トップ10に入ります。その佐藤ですが、6周目にはフェラーリ・シューマッハー兄と接触してしまいます。幸い佐藤にはダメージはありませんでしたが、シューマッハー兄はフロントウイングを失い緊急ピットイン、19位まで順位を下げてしまいます。一方のライコネンは、4周目からクルサードの前に出て、5位を走行しますが、ダ・マッタを捕らえられずにいます。
8周目、それまでトップを快走し、2位バリチェロに対し10秒以上のタイム差をつけていたモントヤがスローダウン、リタイヤとなります。
10周目、ダ・マッタがピットインし、1回目のピット作業が始まります。翌11周目、トヨタ・パニスとルノー・トゥルーリ、12周目バリチェロとクルサード、13周目ライコネン、15周目佐藤、16周目BAR・バトンと続きます。
3ストップ勢の1回目ストップが終了した18周目、デグナー付近でアロンソがエンジンブローでリタイヤし、バリチェロ、クルサード、ライコネン、ダ・マッタ、バトン、パニス、ウエーバー、トゥルーリ、佐藤、ウィリアムズ・シューマッハー弟のオーダーとなります。
24周目、ダ・マッタ、シューマッハー弟、シューマッハー兄がピットインし、26周目パニス、27周目バリチェロ、クルサード、32周目トゥルーリ、佐藤、34周目ライコネン、バトンと続きます。このあたりから2ストップと3ストップのピット作業が入り乱れ、38周目シューマッハー兄、39周目ダ・マッタ、シューマッハー弟、40周目バリチェロ、41周目クルサードとピット作業を終えます。その41周目、シケインでシューマッハー兄の左リアタイヤに、シューマッハー弟が接触するアクシデントが発生します。しかしここではシューマッハー兄には大きなダメージがなく、周回に留まることができます。
めまぐるしいピット作業が一息ついた42周目、バリチェロ、ライコネン、クルサード、バトン、トゥルーリ、佐藤、ダ・マッタ、シューマッハー兄のオーダーとなります。チャンピオンには優勝が最低条件のライコネンでしたが、この時点で15秒以上バリチェロに先行されてしまいます。一方のシューマッハー兄は、無理に7位ダ・マッタを抜こうとはせず、8位キープの作戦に切り替えます。こうして順位の変動がないままラスト10周が過ぎ、バリチェロの優勝と共に、シューマッハーのタイトル4連覇と、フェラーリのコンストラクターズ5連覇が決定しました。
◇感想
バリチェロの最高の仕事により、フェラーリがダブルタイトルを獲得しました。長いようで短かった1年間もこれで終わり。しかしながらライコネンとアロンソの成長や、モントヤの活躍により、いつになく楽しいシーズンだったように感じます。またトヨタの躍進も素晴らしく、決勝では戦略のまずさからポイントを逃したとは言え、アメリカ、日本と連続予選3位獲得は予想外でした。このまま来年も成長を続ければ、表彰台に数回は乗れるかもしれません。半面BARは、やっぱりこの程度かと思わせる不本意な成績だったように思えます。来年は佐藤琢磨がフル参戦ですから、更なる戦力アップを願いたいところですね。
そして来年は、モントヤ、ライコネンによるフェラーリ連覇阻止を期待します(笑)。