Round.7 ヨーロッパグランプリ
30.May.2004 : ニュルブルクリンク
◇予選グリッド
BAR・佐藤琢磨、日本人初のフロントロー!!
ヨーロッパGP予選は、佐藤のスーパーラップに尽きます。予選1回目、17番手スタートの佐藤は、それまでトップのフェラーリ・シューマッハー兄のタイムを0.5秒も上回る驚異的なスピードでトップに立ったのです。2回目予選では、シューマッハー兄に先行を許しましたが、見事フロントロー2位からのスタートとなります。
予選結果は、以下3位ルノー・トゥルーリ、4位マクラーレン・クルサード、5位BAR・バトン、6位ルノー・アロンソ、7位フェラーリ・バリチェロ、8位ウィリアムズ・モントヤ、9位シューマッハー弟、10位トヨタ・パニスとなります。
◇決勝
スタートでは、BAR佐藤がやや出遅れますが、1コーナー奥でやや強引な突っ込みで、先行したルノー・トゥルーリを差し戻し、フェラーリ・シューマッハー兄、佐藤、トゥルーリ、マクラーレン・ライコネンの順でコーナーを抜けて行きます。しかしながら後方では、モントヤとシューマッハー弟のウィリアムズ同士が接触、はじき出されたシューマッハー弟は、トヨタ・ダ・マッタとクラッシュ。モントヤはウイングを失いながらもレースには復帰できましたが、シューマッハー弟とダ・マッタは、ここでリタイヤとなります。
1周目の接触はまだ続きます。4コーナーで佐藤とトゥルーリが接触、両者とも順位を落とす結果となります。こうして波乱のオープニングラップは、シューマッハー兄、ライコネン、ルノー・アロンソ、佐藤、フェラーリ・バリチェロ、BAR・バトン、トゥルーリ、トヨタ・パニスのオーダーとなります。
序盤、2位に上がったライコネンが蓋となり、3位アロンソから7位トゥルーリまでが数珠繋ぎとなります。そしてトップのシューマッハーは、2位以下に毎周2秒という差をつけつつ、ハイペースで逃げに入ります。そして8周目、1回目のピットストップを行います。翌9周目ライコネン、続いてトゥルーリと給油を行います。しかしながら翌10周目、給油を終えたばかりのライコネンがエンジンから白煙を吹いてストップ。7戦終了で完走2回と、昨年総合2位のドライバーには辛いシーズンが続きます。
10周目、アロンソとパニス、11周目バトンと給油を済ませ、12周目、日本人初のラップリーダーを記録した佐藤がピットイン、給油前の5位から、3位へ順位を上げて周回に復帰します。15周目、上位陣では最後にバリチェロがピットイン、3位で周回に復帰します。
今回のレースでは、2ストップ作戦を採用したチームと、3ストップ作戦を採用したチームと、ほぼ同数であったという特色がありました。そのため、1回目のピットストップは7〜24周程まで続き、さらに3ストップチームの2回目の給油が25周〜30周まで続くという、順位の判断が難しい状況が続きます。ピットストップが一段落した31周目、オーダーはシューマッハー兄、バリチェロ、佐藤、バトン、トゥルーリ、アロンソ、ザウバー・フィジケラ、ジャガー・ウエーバーとなります。
38周目、バリチェロが2回目最後となる給油を行い3位で周回に復帰します。42周目アロンソ、44周目シューマッハー兄、佐藤、トゥルーリ、フィジケラ、45周目バトンとピット作業を行います。46周目、1コーナーの飛び込みで、佐藤がバリチェロのインを奪います。しかしここでバリチェロも譲らず両者接触、一時は2位を奪い返した佐藤でしたが、接触のためフロントウイングを失っており順位キープは不可能な状況となってしまいます。その周の終わり、ノーズ交換のためにピットへ向かい、5位で周回に復帰します。しかしながら48周目、ストレートで佐藤のエンジンがブロー、リタイヤとなります。
その後60周まで順位の変動はなく、シューマッハー兄が今期6勝目を上げ、バリチェロが2位となります。以下3位バトン、4位トゥルーリ、5位アロンソ、6位フィジケラ、7位ウエーバー、8位モントヤのオーダーでレースを終えます。
◇感想
佐藤、惜しかったです。46周目、そこで仕掛けるか!と思いましたが、確かにバリチェロに並んでますから、チャンスだったんでしょうね(その証拠に、佐藤のフロントウイングは、バリチェロのフロントタイヤに踏まれて破断しています)。でも、1周目のトゥルーリとの危うい場面もありましたから、慎重に行って欲しかったと思う心もあります。
佐藤のドライブは荒いと、海外メディアからは言われていますが、そこで仕掛けてこそレーサーと思い直して、いつの日か表彰台に上がることを期待しています。そう、モナコで優勝したトゥルーリだって、デビューから数年は、決してクレバーなドライビングスタイルではありませんでした。ライコネンだって、ザウバーでの1年目は接触やスピンなど、速いけれど脆い部分がありました。佐藤だって・・・そう思えるのです。