Round.9 アメリカグランプリ
20.Jun.2004 : インディアナポリス・モータースピードウェイ
◇予選グリッド
ポールポジションは、今期初のフェラーリ・バリチェロ、2位は同シューマッハー兄が並び、今期3回目のフロントロー独占となります。3位はBAR・佐藤、4位は同バトンと、セカンドローにはBARが並び、フェラーリ追撃体制を整えます。サードローにはウィリアムズ勢、5位モントヤ、6位シューマッハー弟と巻き返しを狙います。以下7位マクラーレン・ライコネン、8位トヨタ・パニス、9位ルノー・アロンソ、10位ジャガー・ウェーバーの予選結果となります。
◇決勝
フォーメーションラップの直前、5位ウィリアムズ・モントヤに異変が発生、モントヤはピットに走り、スペアカーに乗り換えピットスタートとなります。
スタートでは、フェラーリ・シューマッハー兄と同バリチェロが、蛇行して3位BAR・佐藤を牽制、そのため加速が鈍ったところを、1コーナーアウトから、ルノー・アロンソに抜かれてしまいます。2コーナー入り口で、後続にアクシデントが発生します。ジャガー・クリエンがトヨタ・ダ・マッタに追突、その際にスピンを喫し、ミナルディー・ブルーニのサイドポンツーンに突き刺さります。さらに悪いことに、後続のジョーダン・パンターノ、ザウバー・マッサが巻き込まれ、1週目にて4台が姿を消すことになります。ダ・マッタのみはレースに復帰できましたが、結局このトラブルが原因で、18週目にリタイヤとなります。
この処理のために、セフティーカーが入ります。セフティーカー先導でのレースは4周目まで続き、リスタート直後のストレートで、シューマッハー兄が、バリチェロのスリップから抜け出し、トップへ躍り出ます。しかしこのレースもつかの間、8周目には好スタートで3位に浮上していたアロンソが、ストレートでタイヤバーストに見舞われ、コースに直角になったマシンは、ノーズをウォールにこすりつけながらストレートエンドまで横滑りを続けます。これでアロンソはリタイヤ。しかしながら、ここで撒き散らした破片は、更なるアクシデントを呼び込みます。10周目、最終コーナーを立ち上がったところで、ウィリアムズ・シューマッハー弟が、タイヤバーストでスピン。コーナー外のウォールにマシン後部から激突し、リバウンドでコース中央にはじき反されます。その衝撃でシューマッハー弟は背中を痛めることとなり、大事をとって救出作業は慎重に行われます。この結果、セフティーカーが19周目までレースを先導することとなります。
ここで動いたのはフェラーリ勢。シューマッハー兄とバリチェロを同時にピットに呼び戻し、給油およびタイヤ交換を行います。その他マクラーレン・ライコネン、ルノー・トゥルーリ、トヨタ・パニス等、ほとんどのチームがピット作業を行います。作業を見送ったのは、BAR・佐藤、同バトン、ウィリアムズ・モントヤ、ジャガー・ウェーバー等。しかしながら、コースに残ったチームは、自らの判断ミスを呪う結果となります。メインストレートの破片をよけて、最徐行で走る佐藤よりも、ピット作業を実施したシューマッハー兄の方が、先に1コーナーに進入したのです。この結果、19周目のリスタートのオーダーは、シューマッハー兄、佐藤、バトン、モントヤ、ライコネン、バリチェロ、トゥルーリ、パニスとなります。
24周目バトン、25周目佐藤と、BAR勢はピット作業を行います。この遅きに失したピット作業で、大きく順位を落とした佐藤でしたが、ここからの猛追は、このグランプリのハイライトとなります。
アウトラップのインフィールドで、まずはウェーバーをパス、翌26周目の1コーナー飛び込みで、マクラーレン・クルサードまでもパスします。次いで29周目のバックストレッチでザウバー・フィジケラ、30周目の1コーナーでジョーダン・ハイドフェルドを、相次いでパスし、10位まで落ちた順位を6位まで引き上げます。トップシューマッハー兄に匹敵するラップタイムで飛ばす佐藤は、40周目、再びバックストレッチでパニスをパスし、4位まで浮上します。
上位シューマッハー兄、佐藤、トゥルーリ等が2回目のピット作業を終えた直後の48周目、フィジケラが左リアタイヤバーストによりピットイン、これにより入賞圏内から脱落してしまいます。なおフィジケラは、その後8位まで順位を戻しますが、レース終了間際の67周目、油圧系トラブルでリタイヤとなります。
57周目、それまで3位を走行していたモントヤがピットイン、最後の給油を行います。その直後、なんと黒旗失格。スタート直前のスペアカー交代が結局レギュレーション違反と判定された模様です。こうしてシューマッハー兄、バリチェロ、トゥルーリ、佐藤、パニス、ウェーバー、ライコネン、クルサードのオーダーで、レースは終盤を迎えます。しかし最後までレースは荒れます。61周目、ストレートを走行中のウェーバーのエンジンから出火、多量のオイルがストレートから1コーナーにかけてまかれてしまいます。直後に通過のトゥルーリと佐藤は、1コーナーブレーキングで大きくコースをオーバーランする結果になります。しかしこの事件が、劇的な結果をもたらします。いち早くコースに復帰した佐藤が、トゥルーリを抑えて3位へ!
こうして優勝シューマッハー兄、2位バリチェロ、3位佐藤、4位トゥルーリ、5位パニス、6位ライコネン、7位クルサード、8位ミナルディー・バウムガルトナーの結果となります。
◇感想
完走9台(フィジケラは完走扱い)のサバイバルレースは、日本人14年ぶりの表彰台と、ミナルディー2年ぶりの入賞という、劇的な結末を用意していました。
正直、鈴木亜久里選手の時は、上位が崩れての棚ボタという感が強かったですが(スミマセン)、佐藤の結果はレースの結果ですから。おめでとう琢磨!!