Round.10 アメリカグランプリ
04.Jul.2004 : サーキット・デ・ヌーベル−マニ−クール


◇予選グリッド

 ルノーの母国グランプリ、ここでアロンソが今期初のポールを取得します。2位はフェラーリ・シューマッハー兄。3位はマクラーレン・クルサード。新シャシーMP-4/19B投入効果が早くも出た結果となります。4位はBAR・バトン、5位はルノー・トゥルーリ、6位はウィリアムズ・モントヤ、7位はBAR・佐藤となります。8位にはシューマッハー弟の欠場で代役出場となったウィリアムズ・ジェネ、9位はマクラーレン・ライコネン、10位はフェラーリ・バリチェロとなります。


◇決勝

 スタートではマクラーレン・クルサードが出遅れ、一方ルノー・トゥルーリがすばらしいダッシュを見えます。混乱なく1コーナー・2コーナーをパスしていく各車でしたが、2コーナー・アデレードの侵入で、マクラーレン・ライコネンがBAR・佐藤をかわし順位を上げています。
 オープニングラップは、ルノー・アロンソ、フェラーリ・シューマッハー兄、トゥルーリ、BAR・バトン、クルサード、ウィリアムズ・モントヤ、マクラーレン・ライコネン、BAR・佐藤、フェラーリ・バリチェロ、ジャガー・ウエーバーのオーダーとなります。
 トップを行くアロンソは、走りはじめが速いミシュランタイヤの特性を利用し、2位シューマッハー兄との差を広げに入り、4周目にはその差が1.4秒ほどになります。しかしながら、そこからタイム差を広げることができず、10周目には0.6秒差まで迫られる事態になります。しかしここでシューマッハー兄がピットに入り、バトルは1次中断となります。そのアロンソは、14周までピットインを遅らせ、シューマッハーの前、トップで周回に復帰することに成功します。1回目のピット作業が終わった15周時点での順位は、アロンソ、シューマッハー兄、トゥルーリ、バトン、ライコネン、クルサード、モントヤ、バリチェロとなります。その翌周、佐藤のエンジンがまたしてもブロー。フランスGPリタイヤ1号となります。
 セカンドスティントは淡々と進み、28周目のライコネンのピットインを皮切りに、2回目のピット作業が始まります。ここでの最大の注目は、トップのアロンソと2位シューマッハー兄のピットインのタイミングとなります。まず29周目にシューマッハー兄がピットに入り、6秒台のショートストップを敢行します。そしてややタレ出したタイヤに苦労しながら走るアロンソを尻目に、1分16秒台前半〜15秒台のスーパーラップを連発します。こうして32周目にアロンソがピット作業を終え、コースに復帰した時には、シューマッハー兄は3秒前を走っている状況となります。その後もシューマッハー兄は、アロンソよりも1秒近い速いペースで周回を重ねていきます。
 こうしてほぼレースは確定かと思わせた矢先の42周目、トップのシューマッハー兄が、誰よりも早い3回目のピットストップを行います。そして、2回目のストップよりもやや長い7秒程度の作業でコースへ戻っていきます。この時点で、シューマッハー兄の作戦が4ストップであることが判明します。そしてフレッシュタイヤと軽いタンクで1分15秒台を連発し、46周目にアロンソがピット作業を終えた際には、16秒先を走っている事となります。52周目、バトンが3回目のピットストップを行います。しかし発車の際のクラッチミートでミスを行い数秒をロス、これがあやとなりトゥルーリに先行を許すほか、アデレードでバリチェロにも先を越されてしまいます。この後3台は、最終ラップまで激しいバトルを展開することとなります。
 58周目、トップのシューマッハー兄が、4回目となるピットストップを行います。この時点までに30秒近いマージンを稼いでいたシューマッハー兄は、難なくアロンソの前でレースに復帰します。
 一方3位以下は混戦で、トゥルーリ、バリチェロ、バトンが、約0.6秒差で続く状態が続きます。そそて最終ラップ、それまで3位をキープしていたトゥルーリでしたが、シケイン手前でついにバリチェロにつかまります。やや加速が鈍ったところをバリチェロが見逃さず、インから抜き去ったのです。
 こうしてシューマッハー兄が、前代未聞の4ストップで優勝を飾り、2位アロンソ、3位バリチェロのポディウムとなります。以下4位トゥルーリ、5位バトン、6位クルサード、7位ライコネン、8位モントヤ、9位ウエーバー、10位ウィリアムズ・ジェネのオーダーで、チェッカーとなります。


◇感想

 シューマッハーの4ストップには驚きました。路面温度の上昇と、タイヤタレのラップタイムに及ぼす効果を的確に判断し、4ストップを指示したロス・ブラウンもすごいですが、軽いタンクで予選並みのハイパーラップを連発したシューマッハーもすごい。どちらかというと、チャンレンジャーチームがとるべき作戦を、チャンピオンチームが採用するとは! 勝利への貪欲さが生んだチャレンジと言うべきでしょうか。
 そのシューマッハーの影に隠れてしまいましたが、バリチェロもオーバーテイクで魅せました。バトン、そして最終ラップのトゥルーリと、よくぞ追い抜いたって感じ。相手がシューマッハーじゃないと、ちゃんと抜くんですよね、この人は(笑)。


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