Round.18 日本グランプリ
09.Oct.2005 :鈴鹿サーキット・インターナショナル・レーシングコース
◇予選グリッド
ウエットコンディションで始まった予選。予選後半になると雨足が強まるアヤもあり、ポールポジションはトヨタ・シューマッハー弟、2位はBAR・バトン、3位はルノー・フィジケラとなります。こんなコンディションであるため、4位以下も大混乱で、4位レッドブル・クリエン、5位BAR・佐藤、6位レッドブル・クルサード、7位ウィリアムズ・ウエーバー、8位ザウバー・ビルヌーブ、9位フェラーリ・バリチェロ、10位ザウバー・マッサと、中堅チームがトップ10を占める結果となります。そして反対に、ルノー・アロンソが16位、マクラーレン・ライコネンが17位、同モントヤが18位と、普段上位を占めていたドライバーが、軒並み下位に沈む結果となります。
◇決勝
スタートでは、トヨタ・シューマッハー弟、ルノー・フィジケラ、レッドブル・クルサードがダッシュを決め、反面BAR・バトン、佐藤がやや遅れます。特に佐藤は出だしの加速が鈍く、前が塞がったためにコースアウト、同じく行き場を失ったフェラーリ・バリチェロと接触してしまいます。この結果バリチェロはタイヤ交換のため、佐藤はノーズ交換のため、それぞれピットに向かうこととなります。しかしオープニングのアクシデントはこれだけではなく、最終コーナーの出口でマクラーレン・モントヤとザウバー・ビルヌーブが接触、モントヤは大きく外にはじき出され、タイヤバリアに激突してリタイヤとなります。この事故の処理のため、セフティーカーが入ることとなります。
リスタートは7周目、この時点でのオーダーはシューマッハー弟、フィジケラ、バトン、クルサード、ウィリアムズ・ウエーバー、レッドブル・クリエン、フェラーリ・シューマッハー兄、ルノー・アロンソ、ザウバー・ビルヌーブ、ウィリアムズ・ピッツォニアとなります。リスタート直後のストレートエンドで、シューマッハー兄がクリエンをパスし6位へ順位を上げます。翌7周目、今度はアロンソがクリエンを抜きにかかりますが、勢いあまってシケインをショートカットしてしまいます。このままではペナルティーの対象になるため、一度スローダウンしクリエンを前に行かせた後、再度ストレートでオーバーテイク、これでアロンソが7位に浮上します。しかしこの行為にスチュワートからクレームがつき、再度のスローダウンを強要されます。この結果アロンソは10周までクリエンの後ろを走らされる事となります。アロンソが再びクリエンをパスした直後、シケインでトヨタ・トゥルーリと佐藤が接触。トゥルーリはサイドポンツーンに大穴を空けられリタイヤとなります。
13周目、トップのシューマッハー弟が早々にピットイン9位で周回に復帰します。一方ようやくクリエンをパスしたアロンソは、14周あたりからシューマッハー兄とテール・トゥ・ノーズ状態となります。しかしシューマッハー兄は、要所要所でラインをふさぐ巧みなブロックで、20周までの6周にわたりアロンソを抑え続けます。しかし最後は勢いに乗るアロンソに軍配があがり、西ストレートエンドから130R入り口にかけて、アウト側から豪快にオーバーテイクを敢行、ついにシューマッハー兄の前に出ます。
21周目、トップのフィジケラがピットイン、通常の2ストップ勢の給油作業が始まります。そのなかでも最後まで引っ張ったのはシューマッハー兄とライコネン。26周目に同時にピットインし、一度は抜かれたアロンソの前で周回に復帰します。
29周目、1コーナーの進入で、ライコネンがシューマッハー兄をパスします。次いで31周目、今度はアロンソが最終コーナー出口でシューマッハー兄のスリップに入り、ストレート半ばでオーバーテイク。こうしてフィジケラ、バトン、ウエーバー、ライコネン、アロンソ、シューマッハー兄、クルサード、シューマッハー弟のオーダーとなります。
36周目から2回目のピット作業がはじまります。41周目、3位バトンと4位ウエーバーが同時ピットイン、ここでウエーバーが前に出ることに成功します。45周目、トップを走っていたライコネンがピットイン、1ストップであれば楽勝の展開でしたが、さすがにガソリンがもたなかった模様です。こうして再びトップはフィジケラとなり、以下ライコネン、ウエーバー、アロンソ、バトン、クルサード、シューマッハー兄、シューマッハー弟、クリエン、マッサというオーダーになります。
しかし今年の鈴鹿は、レース終盤にドラマがまっていました。まず48周目、1コーナーでアロンソがウエーバーをかわし3位へ。そして最終ラップの53周目、1コーナーの飛び込みで、ライコネンがフィジケラを捕らえ、一気に抜き去ります。最終ラップでのオーバーテイクにより、ライコネンが劇的な今期7勝目を上げ、フィジケラ、アロンソのルノー勢がこれに続くという結果となりました。以下4位ウエーバー、5位バトン、6位クルサード、7位シューマッハー兄、8位シューマッハー弟、9位クリエン、10位マッサとなります。
なおレース後、モントヤと接触したビルヌーブには+25秒のタイム加算、トゥルーリと接触した佐藤は失格というペナルティーが科せられます。
◇感想
予選17位から優勝。今年のマクラーレンの速さ、ライコネンの速さが光ったレースでした。一方のルノーも、フィジケラがファイナルラップまでトップを守り、16位スタートのアロンソが3位という、これも速さと信頼性を見せ付けた結果となりました。なるほど、今年はこの2チームにより選手権が争われていたと、妙に納得させられるレースでした。鈴鹿に珍しく、オーバテイクが多かったのも、最速の2人が後方スタートだったからこそ。こうみると予選の雨により、最高の演出がなされた日本グランプリと言えるでしょう。
佐藤は・・・あえて語らず(涙)