Round.13 ハンガリーグランプリ
06.Aug.2006 :ハンガロリンク


◇予選グリッド

 フリー走行での危険行為からルノー・アロンソが、同じくフリー走行での赤旗無視(追い越し)からフェラーリ・シューマッハー兄が、予選各セッションのタイムに2秒加算されるペナルティーを課せられます。
 この異様な状況において、見事ポールを獲得したのはマクラーレン・ライコネン。2戦連続となるポールから、今期初勝利を目指します。2位はフェラーリ・マッサ、3位にはホンダ・バリチェロが入ります。4位は同じくバトン。しかしバトンは、フリー走行でエンジンがブローしており、10グリッドの降格が決まっています。以下5位マクラーレン・デ・ラ・ロサ、6位ウィリアムズ・ウエーバー、7位トヨタ・シューマッハー弟、8位ルノー・フィジケラ、9位トヨタ・トゥルーリ、10位BMWザウバー・クビカとなります。
 なお予選2秒加算ペナルティーのシューマッハー兄は12位、アロンソは15位に終わります。またスーパーアグリ・佐藤は20位、山本は22位となります。


◇決勝

 前日の晴天から一転、午前中の大雨によりウエットコンディションとなったレース、スタートではマクラーレン・ライコネン、ホンダ・バリチェロ、マクラーレン・デ・ラ・ロサらが好スタートを決めます。また後方ではフェラーリ・シューマッハー兄、ルノー・アロンソが猛ダッシュを決め、コーナーで次々とオーバーテイクを決めていきます。こうしてオープニングは、ライコネン、バリチェロ、デ・ラ・ロサ、シューマッハー兄、ルノー・フィジケラ、アロンソ、フェラーリ・マッサ、BMWザウバー・クビカのオーダーとなります。
 普段はオーバーテイク不可能なサーキットといわれるハンガロリンクですが、ウエットの今日だけは、各所でオーバーテイクが見られました。まず2周目、ホンダ・バトンがレッドブル・クルサードを、3周目にはアロンソがシューマッハー兄を、4周目にはデ・ラ・ロサがバリチェロを、それぞれオーバーテイクしていきます。
 16周目、ストレートでフィジケラがシューマッハー兄をオーバーテイクします。しかしシューマッハー兄はコーナー出口でクロスラインを選び、フィジケラの前にノーズをねじ込みます。しかし速度に勝るフィジケラが前を押さえ、その際フィジケラのリアタイヤとシューマッハー兄のフロントウイングが接触してしまいます。こうしてシューマッハー兄はウイング交換のためピットへ、ポイント圏から脱落してしまいます。一方のアロンソは、17周目にライコネンがピットに入ったことによりトップに立ちます。そして24周目、ついにシューマッハー兄を周回遅れとしてしまいます。レースが大きく動いたのが26周目、2位走行中のライコネンが、こともあろうにトロロッソ・リウッツィに追突、両者大破してリタイヤとなったのです。この事故処理のためセフティーカーが30周目まで入ります。この間アロンソ、デ・ラ・ロサ等、トップ勢はピットに入ります。一方ピットに入らなかったバトンは2位に、シューマッハー兄はトップと同一周回の7位に、それぞれ順位を上げます。
 こうしてリスタートの32周目、順位はアロンソ、バトン、デ・ラ・ロサ、バリチェロ、BMWザウバー・ハイドフェルド、クルサード、シューマッハー兄、マッサ、トヨタ・シューマッハー弟、BMWザウバー・クビカとなります。
 46周目、2位バトンと、5位まで順位を上げていたシューマッハー兄がピットイン、両者ともウエットタイヤは変えることなく、給油のみの作業となります。一方トップのアロンソは51周目にピットインし、こちらはドライタイヤに履き替えて周回に復帰します。しかしその直後、アロンソがスローダウン、ドライブシャフト破損のためリタイヤとなります。こうしてトップに立ったバトンは、54周目にタイヤをドライに履き替え、万全の体制を築きます。この時点で2位はシューマッハー兄。しかしシューマッハー兄のタイヤはウエットであり、レコードラインが完全に乾いたコースでは、後続に対し1〜2秒遅いタイムでしか走れません。こうして66周目にデ・ラ・ロサ、67周目にハイドフェルドと次々とパスされていきます。加えてハイドフェルドにパスされる際の接触が原因でスローダウン、ピットにたどり着いたところでリタイヤとなります。
 こうして波乱の70周のレースは、バトンの初優勝で幕を閉じ、2位にはこちらも初表彰台のデ・ラ・ロサが、3位にはハイドフェルドが入りました。以下4位バリチェロ、5位クルサード、6位シューマッハー弟、7位クビカ、8位マッサ、9位シューマッハー兄、10位ミッドランド・モンテイロとなりました。
 なおレース後の車検で、クビカが最低重量を満足しておらず失格、シューマッハー兄が8位に繰り上がり貴重な1ポイントを手にしました。


◇感想

 タイトル争いをしているアロンソとシューマッハー兄が、ペナルティーを課せられるという波乱の幕開となったレースは、トップを快走していたアロンソがリタイヤし、シューマッハー兄もリタイヤするという波乱ずくめ。そしてその波乱のレースを制したのはバトンでした。いつ勝のか、いつ勝のかと言われ続けたバトンも、113戦目にしてようやく初勝利を上げました。そしてホンダ。第三期初の、そしてコンストラクターズとして39年ぶりとなる3勝目を挙げ、こちらもファンをヤキモキさせ続けた末の優勝となりました。
 運に助けられたレース展開とはいえ勝利は勝利、おめでとうと言わせてもらいます。2勝目が程なく訪れることを期待しつつ、次はトヨタにがんばってもらいたい気分です。
 タイトル争いは小休止。でもこんなレースも良いですよね。


[ Back ]