Round.15 イタリアグランプリ
10.Sep.2006 :アウトードロモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ


◇予選グリッド

 予選トップは、マクラーレン・ライコネン。次いでフェラーリ・シューマッハー兄が2位につけます。3位はBMWザウバー・ハイドフェルド、4位にフェラーリ・マッサが入ります。5位はルノー・アロンソ。予選第3セッション始めに起きた、右リアタイヤのバーストにより、サード・ローに沈みました。
 以下6位ホンダ・バトン、7位BMWザウバー・クビカ、8位マクラーレン・デ・ラ・ロサ、9位ホンダ・バリチェロ、10位ルノー・フィジケラとなります。スーパーアグリの佐藤は21位、山本は22位の結果でした。
 そして予選終了後に、大事件が発生します。なんと予選5位のアロンソが、走行妨害の判定で予選最高タイムの抹消ペナルティーを受けたのです。こうしてアロンソは10位からの決勝スタートとなります。


◇決勝

 スタートでは、マクラーレン・ライコネンとBMWザウバー・ハイドフェルドが好スタートを決めます。一方のフェラーリ・シューマッハー兄はやや遅れ、1コーナーの順位は、ライコネン、ハイドフェルド、シューマッハー兄となります。しかしハイドフェルドにトラブルが発生したのかスピードが伸びず、シューマッハー兄に先を越されるとともに、僚友クビカ、フェラーリ・マッサ、ホンダ・バトンと、次々とオーバーテイクされてしまいます。こうしてオープニングは、ライコネン、シューマッハー兄、クビカ、マッサ、バトン、ハイドフェルド、ルノー・アロンソ、マクラーレン・デ・ラ・ロサ、ルノー・フィジケラ、ホンダ・バリチェロのオーダーとなります。
 序盤はライコネンとシューマッハー兄が逃げ、3位以下が混戦となる展開となります。ライコネンとシューマッハー兄は、10周目にはクビカに10秒以上の差をつけ、一方のクビカはマッサ、バトン、アロンソを抑え続けます。膠着のレースが動いたのは15周目、まずトップのライコネンがピットに入り、17周目にシューマッハー兄がピットに入ります。そしてシューマッハー兄は6位、ライコネンの前で周回に復帰し逆転を果たします。19周目マッサとアロンソが同時にピットイン、また翌20周にはバトンがピットに入ります。ここでバトンは、アロンソを僅差で交わし順位をキープしますが、続くシケインでアロンソにオーバーテイクされ、順位を落とすこととなります。この時点での順位は、クビカ、シューマッハー兄、ライコネン、フィジケラ、バリチェロ、マッサ、ハイドフェルド、アロンソ、バトン。この中でクビカ、フィジケラ、バリチェロは1ストップ作戦をとっていると思われ、まだ1回目のピット作業を済ませていません。しかしクビカは22周にピットイン、10秒の給油時間で周回に戻り、変則2ストップ作戦であることが判明します。その後フィジケラは26周目に、バリチェロは引っ張りに引っ張って30周目に1回目のピットストップを行います。この時点で、シューマッハー兄、ライコネン、クビカ、マッサ、アロンソ、バトン、フィジケラ、ハイドフェルド、バリチェロ、レッドブル・クルーサードのオーダーとなります。
 38周目、2位ライコネンが先に動き、2回目のピット作業を行います。これを見て、翌39周目にはシューマッハ兄、ついでマッサがピット作業を行います。そして41周目、3位争いをしていたクビカとアロンソが同時にピットイン。アロンソが若干速く作業を終えますが、クビカも強引に割り込み、2台がピットレーンを併走する事態となります。しかし頭一つ抜けたアロンソが、クビカより先に1コーナーに飛び込み、これでシューマッハー兄、ライコネン、アロンソのオーダーとなります。こうして10位からの追い上げで、表彰台圏内を確保したアロンソでしたが、43周目に悪夢がおそいます。ストレートエンドでいきなりエンジンがブロー、白煙を上げてマシンはストップしてしまいます。これで割を食ったのがマッサ。追突を避けるために急ブレーキを踏んだため、フロントタイヤにフラットスポットを作ってしまい、タイヤ交換のためピットストップを余儀なくされたのです。こうしてマッサは5位から9位に転落し、ポイント圏内から脱落してしまいます。
 こうしてライバルが消えたレースを、シューマッハー兄は余裕を持って走りきり、今期6度目の優勝を飾ります。2位にはライコネン、3位にはクビカが入り、F1参戦3戦目にして初のポディウムとなります。以下4位フィジケラ、5位バトン、6位バリチェロ、7位トヨタ・トゥルーリ、8位ハイドフェルド、9位マッサ、10位ウィリアムズ・ウエーバーの結果となりました。
なおスーパーアグリ・佐藤は16位完走でした。


◇感想

 終盤アロンソが3位まで盛り返し、このままフィニッシュで8ポイント差。トルコで自分に傾いた流れを確かにとらえたか? こう思った矢先の無情のエンジンブロー。これでポイント差は一気に2。完全にシューマッハーに捉えられたという状況です。流れは完全にシューマッハー。中国GPでポイントが逆転する可能性も現実味を帯びてきました。
 そしてレース後の会見。ついにシューマッハーの口から、引退の言葉がはき出されました。数々の記録を打ち立て、名実ともにF1の皇帝となったシューマッハー。そんな皇帝にも、ついにサーキットを去る時が訪れました。しかし堂々チャンピオン争いをしている立場での引退宣言に、皇帝たる所以を見た気がします。
 今シーズンは残り3戦。それが終わるまで、さようならは言いません。


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