Round.16 中国グランプリ
01.Oct.2006 : 上海インターナショナル・サーキット


◇予選グリッド

 雨の予選、ポールはルノー・アロンソ、2位には同フィジケラがつけ、ここ数戦精彩を欠いていたルノーがフロントローを独占します。セカンドローはホンダ勢、3位バリチェロ、4位バトンと続きます。5位はマクラーレン・ライコネン、6位にようやくフェラーリ・シューマッハー兄が入り、以下7位マクラーレン・デ・ラ・ロサ、8位BMWザウバー・ハイドフェルド、9位同クビカ、10位レッドブル・ドーンボスのオーダーとなります。なおドーンボスは、クリエンに代わっての出場となります。


◇決勝

 決勝前の雨で、ウエットコンディションで始まったレース、スタートではマクラーレン・ライコネンが素晴らしいダッシュを見せ、1コーナーアウトからホンダ・バリチェロをパス、次いでバックストレートでホンダ・バトンも捉えオープニングで3位にまで順位を上げます。この結果、オープニングラップはルノー・アロンソ、同フィジケラ、ライコネン、バトン、バリチェロ、フェラーリ・シューマッハー兄、マクラーレン・デ・ラ・ロサ、トロロッソ・スピード、BMWザウバー・ハイドフェルド、トロロッソ・リウッツィとなります。
 序盤、路面コンディションの悪さから、各所でオーバーテイクシーンが見られます。8周目には最終コーナーでシューマッハー兄がバリチェロをパス(5位)、10周目の13コーナーではウィリアムズ・ロズベルグがレッドブル・クルサードをパス、しかし続く1コーナーでは、逆にクルサードがロズベルグを抜き返し13位を奪還、同周フェラーリ・マッサがトヨタ・トゥルーリをパス(15位)、翌周1コーナーでマッサが今度はロズベルグをパス(14位)、12周目のヘアピンでライコネンがフィジケラをパス(2位)、13周目のバックストレート、シューマッハー兄がバトンをほぼ中間地点で豪快にパス(4位)等々。
 こうして13周を終わった時点で、アロンソ、ライコネン、フィジケラ、シューマッハー兄、バトン、バリチェロ、デ・ラ・ロサ、ハイドフェルドのオーダーとなります。
 15周目、バトンが1回目のピットインを行い、ここから各車1回目の給油ストップが始まります。16周目にはライコネン、17周目にはバリチェロとデ・ラ・ロサが同時ピットインとなります。しかし18周目、4位(実質2位)を走行していたライコネンがスローダウン、エスケープゾーンに車を入れ、そこでリタイヤとなります。
 21周目シューマッハ兄、22周目アロンソ、23周目フィジケラとピットインし、これで上位陣の1回目のピット作業が終了します。24周目、粘り強い走りで5位まで順位を上げていたザウバー・クビカがピットイン、ここでドライタイヤにチェンジするという賭に出ます。しかし路面の状況はまだドライタイヤで走れるほど回復してはおらず、スピンやコースオフを連発し、一気に17位までドロップダウン、たまらずピットに戻りレインタイヤに履き替えるも、ここでのタイムロスが大きく響き、結局14位でレースを終えるこことなります。
 一方トップのアロンソは、1回目の給油の後ペースが上がらず、2位フィジケラ、3位シューマッハー兄との差がみるみる縮まっていきます。そして28周目、一時20秒あったその差は、とうとう1秒を切ってしまいます。こうなるとオーバーテイクは時間の問題、29周目のバックストレートで、まずフィジケラが、次いで30周目のターン3で、シューマッハー兄がインから切り込みパス。こうしてフィジケラ、シューマッハ兄、アロンソのオーダーに変わります。
 路面はこのあたりから乾き始め、34周目にバトンとマッサ、35周目にはアロンソがドライタイヤに履き替えます。しかしここでアロンソにトラブル発生、右リア交換に手間取り20秒もの静止を強いられたのです。一方トップのフィジケラは、41周目にタイヤをドライに履き替え、順位を落とすことなくコースに戻ります。しかし温度が上がり切らないタイヤはグリップ力に劣り、1コーナーでアウトにふくらんでしまいます。ここを突いたのがシューマッハー兄。シューマッハ兄のタイヤは、前の周に交換しておりグリップ力は十分。そうしてブロックするフィジケラを、車を半ば芝生に落としてかわし、一気に抜き去ります。一方後方では、アロンソが生き返りファステストラップを連発、47周目のバックストレートでフィジケラをかわし2位に返り咲きます。
 50周目、レース終盤になって再びコースに雨が降り始めます。この悪いコンディションにも関わらず、アロンソはプッシュを続け、一時30秒以上あったシューマッハー兄との差を、53周目には8秒にまで縮めてきます。そしてファイナルラップの56周目、ターン13で最後のドラマが起きます。4位集団がバックマーカーに追いついたターン13、ここでバックマーカー(ミッドランド・アルバース、スーパアグリ・佐藤)に引っかかったハイドフェルドを、バリチェロがインから、バトンがアウトからオーバーテイク、バリチェロはハイドフェルドと接触しスピンオフ、その混乱の中、バトン、デ・ラ・ロサが順位を上げチェッカー。
 こうしてシューマッハー兄が今期7勝目を飾り、2位にはアロンソ、3位にはフィジケラが入り、ドライバーズはシューマッハ兄がアロンソを、コンストラクターズはルノーがフェラーリを、それぞれ逆転することに成功します。
 以下4位バトン、5位デ・ラ・ロサ、6位バリチェロ、7位ハイドフェルド、8位ウィリアムズ・ウエーバー、9位クルサード、10位トロロッソ・リウッツィの結果となります。


◇感想

 ついにシューマッハー兄がアロンソにポイントで追いつきました。これで優勝回数で上回るシューマッハ兄が、一昨年の最終戦ブラジルGP以来となるドライバーズランキング1位になりました。しかし最短だと次戦鈴鹿でチャンピオンが決まりますが、今GPの終盤で見せたようにアロンソの速さも素晴らしく、どちらかが相手を大きく引き離す展開にはならないでしょう。
 こうなると怖いのは、マシントラブルとアクシデントに巻き込まれること。どちらかのミスがタイトルの行方を決めてしまうという、ハラハラドキドキの展開が続くこととなるでしょう。
 見ている方は楽しいのですが(笑)


[ Back ]