Round.18 ブラジルグランプリ
22.Oct.2006 : アウトードロモ・ホセ・カルロス・パーチェ
◇予選グリッド
予選トップはフェラーリ・マッサ。母国グランプリで、うれしい今期3度目のポールとなります。2位はマクラーレン・ライコネン、3位はトヨタ・トゥルーリ。ルノー・アロンソは4位からチャンピオンシップの獲得を掛け、スタートとなります。以下5位ホンダ・バリチェロ、6位ルノー・フィジケラ、7位トヨタ・シューマッハー弟、8位BMWザウバー・ハイドフェルド、9位同クビカとなります。
チャンピオンシップの獲得には最低優勝が必要なフェラーリ・シューマッハー兄は、予選第二ピリオドで最速ラップをたたき出しながら、第三ピリオド開始直後に燃圧低下のトラブルに見舞われノータイム。予選10位からの厳しいスタートとなります。
スーパーアグリ佐藤は20位、山本は21位でした。
◇決勝
スタートでは大きな混乱もなく、各車1コーナーへ飛び込んでいきます。しかし4コーナーでウィリアムズ・ウエーバーに同ロズベルグが追突、ウエーバーはリアウイングを失いピットに戻ったところでリタイヤとなります。一方のロズベルグはその後半周を走り続けますが、アクシデントの影響か14コーナーでバランスを崩しそのまま直進、タイヤバリアに激しくヒットした後はじき返され、コース内で停止。この事故の処理のため、セフティーカーが入ります。
6周目、セフティーカーが退きリスタート。この時点でのオーダーは、フェラーリ・マッサ、マクラーレン・ライコネン、トヨタ・トゥルーリ、ルノー・アロンソ、同フィジケラ、フェラーリ・シューマッハー兄、ホンダ・バリチェロ、トヨタ・シューマッハー弟となります。8周目、ストレートでシューマッハー兄がフィジケラをパス、順位を5位に上げます。しかし直後、左リアタイヤのバーストによりスローダウン。ピットでタイヤ交換と給油を行いますが、1分以上のタイムをロスし最下位に転落してしまいます。また10周目、トゥルーリとシューマッハー弟が相次いでピットイン、メカニカルトラブルにより2台とも戦列を去ります。
21周目、ライコネン、フィジケラ、バリチェロがピットに入り、1回目の給油作業が始まります。24周目にはマッサ、25周目にはバトン、26周目にはアロンソがピット作業を行い、バトンはフィジケラ、バリチェロを、アロンソはライコネンを逆転し、順位を上げます。この結果、この時点でのオーダーは、マッサ、マクラーレン・デ・ラ・ロサ、アロンソ、ライコネン、バトン、フィジケラ、バリチェロ、BMWザウバー・クビカとなります。
28周目、ストレートでバトンがライコネンをパスし、4位へ順位を上げます。35周目、デ・ラ・ロサがようやくピットイン、上位でただ一人の1ストップ作戦となります。そしてこの周、シューマッハー兄がトップ10内に戻ってきます。ここからはシューマッハー兄の独壇場、36周目にストレートエンドでBMWザウバー・ハイドフェルドを難なくパスし8位に順位を上げるや、39周目にはクビカもパスします。しかし直後にスローダウン、再びクビカに先行を許してしまいますが、41周目の最終コーナーでクビカを再び捉えオーバーテイク、7位に順位を戻します。46周目バリチェロがピットインしたため6位に順位を上げ、翌47周目に自身がピットイン。これで8位になりますが、51周目のストレートエンドでバリチェロをパス、6位まで順位を戻します。この間49周目にフィジケラ、50周目にバトン、51周目にライコネン、52周目にマッサがピットインし、オーダーはマッサ、アロンソ、バトン、ライコネン、フィジケラ、シューマッハー兄、バリチェロ、デ・ラ・ロサとなります。
シューマッハー兄のオーバーテイクショーは、レース終盤になっても続きます。62周目、ストレートのブレーキング勝負でフィジケラをかわすと、68周目のストレートエンドでライコネンのインをつき、そのままサイドバイサイドで1コーナーに突入、コーナー立ち上がりで前に出て4位へ。しかし残り3周では前のバトンまで届かずチェッカーを迎えます。
こうしてマッサが2回目の優勝を母国で飾り、アイルトン・セナ以来、13年ぶりとなるブラジル人のブラジルGPウィナーとなります。2位はアロンソ、これでチャンピオンシップ2連覇が決定します。以下3位バトン、4位シューマッハー兄、5位ライコネン、6位フィジケラ、7位バリチェロ、8位デ・ラ・ロサ、9位クビカ、そして10位にスーパーアグリ・佐藤が入り、今期最終レースでチーム最高順位を塗り替え、念願のトップ10入りを果たします。
◇感想
長かった2006年シーズンも、アロンソとルノーの連覇で幕を閉じました。勝てない時もしぶとく表彰台は確保し、得点差を最小に抑えたアロンソのドライビングテクニックと、それを支えたルノーの信頼性がもたらした結果だと思います。
そしてシューマッハー兄。相次ぐトラブルにもかかわらず、怒涛の走りを披露した姿に、7度ものワールドチャンピオンに輝いた底力を感じました。決して好きなドライバーではありませんでしたが、名実ともに彼がF1を引っ張ってきた偉大なドライバーの引退に拍手を送らせていただきます。
引退というと、ミシュランもこのレースがラストでした。ミシュランvsブリヂストンの壮絶なタイヤ戦争。ダブルタイトルで有終の美を飾ったフランスの偉大なメーカーにも、合わせて拍手を送ります。
来年はアロンソとライコネンの移籍により、勢力図が大きく変わる可能性があります。トップドライバーを失ったルノー(フィジケラは好きなのですが、アロンソに比べると・・・涙)が、どこまで凋落を防ぐのか、そしてマクラーレンの復活はあるのか。これにホンダとBMWがどうからんでくるのか、このあたりが楽しみとなるでしょう。加えてタイヤのワンメイクや、テスト制限、悪法のエンジンホモロゲートなど、どうレースに影響してくるのか計り知れません。
それでは、来年3月のメルボルンまで、ごきげんよう!