Round.1 オーストラリアグランプリ
18.Mar.2007 : アルバートパーク・サーキット


◇予選グリッド

 長くF1界の頂点に君臨していたミハエル・シューマッハー。その偉大なる皇帝の引退により、どのような勢力変化が生じるのか、期待と不安を織り交ぜた開幕戦。予選では順当なトップ争いと、番狂わせの中盤争いが見物となりました。
 予選トップはフェラーリ・ライコネン、2位はマクラーレン・アロンソと、二人が順当にフロントローを分け合いました。一方3位は、テストからの好調を引き継いだBMWザウバー・ハイドフェルド、4位は今期デビューの大型新人マクラーレン・ハミルトンが入ります。以下5位BMWザウバー・クビカ、6位ルノー・フィジケラ、7位レッドブル・ウエーバー、8位トヨタ・トゥルーリ、9位同シューマッハーとなります。そして10位には、昨年のデビュー以来初めてセカンドピリオド・最終ピリオド進出を果たした、スーパーアグリ・佐藤が入ります。
 一方で精彩を欠いたのはホンダ勢。バトンが14位、バリチェロがトラブルのため17位と、大きく沈んでしまいます。またフェラーリ・マッサはエンジントラブルで予選16位止まり。しかもエンジン交換によるペナルティーで、決勝は最後尾スタートとなり、僚友と明暗を分けました。


◇決勝

 フォーメーションラップのスタートで、トヨタ・シューマッハーが、エンジンブローを彷彿とさせるおびただしい白煙をあげますが、無事にスタートを切ることができ、各車ダミーグリッドから離れることができます。
 そしてスタート。ここでスーパーアグリ・デビッドソンがスタートできず大きく出遅れます。一方トップ集団では、マクラーレン・ハミルトンが好スタートを決めます。一次マクラーレン・アロンソ、BMWザウバー・クビカに前を押さえられますが、そこから大きくアウト側に振り、1コーナー外側から一気に二人をパスしていきます。こうしてオープニングは、フェラーリ・ライコネン、BMWザウバー・ハイドフェルド、ハミルトン、アロンソ、クビカ、ルノー・フィジケラ、レッドブル・ウエーバー、トヨタ・シューマッハー、同トゥルーリ、スーパーアグリ・佐藤となります。
 レース序盤はライコネンが飛ばし、10周目には2位ハイドフェルドとの差を8秒まで広げます。そのハイドフェルドですが、14周目に早くも1回目のピット作業を行います。トップのライコネンは18周目、アロンソは22周目、ハミルトンは23周目と、それぞれピット作業を行い、トップで最も引っ張ったマッサがピットに入ったのは29周目。この結果、ライコネン、ハミルトン、アロンソ、クビカ、ハイドフェルド、フィジケラ、シューマッハー、ウィリアムズ・ロズベルグ、ルノー・コバライネン、マッサのトップ10となります。
 ここからレースは若干の荒れ模様を見せます。30周目、トロロッソ・スピードがオーバーランによりタイヤバリアへ激突しリタイヤ、36周目にはクビカが一時スロー走行となります。クビカは結局ギアボックスのトラブルで、後ほどリタイヤしてしまいます。38周目のハイドフェルドのピットストップをはさみ、40周目、コバライネンが単独スピンを喫し、直後を走行していたマッサが8位へ浮上します。41周目ライコネン、42周目ハミルトン、45周目アロンソとピットインし、この結果アロンソがハミルトンをかわし2位へ浮上します。49周目、ウィリアムズ・ブルツのインを突いたレッドブル・クルサードでしたが、ブルツがクルサードにかぶせるようにインに寄せ接触。クルサードはブルツの前輪に乗り上げ、大きくバウンドして吹き飛ばされます。このとき、クルサードのシャシーがブルツの眼前をかすめ、あわや大事故というきわどいタイミングとなります。この結果クルサードがリタイヤ、ブルツも数周走った後、リタイヤとなります。
 ラスト5周を切った53周目、5位フィジケラと6位マッサの差が0.5秒を切り、順位争いが白熱してきます。また9位トゥルーリ、10位コバライネン、11位ホンダ・バリチェロも接戦となります。しかし残り周回でオーバーテイクするまで至らずチェッカー。こうして開幕戦はライコネンが優勝、2位がアロンソ、3位がハミルトンとなります。以下4位ハイドフェルド、5位フィジケラ、6位マッサ、7位ロズベルグ、8位シューマッハー、9位トゥルーリ、10位コバライネンの結果となります。
 なおスーパーアグリは佐藤が12位、デビッドソンが17位とダブル完走を果たします。一方ホンダは、バリチェロが11位、途中ピットレーンのスピード違反でドライブスルーペナルティーを受けたバトンが15位と、不本意な結果となります。


◇感想

 エンジン開発凍結(ホモロゲーション)、レブリミットの設定、ハードとソフト、決勝で2種類のタイヤを使わなければならないタイヤルール。こうした訳の判らないレギュレーションが追加された今年のF1でしたが、結果は速いドライバーはやっぱり速いと言うところでしょうか。
 しかしハミルトン、これほどのポテンシャルを見せるとは思いませんでした。レース経験の差から、最終スティントでアロンソに先行されてしまいますが、スタートおよび1回目のピットストップでは、アロンソを上回るパフォーマンスを見せ、堂々3位表彰台を獲得するという鮮烈なデビューを果たしました。
 アロンソの3連覇を阻むのは、あるいはライコネンではなくハミルトンになるのかも知れません。


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