Round.6 カナダグランプリ
10.Jun.2007 : ジル・ビルヌーブ・サーキット


◇予選グリッド

 予選は、マクラーレン・ハミルトンが初ポールを獲得、アロンソも2位につけ、マクラーレンがフロント・ロウを独占します。3位はBMWザウバー・ハイドフェルドが入り、2強に割り込む大活躍を見せます。その2強の一方、フェラーリ勢は、ライコネンが4位、マッサが5位と、ややマクラーレンに離された感があります。
 以下6位レッドブル・ウエーバー、7位ウィリアムズ・ロズベルグ、8位BMWザウバー・クビカ、9位ルノー・フィジケラ、10位トヨタ・トゥルーリとなります。なおスーパーアグリ・佐藤は11位、ホンダは13位バリチェロが最高位でした。


◇決勝

 レース前、予選19位のルノー・コバライネンがエンジン交換によるグリッドダウンで最後尾スタート、またスパイカー・アルバースがスペアカー使用のため、ピットスタートとなります。
   スタートでは、1コーナーの飛び込みで、マクラーレン・アロンソが、チームメイトのハミルトンを外側からパスしようと試みるもオーバーランを喫し、順位を一つ落とします。一方後方では、ホンダ・バトンがスタートできず、ピットへ戻されます。そしてそのままリタイヤとなってしまいます。
 こうしてオープニングはハミルトンが制し、BMWザウバー・ハイドフェルド、アロンソ、フェラーリ・マッサ、ウィリアムズ・ロズベルグ、フェラーリ・ライコネン、ルノー・フィジケラ、BMWザウバー・クビカ、レッドブル・ウエーバー、スーパーアグリ・佐藤のオーダーとなります。
 3周目、9位を走行中のウエーバーが、1コーナーで単独スピン、14位に順位を下げます。しかし6周目に同僚クルサードをパスすると、8周目には最終シケイン手前でホンダ・バリチェロをパス。着実に順位を回復していきます。9周目、トロロッソ・スピードとウィリアムズ・ブルツが接触、スピードはリタイヤ、ブルツもリアウイングステーを破損してしまいます。
 15周目、3位アロンソが1コーナーでオーバーラン、順位はキープしますが、マッサとの差が縮まります。そして19周目、三度同じところでコースオフしたアロンソは、とうとうマッサに3位を奪われてしまいます。20周目、2位を走行していたハイドフェルドがピットイン、7位でコースに復帰します。22周目、トップのハミルトンがピット作業を行いますが、その翌周23周目にスパイカー・スティールが、4コーナーアウトの壁にヒット、バウンドしてコース上に飛び出し、そこでストップしてしまいます。この処理のために、セフティーカーが入ります。ここれ割を食ったのがアロンソ。ちょうどルーチンのピット作業と重なってしまい、今期から導入された「セフティーカー導入後、隊列が整うまで、給油していけない(タイヤ交換はOK)」というセフティーカールールに違反し、この後10秒のピットストップペナルティーを受けます。24周目、隊列が整ったところで各車一斉にピットイン。マッサ、フィジケラ、クビカ、トヨタ・トゥルーリ等がピット作業を行います。またこのタイミングでライコネンもピットイン、マッサのピット作業が終わるまで待機となり、順位を大きく落としてしまいます。
 こうして27周目のリスタートでは、ハミルトン、ハイドフェルド、アロンソ、ロズベルグ、バリチェロ、クルサード、ハイドフェルド、コバライネン、ブルツ、スーパーアグリ・デビッドソンのオーダーとなります。しかしレース再開もつかの間、9コーナーでトゥルーリにクビカが接触、リアタイヤに乗り上げたクビカは、減速しないまま9コーナー内側のウォールに直撃、その反動で反対側の外側ガードレールまで吹き飛ばされるという大クラッシュを演じます。激しく横転しながらコースを横切ったクビカの車は、モノコックこそ形状を保っていましたが、その他の部分は原形をとどめぬほどに破損し、クビカも自力で脱出できない事態となります。幸い救護班が駆けつけたときには、クビカの意識も戻り、また一時両足骨折との報道が流れましたが、病院での検査の結果、打撲程度の怪我であることが判明し、大事に至らずにすみます。
 この事故処理のため、再度セフティーカーが入り、レースが再開されたのは33周目となります。この時点でのオーダーは、ハミルトン、ハイドフェルド、アロンソ、ロズベルグ、デビッドソン、トヨタ・シューマッハー、ウエーバー、マッサ、フィジケラ、ライコネンとなります。34周目、ライコネンがヘアピンでミス、佐藤が前に出ます。そしてこの周、セフティーカールール違反のため、アロンソとロズベルグが10秒のピットストップペナルティーを受けます。37周目、この時点で3位(!)を走行してたデビッドソンがピットイン、しかし緊急ピットインにクルーは準備が出来ておらず、大きなタイムロスとなってしまいます。なおこの原因は、ビーバーをはねたことによるフロントウイングの破損とのこと。カナダらしいアクシデントといえます。40周目、シューマッハーが1回目のピット作業を行い、これで全車1回目のピット作業を終えたことになります。
 47周目、ハイドフェルドが2回目のピットストップを行い、48周目ハミルトンもピット作業を行います。直後スパイカー・アルバースがコースオフ、コースにフロントウイングを落としてしまったため、この除去作業の間、3度目のセフティーカーが入ります。この時点で佐藤がピットに入っていましたが、クルーはペナルティーを避けるためにタイヤ交換のみでコースに復帰させます(実際は給油してもペナルティーにならないタイミングでした)。こうして54周目にリスタートとなりますが、翌55周目、今度はトロロッソ・リゥッツィが最終シケインでクラッシュ。今期初入賞のチャンスを逃したばかりか、4度目のセフティーカー出動の原因となってしまいます。またこの間、マッサとフィジケラが黒旗を受け、レース失格となります。原因は1回目のピットアウトの際に、ピットロードの赤信号を無視したためでした。
 こうして60周目にリスタート、オーダーはハミルトン、ハイドフェルド、バリチェロ、ブルツ、コバライネン、ライコネン、シューマッハー、アロンソ、佐藤、ウエーバーとなります。この周回で、アロンソがシューマッハーをかわし、7位に順位を上げます。63周目、バリチェロがピットイン。セフティーカーにより隊列が縮まっていたこともあり、最下位に落ちてしまいます。67周目、佐藤がシケイン手前のストレートで、シューマッハーのスリップからアウト側に抜け出しオーバーテイク、翌68周目には、同じ場所でアロンソにしかけ、アロンをも抜き去ってしまいます。これが最後のハイライトとなり、70周のレースが終了。ハミルトンが初ポールから初優勝をとげ、2位にはハイドフェルト、3位にはブルツと、フレッシュな表彰台となりました。以下4位コバライネン、5位ライコネン、6位佐藤、7位アロンソ、8位シューマッハー、9位ウエーバー、10位ロズベルグの結果となりました。


◇感想

 いやね、佐藤の6位はもちろん嬉しいですよ。でもね、フィジコぉ、信号無視で失格喰うなよ・・・(涙)
 例年通りの荒れたカナダ、その最たるものがクビカのクラッシュでした。無惨な姿をさらすモノコック、異様に長い救出時間、コクピットで動かないクビカ・・・これらの映像に94年のセナの事故が脳裏によぎり、重い時間が流れました。しかし骨折したものの命に別状がないとの報道に、心の芯からほっとしたものでした。結局骨折もしていなかったことが判明し、ほんとに良かったです。



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