Round.10 ヨーロッパグランプリ
22.Jul.2007 : ニュルブルクリンク・グランプリサーキット


◇予選グリッド

 予選第3ピリオド、マクラーレン・ハミルトンにアクシデントが襲います。ターン8(奇しくも今年から「シューマッハーS・コーナー」と命名)にて、ホイールナットのゆるみから右フロントタイヤのホイールが破壊、コントロールを失ったマシンはコーナーを直進し、タイヤバリヤにほぼ垂直に突き刺さります。この事故でハミルトンは病院に搬送されます。
 混乱の予選を制したのは、連勝中のフェラーリ・ライコネン、2位はマクラーレン・アロンソ、3位はフェラーリ・マッサとなります。以下4位BMWザウバー・ハイドフェルド、5位同クビカ、6位レッドブル・ウェーバー、7位ルノー・コバライネン、8位トヨタ・トゥルーリ、9位同シューマッハー、10位ハミルトンとなります。
 なおスーパーアグリ・佐藤は16位でした。またスパイカーは、アルバースに代わりビンケルホックがスポット参戦しています(予選22位)。

◇決勝

 フォーメーションラップ直前、コースに雨がぱらつき始めます。そして何時崩れてもおかしくない天候の下、スタートとなります。しかし各車1コーナーを回ったあたりで雨が路面を濡らし始め、まもなくドライタイヤでの走行が不可能なくらいの大雨となります。そして各車ピットに入りますが、ここでフェラーリ・ライコネンがピット入り口で曲がりきれずにオーバーラン、酷い雨の中もう1周することとなります。2周目、雨は強さを増し、コースは至る所で川が流れる状態となります。得に1コーナーでは、曲がりきれない車が次々とコースアウトし、さながらマシンの墓場と化します。ここでコースアウトした7台のマシンの内、マクラーレン・ハミルトン、スーパーアグリ・デビッドソンはコースに復帰できましたが(ハミルトンはクレーンで移動して復帰という荒技を使用)、ホンダ・バトン、スパイカー・スティール、トロロッソ・スピード、同リウッツィー、ウィリアムズ・ロズベルグはリタイヤとなります。4周目、あまりの雨量にレースは赤旗中断となります。
 20分余りの中断の後、セフティーカー先導でレース再開となります。この時点でのオーダーは、スパイカー・ビンケルホック、フェラーリ・マッサ、ルノー・アロンソ、レッドブル・ウエーバー、同クルサード、ルノー・コバライネン、フェラーリ・ライコネン、ウィリアムズ・ブルツとなります。そしてコースの状態が回復した8周目、レースが再開となります。ウエットタイヤでスタートを切る好判断を下し、ラップリーダーとなったビンケルホックでしたが、1コーナーでマッサ、アロンソに抜かれるや、なすすべなくずるずると順位を落としていきます。
 11周目、ライコネンがピットイン、ドライタイヤに切り替えます。同周、すでに6周目にドライタイヤに変更していたハミルトンが、現時点でのファステストを記録するや、12周目から13周目にかけて、各車一斉にピットに入ります。こうして14周目、マッサ、アロンソ、ライコネン、ウエーバー、ブルツ、コバライネン、クルサード、BMWザウバー・クビカのオーダーとなります。18周目、1コーナーでコバライネンがブルツをオーバーテイク、5位に順位を上げます。19周目、最終コーナーでBMWザウバー・ハイドフェルドがトヨタ・シューマッハーに並びかけます。しかしここで両者接触、シューマッハーはグラベルにはじき出され、リタイヤとなります。また20周目にはスーパーアグリ・佐藤が油圧トラブルによりレースを終えます。
 34周目、アロンソをを追うライコネンに異変が生じます。普通に走っていたと思うや、スロー走行になり、また普通に戻り・・・と繰り返していくうち、だんだんと速度が落ちていき、最後はピットロード半ばで力尽き、クルーに押されてガレージに戻ります。
 こうして優勝争いは、マッサとアロンソにしぼられます。37周目アロンソ、38周目マッサと給油をすませ、この時点でのトップのマッサと2位アロンソの差は8秒、マッサが今期3勝目に大手をかけたかと思わせました。しかし49周目、再び雨粒がコースを叩き始め、52周目にはコース全体がウエットコンディションとなります。こうして53周目、マッサとアロンソが同時ピットインを行い、レインタイヤに履き替えてコースへ戻っていきます。こうなると勢いは完全にアロンソが上回り、程なく完全にテール・トゥ・ノーズ状態となります。そして55周目、5コーナーでインを突いたアロンソがサイド・バイ・サイドに持ち込み、続く6コーナーでマッサと接触しつつもこれを抜き去ります。その後はマッサを置き去りにする速さを見せつけ、そのままチェッカー。
 こうして波乱のレースは、優勝アロンソ、2位マッサ、3位ウエーバー、4位ブルツ、5位クルサード、6位ハイドフェルド、7位クビカ、8位コバライネン、9位ハミルトン、10位ルノー・フィジケラの結果で幕を閉じました。


◇感想

 ハミルトンのデビュー戦からの連続表彰台記録は、9でストップしました。そして今回ノーポイントに終わったことにより、ハミルトンとアロンソのドライバーズポイントは、70対68と2ポイント差になりました。次戦ハンガリーでアロンソが連勝すると、ハミルトンの順位に関係なく、ドライバーズポイントで逆転できるわけで、真夏のチャンピオンの反撃が始まった、そう思わせる展開となりました。
 一方のフェラーリは、ライコネンのトラブルが痛すぎました。マッサが2位に入ったとはいえ、ハミルトンが後方スタートとなった今レース、コンストラクターズ・ポイント差を縮める好機だったのですが・・・・。
 次戦ハンガリーをフェラーリが失うと、タイトルはマクラーレンに持って行かれそうな予感がします。



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