Round.14 ベルギーグランプリ
16.Sep.2007 : サーキット・デ・スパ−フランコルシャン


◇予選グリッド

 2005年から2年ぶりの開催となったスパ・ベルギーグランプリ。しかしその開幕は、驚愕により始まりました。フェラーリのテクニカルマネージャー、ナイジェル・ステプニーが、マクラーレンのチーフデザイナー、マイク・コフランに、フェラーリのマシン開発状況を漏洩したスパイ事件、いわゆる「ステプニー・ゲート事件」が、世界モータースポーツ評議会により裁定されたのです。裁定の結果、マクラーレンは有罪判決を受け、今期のコンストラクターズポイント剥奪と1億ドルの罰金、そして来期マシンのデザイン提出というペナルティーを受けました。
 この結果、フェラーリはスパで15ポイント以上、2位のBMWザウバーに点差を付ければ、コンストラクターズタイトルが決定することとなりました。

 このような流れの中、予選でポールを獲得したのはフェラーリ・ライコネン、2位には同マッサがつけ、モンツァの借りを返すとばかり、フェラーリがフロントローを独占します。一方、マクラーレンは、アロンソが3位、ハミルトンが4位と、こちらもセカンドローを独占します。
 以下5位BMWザウバー・クビカ、6位ウィリアムズ・ロズベルグ、7位BMWザウバー・ハイドフェルド、8位レッドブル・ウエーバー、9位トヨタ・トゥルーリ、10位ルノー・コバライネンとなります。なおホンダ勢はバトンの14位が最高位で、スーパーアグリ・佐藤は19位、スパイカー・山本は22位となります。


◇決勝

 スターティンググリッドでは、予選5位のBMWザウバー・クビカがエンジン交換のため15位に下がり、また予選11位のルノー・フィジケラと、スーパーアグリ・デビッドソンがピットスタートとなります。
 スタートではフェラーリ・ライコネンと同マッサが順調に滑り出します。一方マクラーレン勢は、1コーナーでアロンソ、ハミルトンともにゆずらずサイド・バイ・サイドを演じ、アウトにいたハミルトンが、アロンソにコース外に押し出されるという激しい順位争いとなります。そして続くオー・ルージュでは、ランオフエリアを加速したハミルトンが、アロンソの鼻先僅か先行します。しかしインを守ったアロンソが順位をキープ、オープニングは、ライコネン、マッサ、アロンソ、ハミルトン、ウィリアムズ・ロズベルグ、ルノー・コバライネン、レッドブル・ウエーバー、BMWザウバー・ハイドフェルド、トヨタ・シューマッハー、レッドブル・クルサードとなります。
 2周目、ピットスタートのフィジケラが、ピットにもどりリタイヤ。3周目、ケメルストレートでウエーバーがコバライネンのスリップに入り、一気にオーバーテイクしていきます。一方のコバライネンは、7周目にはハイドフェルドに、10周目にはクビカにオーバーテイクされ、順位を8位まで落としてしまいます。
 14周目、ロズベルグとウエーバーがピット作業を行います。そして15周目にライコネン、次いでアロンソがピット作業を行い、16周目にはマッサ、ハミルトンと続けて作業を行います。その後レースは淡々と周回を重ねる様相となります。その中、激しい戦いを演じたのはクルサードとクビカでした。18周目あたりからテール・トゥ・ノーズ状態となり、何度かクビカがクルサードに並びかけるシーンが見られます。しかしそこはベテランのクルサード、自身がピットインする25周まで、クビカの攻撃を防ぎきります。そんなクルサードも、31周目にトラブルに見舞われスローダウン、リタイヤとなります。
 その31周目、ライコネンが2回目のピット作業をおこない、32周目マッサ、33周目アロンソ、37周目ハミルトンとピット作業が続きます。この時点でのオーダーは、ライコネン、マッサ、アロンソ、ハミルトン、ロズベルグ、ウエーバー、コバライネン、クビカ、シューマッハーとなります。そのハミルトン、ニュータイヤに履き替えて、猛然とアロンソの追撃に入ります。毎ラップ0.1〜1秒の猛ペースでアロンソを追い上げますが、4秒差まで詰めた41周目、痛恨のコースオフ。その差が7秒に開いたところで順位キープに切り替えます。
 こうして43周のレースは終了し、優勝ライコネン、2位にマッサが入り、フェラーリが雪辱の1-2を決め、3シーズンぶりのコンストラクターズタイトルを獲得します。3位はアロンソ、4位はハミルトンとなり、ハミルトンとアロンソのポイント差は2ポイントに縮まります。以下5位ハイドフェルド、6位ロズベルグ、7位ウエーバー、8位コバライネン、9位クビカ、10位シューマッハーの結果となります。
 なおスーパーアグリ・佐藤は15位、スパイカー・山本は17位でした。


◇感想

 11戦ハンガリーで発生した、アロンソとハミルトンの確執。それ以来、ハミルトンの勢いがそがれ、流れはアロンソに傾いたように感じます。チャンピオンの意地というか、ここに来ての集中力は流石と言うべきか。これでポイント差は2点。次の日本グランプリでハミルトンが勝てなければ、ハミルトンのチャンピオンは難しいように感じます。
 そして、棚ぼたとはいえ、フェラーリがコンストラクターズを決めましたね。おめでとう!



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