Round.15 日本グランプリ
30.Sep.2007 : 富士スピードウエー


◇予選グリッド

 31年ぶりのF1開催となった富士。しかし天気には恵まれず、予選は今季初となるフルウエットコンディションで始まります。
 予選ポールを獲得したのは、マクラーレン・ハミルトン。2位は最終アタックでハミルトンに逆転を許した同・アロンソが続き、マクラーレンが今期6度目のフロントロー独占を果たします。3位はフェラーリ・ライコネン、4位は同・マッサが入りセカンドローを固めます。以下5位BMWザウバー・ハイドフェルド、6位ウィリアムズ・ロズベルグ、7位ホンダ・バトン、8位レッドブル・ウエーバー、9位トロロッソ・ベッテル、10位BMWザウバー・クビカとなります。
 注目の日本勢ですが、スーパーアグリ・佐藤が21位、スパイカー・山本が22位、トヨタ勢は14位のトゥルーリが最上位でした。
 なお6位のロズベルグはエンジン交換のため10グリッド降格が決まっており、7位以下16位までが1つ順位を繰り上げてのスタートとなります。


◇決勝

 大雨で幕を開けた本戦。レースは2003年ブラジルGP以来となる、セフティーカー先導でのスタートとなります。しかしフェラーリ勢はここで痛恨のミスをしていました。大雨にもかかわらず、スタンダードウエットタイヤ(浅溝タイヤ)でレースを始めてしまったのです。案の定、この雨量ではまともに走れるはずもなく、2周目にマッサ、3周目にライコネンをピットに入れ、エクストリームウエット(深溝タイヤ)に履き替えさせます。また14周目にライコネン、15周目にマッサを入れ、給油を済ませ、スタートに備えさせますます。
 19周目、セフティーカーがコースから退き、レースが始まります。ここでBMWザウバー・ハイドフェルドとホンダ・バトン、ウィリアムズ・ブルツとマッサがそれぞれ接触、順位を落とすこととなります(ブルツはリタイヤ)。20周目、マッサがセフティーカー先導中に前車を抜いたとして、ドライブスルーペナルティーを受けます。こうして順位は、マクラーレン・ハミルトン、同アロンソ、トロロッソ・ベッテル、レッドブル・ウエーバー、バトン、ルノー・フィジケラ、同コバライネン、BMWザウバー・クビカ、レッドブル・クルサード、ハイドフェルドとなります。23周目、スーパーアグリ・佐藤がピットイン、給油ホースを抜き取る際、ガソリンがあふれてしまい引火するというトラブルに見舞われます。しかし程なく鎮火、レースに支障はありませんでした。
 27周目アロンソ、28周目ハミルトンと、順調にピット作業をすませたマクラーレン勢でしたが、このあたりからアロンソに、彼らしからぬミスが出始めます。28周目に1コーナーでオーバーランを喫し、一気に8位に陥落するや、35周目にはベッテルにヒットされ、さらに10位まで順位が後退、41周目にはヘアピン入り口でコントロールを失いタイヤバリアにヒット、マシンは破片をまき散らしながらコース上に止まります。この処理のため、2回目のセフティーカーが入ります。セーフティカー先導中の45周目、2位を走行していたウエーバーに3位のベッテルが追突、両者リタイヤとなり、貴重な表彰台のチャンスを逃します。
 レース再開は48周目、この時点でのオーダーは、ハミルトン、マッサ、クルサード、ライコネン、フィジケラ、ハイドフェルド、ホンダ・バリチェロ、クビカ、トロロッソ・リウッツィとなります。56周目、100R出口で、ライコネンがクルサードをパス、4位に順位を上げます。
 レース終盤の65周目、100Rでライコネンがコバライネンに仕掛けます。しかしここはコバライネンがしのぎきり、順位をキープします。66周目、ハイドフェルドとバトンがストップ、完走目前のリタイヤとなります。そして最終周の67周目、100Rでマッサがクビカに仕掛けます。いったん前に出たマッサでしたが、クビカも譲らず最終コーナーへ。ここで両者コースオフという激しいブレーキング合戦を繰り広げますが、マッサがいち早くランオフエリアから加速、僅差でチェッカーを受けます。
 こうして波乱の日本グランプリは、ハミルトンの優勝で幕を閉じ、2位には自身初の表彰台となるコバライネンが、3位には僅かにチャンピオンに望みをつないだライコネンが入ります。以下4位クルサード、5位フィジケラ、6位マッサ、7位クビカ、8位リウッツィ、9位スティール、10位バリチェロとなります。日本勢は、スパイカー・山本が12位、佐藤が15位となり、トヨタはトゥルーリの13位が最高でした。
 なお8位リウッツィは、レース後、黄旗無視によるタイム加算のペナルティーを受けたため9位になり、スティールが自身初の、そしてチーム初のポイントを獲得します。


◇感想

 雨により、延々20周近くセフティーカーが先導するという、異様な状況で始まったレース。ハミルトンが優勝を飾り、一方のアロンソがリタイヤとなり、チャンピオンシップは一気にハミルトン優位に傾きました。残り2戦、ハミルトンがリタイヤしない限り、アロンソの3連覇はないと言えるでしょう。しかし今期マクラーレンは、ただの一度もリタイヤがなかった(そう、アロンソのクラッシュが、今期初リタイヤでした)ため、マシントラブルはまずあり得ない。そうなると、ほとんどチャンピオンシップはハミルトンで決定したと言えるでしょう。



[ Back ]