Round.9 イギリスグランプリ
09.Jul.2008 : シルバーストン・サーキット
周回数 : 60周


◇予選グリッド

 予選ポールは、マクラーレン・コバライネン。26戦目にして初ポールとなりました。また2位にはレッドブル・ウェーバーが入り、意外なコンビが、フロント・ローに並びます。以下3位フェラーリ・ライコネン、4位マクラーレン・ハミルトン、5位BMWザウバー・ハイドフェルド、6位ルノー・アロンソ、7位同ピケ、8位トロロッソ・ベッテル、9位フェラーリ・マッサ、10位BMWザウバー・クビカとなります。
 日本勢は、トヨタ・トゥルーリが14位、ウィリアムズ・中嶋が15位、ホンダ・バリチェロが16位の結果でした。


◇決勝

 各車スタンダード・ウエットのタイヤで望んだスタート、ここでマクラーレン・ハミルトンが素晴らしいスタートを決め、1コーナーで、同僚コバライネンに並びます。しかしここはコバライネンが踏ん張り、トップの座は譲りません。一方スタートで出遅れたレッドブル・ウェーバーは、S字シケインでハーフ・スピン。これで一気に最後尾まで転落してしまいます。またターン12ではフェラーリ・マッサ、ターン14ではレッドブル・クルサードとトロロッソ・ベッテルが2台並んでスピンと、序盤から順位が大きくシャッフルされる結果となります。この結果、オープニングは、コバライネン、ハミルトン、フェラーリ・ライコネン、BMWザウバー・ハイドフェルド、ルノー・ピケ、同アロンソ、トヨタ・トゥルーリ、BMWザウバー・クビカ、トヨタ・グロック、ホンダ・バリチェロのオーダーとなります。
 序盤、勢いを見せたのはアロンソ。ファステストを更新しながら、2周目にはピケ、3周目にはハイドフェルドを攻略し、4位に順位を上げます。5周目、ストウでハミルトンがコバライネンをパス。トップが入れ替わります。一方抜かれたコバライネンは、10周目のアビーで、痛恨のハーフスピン。ライコネンに2位の座を奪われてしまいます。
 19周目、トップ勢の先陣を切って、コバライネンがピットに入ります。次いで20周目にアロンソがピットに入り、21周目ハミルトンとライコネンが同時にピットインを行います。ここでライコネンは、タイヤ交換をせず燃料給油のみ行うことで、ピット時間の短縮を図りますが、ハミルトンを逆転することはできません。しかも間が悪いことに、この周回から雨が降り出し、乾き始めた路面は、またウエット状態となります。こうなるとライコネンはタイヤの踏ん張りが効かず、28周目にはコバライネンとハイドフェルドに抜かれ、30周目にはクビカにも抜かれ、この直後ピットイン。新品のスタンダード・ウエットに履き替えて、11位で周回に復帰します。
 しかし35周目、雨足が一段と強まります。この結果、グロックがスピン、クビカがコースオフを喫し、37周目にはピケ、マッサ、ハミルトン、38周目にはライコネンまで足をすくわれてしまいます。なおピケは、グラベルにつかまりリタイヤとなります。この中、果敢な判断を下したのはホンダでした。35周目、バリチェロとバトンを同時にピットに呼び戻すや、エクストリーム・ウエットタイヤに交換してコースに送り出します。これが図にあたり、バリチェロは36周目にグロック、37周目にライコネン、38周目にコバライネン、39周目にアロンソ、40周目にトゥルーリ、42周目にハイドフェルドと、まさにごぼう抜きを演じ、2位まで順位を上げます。この結果、ハミルトン、バリチェロ、ハイドフェルド、トゥルーリ、アロンソ、コバライネン、ライコネン、ウィリアムズ・中嶋、ウェーバー、ウィリアムズ・ロズベルグのオーダーとなります。
 47周目、順位を大きく上げたバリチェロがピットイン、1つ順位を落として3位で周回に復帰します。48周目にはトゥルーリもピットに入り、こちらは8位で復帰します。その後1〜3位は単独走行となる一方、4位争いが熾烈を極めます。ややペースが上がらないアロンソを先頭に、ライコネン、コバライネン、中嶋、トゥルーリが、続く状態となります。53周目、ライコネンがアロンソをパスしますが、これに続きたいコバライネンは、アロンソの巧みなブロックにより、なかなかオーバーテイクできません。ようやくコバライネンがアロンソをパスしたのは58周目となります。60周目、ターン8でトゥルーリが中嶋をパス、こうして4位以下は、ファイナルラップまで順位争いがもつれこむ大接戦となりました。
 こうしてハミルトンが母国レースを制し、2位はハイドフェルド、3位はバリチェロが、チームには2006年ブラジル以来の、そして自分には2005年アメリカ以来の表彰台をもとらしました。以下4位ライコネン、5位コバライネン、6位アロンソ、7位トゥルーリ、8位中嶋、9位ロズベルグ、10位ウェーバーの結果となりました。


◇感想

 また省略するつもりでしたが(笑)、クルサードが今期限りで現役引退を発表しましたので、コメントを書くことにします。
 クルサードは、94年サンマリノで、セナが逝ってしまった後を継いで、ウィリアムズのレギュラードライバーに抜擢されたドライバーです。長いテストドライバー経験により、派手さはなくとも確実な技量で、優勝13回、ポールポジション12回の記録を残しました。またモナコで2勝上げている、数少ないモナコマイスターでもあります。一方明らかにパフォーマンスの劣るマシンに乗りながら、奇跡的とも言える活躍を見せるドライバーでもありました。レッドブルに移籍した翌年の2006年、モナコで3位表彰台を得たのはこの好例でしょう。
 偉大なるナンバー・ツー、その14年間の軌跡に拍手を送りましょう。



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