◇予選グリッド

　予選ポールは、マクラーレン・ハミルトン。２位はフェラーリ・マッサ、３位はマクラーレン・コバライネン。しかしここに続くはずのフェラーリ・ライコネンはなんと６位。ライコネンの前には、４位トヨタ・トゥルーリ、５位ルノー・アロンソが並びます。以下７位BMWザウバー・クビカ、８位レッドブル・ウェーバー、９位トロロッソ・ベッテル、10位レッドブル・クルサードとなります。
　なおホンダは、バトンの14位が最高で、またウィリアムズ・中嶋は16位からのスタートとなります。


◇決勝

　スタートでは、マクラーレン・ハミルトンが抜群のダッシュを見せ、ややフェラーリ・マッサが遅れます。そこをマクラーレン・コバライネンが突きますが、１コーナーではマッサが順位をキープ。その後では、BMWザウバー・クビカがルノー・アロンソをかわし５位で１コーナーを立ち上がります。その後クビカは、パラボリカエンドのヘアピンで。トヨタ・トゥルーリをオーバーテイクし、４位に順位を上げます。
　４周目、パラボリカエンドでアロンソがトゥルーリに仕掛けます。しかしここはトゥルーリが踏ん張り、アロンソは前をふさがれ加速が鈍ります。そこをすかさずフェラーリ・ライコネンが突き、ターン７からの複合コーナーで、アロンソをオーバーテイクしていきます。
　序盤、ハミルトンは、10周目までに２位マッサとの差を10秒に広げ、その後はタイム差をキープして周回を重ねます。そして18周目、ハミルトン、次いでクビカがピットインをします。その後19周目にトゥルーリとアロンソ、20周目にマッサ、21周目にコバライネン、22周目にライコネンと、ピット作業が続きます。しかし１回目のピット作業では順位の変動はなく、各車ピット作業を終えた30周目のオーダーは、ハミルトン、マッサ、コバライネン、BMWザウバー・ハイドフェルド、ライコネン、トゥルーリ、トロロッソ・ベッテル、トヨタ・グロック、アロンソ、レッドブル・ウェーバーとなります。
　レース中盤の35周目、入賞圏内を走行していたグロックにアクシデントが発生します。最終コーナーで縁石に乗り上げた衝撃か、突如右リアサスペンションが破断、コントロールを失ったマシンはスピンしながら右手のウォールに激突したのです。この事故によりセフティーカーが入ります。38周目、ピットレーンオープンと共に、各車一斉にピットに入ります。しかしハミルトンとハイドフェルド、ルノー・ピケはピットに入らず、コースに残ります。レースのリスタートは42周目、この時点でのオーダーは、ハミルトン、ハイドフェルド、ピケ、マッサ、クビカ、コバライネン、トゥルーリ、ベッテル、アロンソ、ライコネンとなります。
　43周目、コバライネンがクビカを、ターン9から11の複合コーナーでオーバーテイクします。一方ピット作業で大きく順位を下げたライコネンは、44周目にアロンソ、45周目にベッテル、46周目にトゥルーリと、いずれもパラボリカエンドでオーバーテイク、７位まで順位を回復します。
　レース再開から猛チャージをみせていたハミルトンは、50周目にピット作業を行います。しかしさすがに7周では十分なマージンを稼ぐことはできず、コバライネンの後５位でレースに復帰します。しかしここからの追い上げが見事でした。52周目、僚友コバライネンに４位を譲られるや、53周目にはハイドフェルドのピット作業で３位にあがり、57周目にはパラボリカエンドでマッサのインを奪いオーバーテイク。その３周後の60周目には、同じくパラボリカエンドでピケを抜き去り、あっという間にトップを奪還します。
　これで大勢は決しチェッカー。ハミルトンが大逆転で今期４勝目をあげ、ピケが２位で初の表彰台を獲得しました。３位はマッサ、４位はハイドフェルド、５位はコバライネン、ライコネンは６位がやっとでした。７位はクビカ、８位はベッテル。９位は、60周目のコースオフでポイントを失ったトゥルーリ、10位はウィリアムズ・ロズベルグでした。なおウィリアムズ・中嶋は15位でレースを終えました。


◇感想

　ハミルトンの圧勝という結果でした。とはいえセフティーカー導入時に、ピットインしていれば、もう少し楽に勝てた内容であったと思います。仮にマッサにいつもの速さがあれば、貴重なポイントを落としていたかもしれません。
　そのマッサは、第３スティントでハードタイヤを選択するミスチョイス。グリップに劣るハードタイヤでは、ハミルトンどころかピケのペースにもついて行けませんでした。
　次戦ハンガリーは、2004年以来、フェラーリが勝てないサーキット。ハミルトンにハットトリックを決められると、チャンピオンシップは大きくハミルトンに傾くことでしょう。