Round.12 ヨーロッパグランプリ
24.Aug.2008 : バレンシア・ストリート・サーキット
周回数 : 57周


◇予選グリッド

 今年のヨーロッパGPは、初開催となるスペイン・バレンシア。世界最高峰のヨットレースとして名高い「アメリカス・カップ」のポート(2007年、2009年の開催ポート)を一部利用した、市街地コースです。
 この記念すべきレースにおいて、初代ポールシッターとなったは、フェラーリ・マッサ。2位にはマクラーレン・ハミルトンが入ります。3位BMWザウバー・クビカ、4位フェラーリ・ライコネン、5位マクラーレン・コバライネンとなります。今回予選最大の驚きは、トロロッソ・ベッテルが6位に入ったこと。また同僚ブルデーも10位に入り、トロロッソが好調を印象づけます。以下7位トヨタ・トゥルーリ。8位BMWザウバー・ハイドフェルド、9位ウィリアムズ・ロズベルグ、以上のトップ10となります。
 なおウィリアムズ・中嶋は11位、ホンダはバトンの16位が最高でした。


◇決勝

 スタートでは、フェラーリ・マッサ、マクラーレン・ハミルトン、BMWザウバー・クビカと無難な滑り出しを見せ、そのまま1コーナーへと入ります。なおここでマクラーレン・コバライネンが、フェラーリ・ライコネンの前に出ます。しかし後方ではアクシデントが発生します。5コーナーでトロロッソ・ブルデーが、ルノー・アロンソの直前でコースアウトから復帰、これを避けようと減速したアロンソに、ウィリアムズ・中嶋が追突したのです。このアクシデントにより、中嶋はフロントウイングを失いピットへ。リアウイングを失ったアロンソは、ピットへ戻るもそこでリタイヤとなります。こうしてオープニングラップは、マッサ、ハミルトン、クビカ、コバライネン、ライコネン、トロロッソ・ベッテル、トヨタ・トゥルーリ、ウィリアムズ・ロズベルグ、BMWザウバー・ハイドフェルド、トヨタ・グロックのオーダーとなります。
 母国の英雄を、わずか1周で失ったバレンシア。それを象徴するかの如く、レースは淡々と進んでいきます。15周目、マッサが上位陣の先頭を切って給油を行い、16周目ハミルトン、18周目ライコネン、19周目トゥルーリ、20周目コバライネンと続きます。1回目のピット作業が落ち着いた22周目、この時点でのオーダーは、マッサ、ハミルトン、クビカ、コバライネン、グロック、ライコネン、トゥルーリ、ベッテル、ロズベルグ、レッドブル・ウェーバーとなります。
 30周目、グロックが1回目のピット作業を行い、ロズベルグの後、9位で周回に復帰します。
 37周目、マッサが2回目のピット作業を行います。しかし一歩先に給油を終えていた、フォースインディア・スーティルが迫っているにもかかわらず、ピットはマッサを送り出してしまいます。その結果、スーティルとマッサが併走してピットレーンを走ることとなります。結局マッサが、ピット出口でブレーキをかけ事なきを得ますが、後々これが問題となります。しかし、フェラーリのアクシデントは、まだ続きます。43周目、コバライネンとライコネンが同時ピットイン。この際ライコネンのピットクルーは、給油リグが抜かれる前にゴーを出してしまうミス。これによりクルーの一人が後輪に跳ねられ、担架で運ばれる事態に。またライコネンは大きくタイムロスしてしまいます。しかしライコネンの不幸はこれだけではありませんでした。ピットアウトしてから僅か2周、45周目のメインストレートでエンジンブロー。なすすべもなくリタイヤとなります。
 ライコネンのブローを最後の見せ場に、レースは終演を迎えます。結局スタートしてからトップ4の順位は変わることなく、優勝マッサ、2位ハミルトン、3位クビカ、4位コバライネンとなります。以下5位トゥルーリ、6位ベッテル、7位グロック、8位ロズベルグ、9位ハイドフェルド、10位ベッテルの順位でレースは幕を閉じます。なお中嶋は15位でした。
 ピットレーンでの併走が危険行為と判断されたマッサでしたが、1万ユーロ(約160万円)の罰金のみで、順位降格やタイム加算等のペナルティーは科せられませんでした。


◇感想

 マッサが雪辱となる優勝を果たし、流れを引き戻した感じです。もっともハミルトンも最低限の2位を獲得し、ポイント差は6点。ドライバーズは、ハミルトンとマッサの二人の争いになりつつありますね。しかし、前戦マッサ、今戦ライコネンと、フェラーリはメカニカルトラブルの多さが気になるところです。今後のタイトルを考えるに、ノーポイントは避けたいところ。となると、信頼性に勝るハミルトンが、まだ優位に立っていると思います。



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