Round.14 イタリアグランプリ
14.Sep.2008 : アウトードロモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ
周回数 : 53周


◇予選グリッド

 レインコンディションの予選。ポールを奪ったのはダークホース中のダークホース、トロロッソ・ベッテルでした。22戦目の初ポールにより、F1史上最年少ポールシッダー(21歳73日)が誕生しました。2位はマクラーレン・コバライネン、3位はレッドブル・ウェーバー、そして4位にはトロロッソ・ブルデーが入り、トロロッソは3戦連続で2台をトップ10に入れるパフォーマンスを示します。以下5位ウィリアムズ・ロズベルグ、6位フェラーリ・マッサ、7位トヨタ・トゥルーリ、8位ルノー・アロンソ、9位トヨタ・グロック、10位BMWザウバー・ハイドフェルドとなります。
 なおポイントトップのマクラーレン・ハミルトンは15位、同4位のフェラーリ・ライコネンは14位、同3位のBMWザウバー・クビカは11位と、いずれも第2ピリオドでノックアウト。まさに大波乱の予選と言っていいでしょう。またウィリアムズ・中嶋は18位でした。


◇決勝

 雨のモンツァ。フルウエットの路面コンディションにより、レースはセフティーカー先導で始まります。ここで4位スタートのトロロッソ・ブルデーがスタートできず、グリッドに取り残されます。一旦ピットに戻され再スタートを切りますが、この時点で1周遅れとなります。
 3周目、セフティーカーが退き、レースがスタートします。この時点でのオーダーは、トロロッソ・ベッテル、マクラーレン・コバライネン、レッドブル・ウェーバー、ウィリアムズ・ロズベルグ、フェラーリ・マッサ、トヨタ・トゥルーリ、ルノー・アロンソ、トヨタ・グロック、BMWザウバー・ハイドフェルド、同クビカ。直後第一コーナーで、アロンソがグロックをかわし7位へ順位を上げます。
 8周目、アスカリシケインで、フェラーリ・ライコネンがフォースインディア・フィジケラに並びかけます。しかしここではオーバーテイクには至らず、逆にパラボリカの飛び込みで、マクラーレン・ハミルトンに並ばれてしまいます。ここで何とか踏ん張ったライコネンは、9周目の1コーナーで、フィジケラをパス、10周目にはハミルトンもフィジケラをパスしていきます。そのハミルトン、11周目にライコネンをかわし、順調に順位を上げていきます。
 13周目、メインストレートエンドで、マッサがロズベルグをオーバーテイク、しかし続くシケインでクロスラインに乗せたロズベルグが、マッサの前に戻ります。決着が付いたのはパラボリカ。ここでインを突いたマッサが、縁石をカットしつつ、やや強引にロズベルグを抜き去ります。同じ周、ハミルトンがハイドフェルドをオーバーテイク、トップ10に入ります。16周目、ストレートエンドで、ハミルトンがグロックに仕掛け、サイド・バイ・サイドになります。しかし次のシケインで、ハミルトンは強引とも思われる幅寄せを行い、グロックをコース外に押し出します。濡れた芝に半分車体を落とす羽目になったグロックは、スピードを緩める以外に道はなく、ハミルトンはややダーティーに9位を手に入れます。その後もハミルトンは、良く言うとアグレッシブに、悪く言うと強引にオーバーテイクを繰り返し、17周目にクビカ、19周目にアロンソを抜き去り、7位まで順位を回復させます。
 さてトップのベッテルは、18周目にピットイン、22周目にはコバライネン、マッサ、ウェーバー、25周目にはグロック、26周目にはトゥルーリ、ライコネン、そして28周目には、2位まで順位を上げていたハミルトンがピットインします。しかしこのあたりから路面は乾いていき、エクストーリムウエットタイヤでは、タイムが伸びなくなってきます。そして33周目、マッサが2回目のピットイン、スタンダードウエットに履き替えて、コースに戻ります。こうして上位陣が2回目のピットストップで、スタンダードウエットに履き替える中、選択を誤ったのはハミルトン。1ピット作戦としたものの、選んだタイヤはエクストーリムウエット。このタイヤでは路面状況の変化について行けず、スタンダードウエットに履き替えるために、36周目に予定外のピットストップを強いられます。こうしてオーダーは、ベッテル、コバライネン、クビカ、アロンソ、ハイドフェルド、マッサ、ハミルトン、ウェバー、ホンダ・バリチェロ、レッドブル・クルサードとなります。
 その後49周目にハミルトンにウェバーが仕掛け、サイド・バイ・サイドに。ここではハミルトンが譲らず、両者のホイールが接触する事態になります。ここでたまらずウェバーはエスケープゾーンに逃げ、両者大事には至りませんでした。50周目のパラボリカ、クルサードにウィリアムズ中嶋が仕掛けます。アウトから抜きに行った中島でしたが、ここでスピンを喫します。幸か不幸かクルサードにヒットしたため、マシンの回転が打ち消され、大きくタイムロスすることなく走り続けることが出来ます。しかしクルサードは良い迷惑、フロントウイングを破損し、ピットに戻る羽目になります。51周目、この事故の破片をマッサが踏み一瞬ひやりとしますが、スローパンクチャーもなく無事に周回を重ねていきます。
 こうして雨のイタリアグランプリは、ベッテルのポール・トゥー・ウィンで幕を閉じます。折しも2位コバライネン、3位クビカと、今年初優勝を果たした3人の表彰台となりました。以下4位アロンソ、5位ハイドフェルド、6位マッサ、7位ハミルトン、8位ウエーバー、9位ライコネン、10位ルノー・ピケとなります。


◇感想

 地元グランプリ制したのは、フェラーリではなく、トロロッソ。前身のミナルディー時代を含め、念願の初優勝を成し遂げました。そしてベッテルは、21歳74日でポディウムの頂点に立ち、それまでアロンソが持っていた22歳26日の最年少ウィナー記録を塗り替えました。
 一方ポイントランキング上位の3人、ハミルトン、マッサ、ライコネンはぱっとしないレースでした。ハミルトンはオーバーテイクを繰り返し、アグレッシブに順位を上げに行くも、グロック、アロンソ、ウエーバーと接触を繰り返すやや荒れたドライビングで評価を落とし、ライコネンは全くの鳴かず飛ばず、レース終盤にファステストを奪い取って、かろうじて存在を示したに留まります。そしてマッサ。ハミルトンが後方に沈んだ好機を生かせず、6位入賞がやっと。ハミルトンのタイヤ選択ミスがなければ、あるいはハミルトン2位、マッサ7位という結果になっていたかもしれません。
 次戦はシンガポール、F1史上初のナイトレースです。全く新しいシチュエーションのレースということで、より順応力が高いハミルトンが有利だと予想します。



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