Round.15 シンガポールグランプリ
28.Sep.2008 : マリーナ・ベイ・ストリート・サーキット
周回数 : 53周


◇予選グリッド

 F1史上初となるナイトレースのグランプリ。記念すべき第一回大会のポールは、フェラーリ・マッサが獲得します。2位はマクラーレン・ハミルトン。ポイント争いのトップ2人よる直接対決となります。3位はフェラーリ・ライコネン、4位はBMWザウバー・クビカ、5位はマクラーレン・コバライネン、6位はBMWザウバー・ハイドフェルドと、久しぶりにコンストラクターズトップ3が、サードローまでを独占します。以下7位トロロッソ・ベッテル、8位トヨタ・グロック、9位ウィリアムズ・ロズベルグ、10位同・中嶋のトップ10となります。ただしハイドフェルドは、予選中の進路妨害のため、3グリッド降格、9位スタートとなります。
 なおホンダは、バトンの12位が最高でした。


◇決勝

 スタートでは、フェラーリ・マッサ、マクラーレン・ハミルトン、フェラーリ・ライコネン、BMWザウバー・クビカと、グリッド順に1コーナーに飛び込みます。一方後方ではマクラーレン・コバライネンにアクシデントが発生、接触によるハーフスピンのため、順位を落としてしまいます。こうしてオープニングは、マッサ、ハミルトン、ライコネン、クビカ、トロロッソ・ベッテル、トヨタ・グロック、コバライネン、BMWザウバー・ハイドフェルド、トヨタ・トゥルーリ、ウィリアムズ・ロズベルグとなります。
 序盤、マッサが逃げ、ハミルトンがやや遅れて追走する展開となります。これにライコネンを加えた3台が先頭集団を形成し、クビカ以下が続く状態となります。一方ハイドフェルドとトゥルーリの間隔は大きく開き、トゥルーリ以下は団子状態での周回が続きます。この均衡が破れたのは7周目、ロズベルグがストレートエンドのブレーキングでトゥルーリに仕掛け、激しくタイヤスモークをあげつつオーバーテイクを成功させます。燃料が重くコーナーが厳しいトゥルーリは、続く8周目にウィリアムズ・中嶋、9周目にルノー・アロンソと立て続けに抜かれてしまいます。
 15周目、レースの行方を左右する、大きなアクシデントが発生します。メインスタンド前のマリーナ・ベイ・シケインで、ルノー・ピケの右リアタイヤがウォールにヒット、その反動でマシンが半回転し左ウォールに激突、マシンの半分をもぎ取るクラッシュが発生したのです。幸いピケには怪我はありませんでしたが、これでセフティーカーが入ることとなります。ここでミスをしたのがクビカとロズベルグ。ピットレーン・オープンの前に給油を行ってしまい、後に10秒ストップ・ペナルティーを受けます。18周目、ピットレーン・オープンを待って各車ピットに入ります。しかしここでトップのマッサにアクシデント。給油リグを抜く前に、ロリーポップマンがGOをかけてしまい、マッサは給油ホースを引きちぎって走り出してしまいます。ピットクルーがピット出口近くで停車しているマッサに駆け寄り、リグを抜きにかかりますが、なかなかリグが外れず大きなタイムロス、加えて危険走行のためピットスルー・ペナルティーまで科せられる始末。こうしてマッサは、トップから最下位に落ちてしまいます。
 レースが再開されたのは20周目。この時点でのオーダーは、ロズベルグ、トゥルーリ、フォースインディア・フィジケラ、クビカ、アロンソ、レッドブル・ウェーバー、同クルサード、ハミルトン、ベッテル、グロック。ですが28周目にクビカ、29周目にロズベルグが10秒ペナルティーを受け得点圏外に後退、またウェーバーは28周目にコースオフを喫し、その後ピットに戻ってリタイヤとなります。
 この結果オーダーは、トゥルーリ、アロンソ、ロズベルグ、フィジケラ、クルサード、ハミルトン、グロック、トロロッソ・ベッテル、ハイドフェルド、中嶋となります。その後29周目にフィジケラ、33周目にトゥルーリ、35周目にコバライネンと給油を行い、アロンソ、ロズベルグ、クルサード、ハミルトン、グロック、ベッテル、ハイドフェルド、トゥルーリ、ライコネン、ホンダ・バトンのオーダーに変わります。ここでトップに立ったアロンソは、後続以下を大きく引き離し、42周目のピットでは1位のまま周回に戻ることができます。
 50周目、6位を走行していたトゥルーリがスロー走行となり、そのままピットに戻りリタイヤ、また3位を走行していたライコネンがピットイン、給油のみを行い5位でコースに戻ります。51周目、マリーナ・ベイ・シケインでマッサが単独スピンを喫し、これを避けようとしたフォースインディア・スーティルがコースオフ、ノーズからバリヤに突っ込みます。この処理のため、今レース2度目のセフティーカーが入ります。レース再開は54周目、この時点でのオーダーは、アロンソ、ロズベルグ、ハミルトン、グロック、ライコネン、ベッテル、ハイドフェルド、クルーサード、中嶋、バトンとなります。58周目、縁石に乗り上げたライコネンが、マシンコートロールを失いウォールにヒット、リタイヤとなります。
 これを最後のアクシデントにレースは終了、アロンソが約1年ぶりの勝利を納めると共に、ロズベルグが自信初の2位を獲得、3位はハミルトンが入り、ライバルが自滅するなか貴重なポイントを獲得します。以下4位グロック、5位ベッテル、6位ハイドフェルド、7位クルサード、8位中嶋、9位バトン、10位コバライネンの結果となりました。


◇感想

 アロンソ優勝! 今回のレースのおもしろさは、この一点に尽きます。フリー走行からスピードを見せていたアロンソでしたが、予選ではマシントラブルに泣いて15位。そこからはい上がっての優勝ですから見事の一言。これで今年7人目のグランプリ・ウィナーが誕生しました。これは最近の10年間では最多の勝利者数となります(99年のウィナーは6人、)。
 一方のドライバーズタイトルは、フェラーリの自滅で、ハミルトンがマッサとのポイント差を7に広げ一歩リード。コストラクターズでも、マクラーレンがフェラーリを1ポイント差で逆転し、ダブルタイトル獲得へラストスパートに入った状態です。
 このままハミルトンが逃げ切る可能性が高くなったと言えそうです。



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