Round.16 日本グランプリ
12.Oct.2008 : 富士スピードウェイ
周回数 : 67周


◇予選グリッド

 ウェットコンディションだった午前中のフリー走行から一点、ドライコンディションとなった予選。ポールはマクラーレン・ハミルトン、2位はフェラーリ・ライコネン、3位はマクラーレン・コバライネン、4位には前戦シンガポールで優勝したルノー・アロンソ、5位はフェラーリ・マッサとなり、ほぼチームの実力通りのグリッドとなります。以下6位BMWザウバー・クビカ、7位トヨタ・トゥルーリ、8位同グロック、9位トロロッソ・ベッテル、10位同ブルデーとなります。
 なおウィリアムズ・中嶋は14位、ホンダはバトンの17位が最高でした。

◇決勝

 2位のフェラーリ・ライコネンが好スタートを見せた一方、ポールのマクラーレン・ハミルトンはやや出遅れます。それを挽回するため、ギリギリまでブレーキングを遅らせ、1コーナーの侵入ではライコネンからインを奪います。しかしオーバースピードは明かで、激しいタイヤスモークを上げるも減速しきれずオーバーラン。この割を食ったのはライコネンと同僚マッサで、ハミルトンとの接触を避けるためにフルブレーキングをした両者は、コーナーからの加速が悪く、順位を大きく下げることとなります。続く2コーナーでは、レッドブル・クルサードがトロロッソ・ベッテルと接触、クルサードはハーフスピンとなり、そのままウォールにヒット、リタイヤとなります。またウィリアムズ・中嶋がこの事故に巻き込まれ、フロントウイングを失い、翌周ピットインします。こうして波乱のオープニングラップは、BMWザウバー・クビカがトップ、ルノー・アロンソ、マクラーレン・コバライネン、トヨタ・トゥルーリ、マッサ、ハミルトン、ライコネン、ルノー・ピケ、トロロッソ・ブルデー、トヨタ・グロックのトップ10となります。
 2周目、シケインでハミルトンがマッサをオーバーテイク、続くカーブでマッサもインを切り返しハミルトンに並びかけますが、これはやや強引に過ぎ、マッサはハミルトンの後部に追突してしまいます。ハミルトンはその場でスピンを喫し最後尾へ脱落した上、ピットインを余儀なくされます。
 6周目、8位を走行していたグロックがピットに入ります。グロックは一旦ピットは出たものの、翌周に再びピットに戻りリタイヤとなります。8周目、10コーナーの飛び込みでライコネンがトゥルーリをパス、4位に順位を上げます。これ以降、しばし上位陣の順位は安定します。この安定が崩れたのは17周目、コバライネンがエンジンブローによりリタイヤ、18周目にはクビカ、ライコネンのピットインと、ハミルトンのドライブスルー・ペナルティーがあります(1周目の1コーナーの混乱の原因を作ったため)。その後19周目にアロンソがピットインし、クビカの前で周回に復帰することに成功します。また同じ周、マッサもピットインを行います。なおマッサは、翌周再度ピットに戻り、ドライブスルー・ペナルティーを受けます(2周目のハミルトンとの接触のため)。
 1回目のピット作業が落ち着いた29周目のオーダーは、アロンソ、クビカ、ライコネン、レッドブル・ウェバー、トゥルーリ、ピケ、ブルデー、ベッテル、BMWザウバー・ハイドフェルド、ウィリアムズ・ロズベルグとなります。また35周目あたりから、1ストップ作戦の車が給油を始め、43周目にはアロンソが2回目のピット作業を行います。47周目にはクビカが、49周目にはライコネンが給油を行いますが、順位はアロンソ、クビカ、ライコネンの順で変わりません。こうなるとコース上で抜くしかない両者ですが、アロンソと2位以下は10秒以上離れており安泰。注目は1秒差の2位争いとなります。この状況でライコネンは、数周に渡り1コーナーの飛び込みで、クビカにオーバテイクを仕掛けます。しかしクビカは付け入る隙を与えず、結局2位を守りきることに成功します。52周目、1ストップ作戦のピケがピットイン、前の周にピットインを済ませていたトゥルーリを逆転することに成功します。54周目にマッサがピットインを行い、上位陣のピット作業が終わります。この時点でのオーダーは、アロンソ、クビカ、ライコネン、ピケ、トゥルーリ、ブルデー、ベッテル、ウェバー、ハイドフェルド、マッサとなります。
 レース終盤、マッサの追い上げが光ります。ピットイン前の51周目、ブルデーと接触してスピンしてしまいますが、ピットストップ後は果敢な攻めを見せ、61周目にはハイドフェルド、65周目にはウェバーをオーバーテイク、ポイント圏内に順位を上げます。
 67周目チェッカー。アロンソが見事2連勝を果たし、クビカが2位、3位に終わったライコネンは、タイトル争いから脱落します。以下4位ピケ、5位トゥルーリ、6位ブルデー、7位ベッテル、8位マッサ、9位ウェバー、10位ハイドフェルドの結果となります。なおポイントリーダーのハミルトンは12位、ウィリアムズ・中嶋は15位でした。またホンダはバリチェロの13位が最高位でした。

 なおレース後、ベッテルに+25秒のタイム加算ペナルティーが科せられます。これは51周目のマッサとの接触のため。これによりマッサは2ポイントを獲得し、ハミルトンとのポイント差を5に縮めます。


◇感想

 アロンソ2連勝! 今回のレースのおもしろさは、この一点に尽きます。
 1コーナーでのハミルトンの自爆とマッサの誘爆により、オーダーがシャッフルされる中、見事なピット戦略で優勝を飾りました。1ストップのピケも粘り強い走りで4位に入り、ルノーが4強の地位に戻ってきた感があります。
 しかし不甲斐ないのはハミルトンとマッサ。タイトル上位の2名が、そろってペナルティーを受けるなど、最近ドタバタが目立ちます。これもタイトルへのプレッシャーなのでしょうか・・・。



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