Round.1 オーストラリアグランプリ
29.Mar.2009 : アルバートパーク・サーキット
周回数 : 58周
◇予選グリッド
大波乱の予選。ポールはまさかのブラウンGP・バトン。しかしながら、2位には同じくブラウンGPのバリチェロが入り、テストで見せた速さがフロックではないことを証明します。
3位はレッドブル・ベッテル、4位はBMWザウバー・クビカと、昨年初優勝を飾った二人が並びます。以下5位ウィリアムズ・ロズベルグ、6位フェラーリ・マッサ、7位同・ライコネン、8位レッドブル・ウェーバー、9位BMWザウバー・ハイドフェルド、10位ルノー・アロンソとなります。
昨年のチャンピオン、マクラーレン・ハミルトンは、ギヤボックスのトラブルが尾を引き13位、加えてギヤボックス交換によるペナルティーにより、最後尾スタートとなります。
日本勢は、ウィリアムズ・中嶋が11位、トヨタはトゥルーリ6位、グロック8位とシングルのタイムをたたき出しましたが、予選後リアウイング部品の強度不足によるレギュレーション違反によりタイム抹消。決勝はピットスタートとなります。
◇決勝
スタートでは、無難に飛び出したポールポジションのブラウンGP・バトンに対し、2位の同バリチェロが大きく遅れるハプニングが発生します。この結果、各車団子状態で1コーナーに突入することなり、バリチェロ、レッドブル・ウェーバー、BMWザウバー・ハイドフェルド、マクラーレン・コバライネン、フォースインディア・スーティルが接触、コバライネンはピットに戻ってくるのがやっとでリタイヤ1号となってしまいます。
オープニングラップは、バトン、レッドブル・ベッテル、フェラーリ・マッサ、BMWザウバー・クビカ、フェラーリ・ライコネン、ウィリアムズ・ロズベルグ、ブラウンGP・バリチェロ、ウィリアムズ中嶋のオーダーとなります。
9周目、1コーナーでロズベルグがライコネンをパス、続く2コーナーで、今度はバリチェロがライコネンに並びます。ここでライコネンとバリチェロが接触し、バリチェロのフロントウイング翼端板が破損してしまいますが、3コーナー出口でバリチェロがライコネンをオーバーテイクします。
そのライコネンでしたが、ソフトタイヤのグレイニングが激しくなり、翌10周目にピットに入ります。これに続き、11周目にマッサ、マクラーレン・ハミルトン、12周目にクビカとスタート時にソフトタイヤをチョイスしたマシンのピットインが続きます。
16周目、ベッテルがピットイン、しかし左フロントタイヤの交換に手間取り、21秒ものピットストップを強いられます。翌17周目、暫定4位まで順位を上げていた中嶋が、4コーナー出口でバランスを崩し単独スピン。ノーズをウォールにヒットしリタイヤとなります。そしてこの処理のため、1回目のセフティーカーが入ります。
これをみて、バリチェロ、バトン、アロンソ等がピット作業を行います。
24周目、セフティーカーが退き、レースが再開されます。この時点でのオーダーは、バトン、ベッテル、マッサ、ライコネン、クビカ、ロズベルグ、ルノー・ピケ、トヨタ・トゥルーリ、トロロッソ・ブエミ、バリチェロ。ですが1コーナーのアプローチで、ピケがロズベルグに並びかけたその瞬間、いきなりピケはコントロールを失い、マシンは横を向いてコースオフ。ブレーキトラブルでリタイヤとなります。また後方では、ハミルトンがバックストレートでトヨタ・グロックをオーバーテイク、ピケのリタイヤとあわせ、順位を10位まで回復します。
30周目、マッサがピットインし、各車2回目のピット作業が始まります。38周目にクビカとライコネン、43周目にハミルトンと再びライコネンがピットに入ります。そのライコネンですが、直後の45周目単独スピンでウォールにヒット、最後はデファレンシャルギアのトラブルでリタイヤとなります(完走扱い)。同じく45周目、ベッテルがピットアウト、出口でバリチェロに並ばれかけますが、間一髪バリチェロを抑え、2位で周回に戻ります。
46周目、トップのバトンがピットイン、時を同じくしてマッサがスローダウン、その後ピットに戻りそのままガレージに入りリタイヤとなります。53周目、トゥルーリとハミルトンが、ロズベルグを相次いでオーバーテイクします。これで順位は、バトン、ベッテル、クビカ、バリチェロ、トゥルーリ、ハミルトン、ロズベルグ、グロック、ルノー・アロンソ、ブエミとなります。
しかしこの隊列も長く続きませんでした。55周目、クビカがベッテルに仕掛けるも、インを守ったベッテルがふくらんでしまい、クビカと接触、クビカはハーフスピンしたところを再度ベッテルにヒットされ大破、そのままリタイヤとなります。一方のベッテルは、左フロントタイヤを失い3輪で走行を続けますが、57周目にストップします。なおクビカとの接触とこの走行が危険行為と見なされ、ベッテルには次戦マーレシアで10グリッド降格のペナルティーが科せられることとなります。
クビカのマシンの除去のため、2回目のセフティーカーが入ります。しかしセフティーカーが退いたのはファイナルラップ。リスタート=チェッカーとなり、バトンが優勝、バリチェロが2位と、ブラウンGPがデビュー戦1-2フィニッシュを決めました。以下3位トゥルーリ、4位ハミルトン、5位グロック、6位アロンソ、7位ロズベルグ、8位ブエミ、9位トロロッソ・ブルデー、10位フォースインディア・スーティルとなりました。
なおレース後、トゥルーリがセフティーカー導入時にハミルトンをオーバーテイクしたため、+25秒のタイム加算ペナルティーを受けます。しかしその後の調査でハミルトンが故意にペースを落としたことが判明、トゥルーリのペナルティーは取り下げられます。一方ハミルトンには、スチュワードに虚偽の報告をしたとのことで、レース失格の厳しい裁定が下り、後味の悪い結果となります。
これにより、グロック以下の順位が繰り上がり、ハイドフェルドが10位となりました。
◇感想
毎年荒れるオーストラリア。今年もセフティーカーが2回入るという、波乱のレース内容に加え、ブラウンGPのデビュー・ウィン、そして2強フェラーリとマクラーレンがそろってノーポイントに終わるなど、結果も大荒れの内容でした。
開幕戦を見る限り、今年はブラウンGPが頭半分抜けだし、それにBMWザウバーとレッドブルが続き、トヨタが僅差で続くという感じでしょうか。一方のフェラーリとマクラーレンは、ちょっともたついている感じ。特にマクラーレンはタイヤを上手く使えていない状態であり、サスペンションジオメトリや重量配分を抜本的に見直さないと、中団に沈んで終わってしまう可能性が高いです。フェラーリはKERSの成熟具合によっては、ヨーロッパラウンドで巻き返しが見られるかも知れません。
何はともあれ、今年は順位の予測が難しく、目が離せないシーズンになりそうです。