Round.9 ドイツグランプリ
12.Jul.2009 : ニュルブルクリンク
周回数 : 60周


◇予選グリッド

 予選トップはレッドブル・ウェバー、130戦目にして初めてのポールを獲得します。2位はブラウンGP・バリチェロ、3位は同バトン、4位はレッドブル・ベッテルと並び、2強の直接対決の様相を帯ます。5位は復活のマクラーレン・ハミルトン。6位には同コバライネンが付け、空力パーツのアップデートが功を奏した印象です。7位は雨交じりのQ2で、3位に躍進したフォースインディア・スーティル、初ポイントに向けて好位置につけます。以下8位フェラーリ・マッサ、9位同ライコネン、10位ルノー・ピケとなります。
 なおウィリアムズ・中嶋は13位、トヨタ勢はトゥルーリが14位、グロックは19位に沈みピットスタートから巻き返しを図ります。


◇決勝

 信じられないロケットスタートを見せたのは、マクラーレン・ハミルトン。KERSのブースターで周囲にブロックされる隙を与えず、1コーナーではトップのブラウンGP・バリチェロに並びます。しかしここでレッドブル・ウェバーと接触、ハミルトンは1コーナーを曲がり切れず、オーバーランしてしまいます。しかもそののち、接触して痛めた右リアタイヤがバースト、トップ争いから一転、最下位に転落します。
 オープニングラップはバリチェロが制し、以下ウェバー、マクラーレン・コバライネン、フェラーリ・マッサ、ブラウンGP・バトン、レッドブル・ベッテル、フェラーリ・ライコネン、フォースインディア・スーティル、ウィリアムズ・ロズベルグ、BMWザウバー・クビカのオーダーとなります。
 2周目、1コーナーでバトンがマッサのインを突きオーバーテイク、しかしベッテルはマッサに抑え続けられてしまいます。10周目にシケイン手前で仕掛けるも、マッサの見事なラインどりと、KERSによる加速を巧みに使われ、前に出るには至りません。
 14周目、早くもバトンがピットに入ります。翌15周目、トップのバリチェロがピットイン。このタイミングでウェバーもピットに入ります。これは1周目の1コーナーでのバリチェロととの接触に対するペナルティーのためで、ウェバーはそのままピットをスルーしていくこととなります。16周目、コバライネンがピット作業を行い、1コーナーで僅差でトヨタ・グロックの前に出ることに成功します。これに割りを食ったのがグロック。コバライネンに詰まり、コーナー出口の加速が鈍ったところを、後続のウィリアムズ・中嶋にオーバーテイクされてしまいます。
 20周目ウェバー、22周目ベッテル、25周目ライコネン、26周目マッサとピット作業を行い、この時点でのオーダーは、バリチェロ、スーティル、ロズベルグ、ウェバー、バトン、BMWザウバー・ハイドフェルド、ルノー・ピケ、ベッテル、マッサ、ライコネンとなります。28周目、暫定2位を走っていたスーティルがピットイン、しかしピット出口でライコネンと接触、スーティルはフロントウイングの翼端板を破損し、この交換のため入賞圏内から脱落してしまいます。
 32周目、バトンが2回目のピット作業を行い、33周目にバリチェロも続きます。しかしここでバリチェロに痛恨のミス。給油リグがはまらず急遽バトンの給油装置を使ったため、最後まで走り切る燃料を積むことができかなったのです。こうしてバリチェロは、当初予定の3ピット作戦を堅持する以外方法がなくなり、優勝争いから脱落してしまいます。
 34周目、最終コーナーでバトンがライコネンをオーバーテイク、一方のライコネンは、これと前後してスローダウン、ピットにもどりリタイヤとなります。この結果、ウェバー、ベッテル、マッサ、ロズベルグ、バリチェロ、バトン、コバライネン、フォースインディア・フィジケラ、グロック、ルノー・アロンソのオーダーとなります。
 1-2体制を築いたレッドブル勢は、44周目ウェバー、45周目ベッテルと最後のピット作業を堅実に行い、ウェバー1位、ベッテル6位でコースに送り出します。その後46周目マッサ、51周目バリチェロ、52周目バトンとピット作業を行い、ウェバー、ベッテル、マッサ、ロズベルグ、バトン、バリチェロ、アロンソ、コバライネン、グロック、ハイドフェルドのオーダーとなります。
 レース終盤、8位入賞を争い、8位のコバライネンから11位の中嶋まで間隔が狭まってきます。しかし結局最後までこのオーダーで走り切り、ウェバーが初ポールから初優勝を遂げ、ベッテルとの1-2で花を添えました。3位は久しぶりのポディウムとなるマッサ、以下4位ロズベルグ、5位バトン、6位バリチェロ、7位アロンソ、8位コバライネン、9位グロック、10位ハイドフェルドとなりました。
 なお中嶋は、58周目にフィジケラに抜かれ、12位でレースを終えました。


◇感想

 まずはウェバー、130戦目の美酒におめでとうですね。これはバリチェロの124戦目を上回り、歴代遅咲き優勝の記録だとか。うーん、マー君(違)もそんな歳だったんだね。
 さてレースを振り返ると、序盤あまりの速さを見せつけたブラウンGPの神通力が、薄れてきた印象です。いまや最速マシンはレッドブル。また予選の速さをみるに、マクラーレンも復活しそうな気配ですし、フェラーリもしかり。開発力の差が、ここにきてブラウンGPの地位を、相対的に後退させている感じです。
 風雲急を告げるチャンピオンシップ、真夏のハンガロリンク、空力サーキットではない低速コースを空力マシンのレッドブルがとるか、はたまたモナコで示したように、メカニカルグリップに優れるブラウンGPが死守するのか、大きな山場を迎えます。



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