Round.10 ハンガリーグランプリ
26.Jul.2009 : ハンガロリンク
周回数 : 70周
◇予選グリッド
予選Q2、とんでもない事態が生じます。ハンガロリンクの数少ないストレート、ここで前方を走行していたブラウンGP・バリチェロのパーツが脱落、後続のフェラーリ・マッサを直撃したのです。これにより意識を失ったマッサはそのままコーナーを直進、タイヤバリアに深く車体を突っ込ませた状態でストップします。しかし幸いなことに、意識を失う直前ブレーキを踏んでいたため、レスキューに救出されたときマッサの意識は回復しており、また搬送された病院での診察の結果、命に別条はないとの診断結果が出ています。
この大波乱の予選を制したのは、なんとルノー・アロンソ。自身2007年イタリアGP以来のポールとなります。2位はレッドブル・ベッテル、3位は同ウェバーと並び、4位にマクラーレン・ハミルトンが入ります。以下5位ウィリアムズ・ロズベルグ、6位マクラーレン・コバライネン、7位フェラーリ・レイコネン、8位ブラウンGP・バトン、9位ウィリアムズ・中島、10位マッサとなります。
なおトヨタはトゥルーリが12位、グロックが13位の結果でした。またトロロッソの新人ドライバー アルグエルスアリは厳しい洗礼を受け最下位の20番手でした。
◇決勝
昨日の予選で、頭蓋骨陥没の重傷を負ったフェラーリ・マッサを除く、19台による決勝。スタートではKERS勢が大きくジャンプアップし、1コーナーへの飛び込みでは、ルノー・アロンソ、マクラーレン・ハミルトン、レッドブル・ウェバー、フェラーリ・ライコネンのオーダーとなります。しかしハミルトンは1コーナーをやや大回りしてしまい、その間にウェバーが2位を奪い返します。また1コーナーへの飛び込みで、ライコネンと接触したレッドブル・ベッテルは失速、大きく順位を落としてしまいます。こうしてオープニングは、アロンソ、ウェバー、ハミルトン、ライコネン、ウィリアムズ・ロズベルグ、マクラーレン・コバライネン、ベッテル、ウィリアムズ・中嶋、ブラウンGP・バトン、トヨタ・トゥルーリのオーダーとなります。
2周目、1コーナーの飛び込みでインを奪ったバトンが、中嶋をオーバーテイク、8位に順位を上げます。6周目、2コーナーでハミルトンがウェバーに並び、そのまま抜き去ります。そしてあっという間にウェバーを置き去りにする速さを見せ、トップを走るアロンソの追撃に入ります。
12周目、早くもアロンソがピットイン、クルーは素早くコースに復帰させます。しかし直後、右フロントタイヤのカバーが四散するトラブルが発生します。そして右フロントタイヤが大きく揺れだし、コース中ほどでついに脱輪してしまいます。これはタイヤのナットが正しく絞められていなかったためで、アロンソは大きくタイムロスした上、17周目にはトラブルでリタイヤとなってしまいます。
19周目、ウェーバーとライコネンが、同時にピットに入ります。ここでウェバーが給油リグの取り外しに手間取りわずかにタイムロス、ピットアウト時に両者ニアミスで一瞬ひやりとする場面がありましたが、ライコネンが前に出ることに成功します。しかもウェバーは、アウトラップでトヨタ・グロックにも抜かれてしまい、一時トップ10から落ちてしまいます。
20周目、ハミルトン、次いでロズベルグがピットインをします。ここでロズベルグはウェバーの前で周回に復帰することに成功しますが、ここはウェバーが粘りを見せます。チャンスがロズベルグのタイヤが温まっていない今しかないと、4〜5コーナーで一気に並びかけ、オーバーテイクに成功します。22周目、暫定3位を走行していた中嶋がピットイン、多めに燃料を積んだこともあり、15位で周回に復帰します。しかしこの作戦は、結局裏目に出ます。24周目、ルノー・ピケが中嶋の直前でピットアウト、ピットアウト直後で明らかに遅いピケに対し、中嶋は2コーナーアウトからオーバーテイクを仕掛けますが、ここでピケがラインを膨らませてしまい、中嶋は接触を避けるためにさらに外側に逃げなくてはならず失速。結局チャンスはこの一度しかなく、中嶋はピケの後ろで我慢のレースを強いられます。27周目、ベッテルが21周目に続き2回目のピットイン、フロントウイングを交換して出ていきますが、前周にリアから煙を上げるなど明らかに異常を抱えており、結局30周目にピットに戻りリタイヤとなります。
上位で最後までピットストップを遅らせたのは、32周まで引っ張ったグロックで、この時点でのオーダーは、ハミルトン、ライコネン、ウェバー、コバライネン、ロズベルグ、グロック、トゥルーリ、バトン、ピケ、中嶋となります。
この後、10周以上大きな動きがないままレースが進み、44周目にハミルトンが2回目のピットストップを行います。45周目、ライコネンがピットアウト時にギアが入らずタイムロスしてしまいますが、順位に影響はないレベル。49周目のピットアウトで、ロズベルグとコバライネン、55周目のピットアウトで、バトンとトゥルーリの順位が入れ替わった以外、大きな順位変動もなくファイナルラップを迎えます。
こうしてハミルトンがようやく今季初勝利を挙げ、2位にはライコネンと、久々の旧二強のポディウムとなります。以下3位ウェバー、4位ロズベルグ、5位コバライネン、6位グロック、7位バトン、8位トゥルーリ、9位中嶋、10いブラウンGP・バリチェロの結果となります。
◇感想
いやー、マッサ、びっくりしました。直撃の瞬間のオンボード映像を見たとき、寒気がしました。タイヤバリアへ突っ込んでいく映像も、99年のイギリス、ストウコーナーを直進してタイヤバリアに激突したシューマッハーの事故を思い起こさせます。しかし8/2現在、院内を歩き回るまで回復しているとのことで、一安心です。
さてレースのほうは、いつもの通りのパレードランの続く、いつものハンガロリンクでした。違うのは、今季絶不調だったハミルトンがトップを走っていたこと。昨年なら見慣れた光景も、今年は初めてということもあり、さほど退屈さを感じさせないレースだったと感じました。
2強の復活が、チャンピオンシップにどのような影響を与えるのか、1ヶ月後のヨーロッパGPが楽しみですね。
とはいえ、2強が出てくると、ベッテルの得点が抑えられるため、バトンにはおいしい展開かなと思っています。ハミルトン、ライコネン、ベッテルで点数を分け合った場合(1〜3位を分け合ったと仮定し、7戦で上位3人に与えられる168ポイントを3分割して加えた場合)、
ベッテル : 47+56=103ポイント
ライコネン : 18+56=74ポイント
ハミルトン : 19+56=75ポイント
となり、バトンは残り7戦で33ポイント稼げばいいですから。
とはいえ、こうなってくると、バトンが毎戦5点・4位以上をキープするのは難しいかな・・・・。
ああ、忘れていた。BMWが今季限りでF1撤退を発表しましたね。さてどうなる、ニック様