Round.11 ヨーロッパグランプリ
23.Aug.2009 : バレンシア・ストリート・サーキット
周回数 : 57周


◇予選グリッド

 前戦ハンガリーGPでの優勝に引き続き、マクラーレン完全復活を印象づける予選結果となりました。すなわち予選Q1、Q2とブラウンGPの後塵を期していたハミルトンがQ3では一転、1回目のアタックでスーパーラップを刻み、ポールを獲得したのです。また僚友のコバライネンも僅差で2位につけ、今期初のフロントロー独占となります。これは、昨年の第11戦ハンガリーGP以来約1年ぶりの快挙です。
 以下3位ブラウンGP・バリチェロ、4位レッドブル・ベッテル、5位ブラウンGP・バトン、6位フェラーリ・ライコネン、7位ウィリアムズ・ロズベルグ、8位ルノー・アロンソ、9位レッドブル・ウェバー、10位BMWザウバー・クビカの結果となります。
 なおウィリアムズ・中嶋は17位、トヨタはグロックの13位が最高となります。またフェラーリ・マッサの代役として出場したバドエルは、20位と最下位に沈んでいます。


◇決勝

 フェラーリ・ライコネンがすばらしいスタートを決め、マクラーレン・ハミルトン、同コバライネン、ブラウンGP・バリチェロに次ぐ、4番目で1コーナーに入ります。次いでレッドブル・ベッテル、ブラウンGP・バトンが続きます。しかしバトンは、1コーナー出口から2コーナー飛び込みでのライン取りがうまくいかず、ウィリアムズ・ロズベルグ、ルノー・アロンソらに抜かれ、8位にポジションダウンしてしまいます。
 こうしてオープニングは、ハミルトン、コバライネン、バリチェロ、ライコネン、ベッテル、ロズベルグ、アロンソ、バトン、レッドブル・ウェバー、BMWザウバー・ハイドフェル度の順となります。
 6周目、BMWザウバー・クビカが僚友ハイドフェルドをオーバーテイク、またシケインをショートカットしたバトンが、ウェバーに順位を譲っています。
 トップのマクラーレンは、ハミルトンが順調に逃げ、やや遅れたコバライネンが、バリチェロ以下を抑え込むという、ほぼベストの展開でレースを進めます。そして17周目ハミルトン、18周目コバライネンとピット作業を行います。しかしハミルトンはロズベルグの、コバライネンはウェバーの後ろに入ってしまい、アウトラップでタイムをあげることができません。その間にバリチェロが1分39秒台をそろえる猛チャージを見せ、20周目のピット作業でコバライネンを逆転、ハミルトンとの差も大幅に縮めます。
 一方16周目にピットインしたベッテルは、燃料が入りきらないトラブルで、翌17周目に再度ピットイン、大きく順位を落としています。そして24周目、エンジントラブルでストップしてしまい、チャンピオンシップに獲得に向け、痛すぎるノーポイントとなります。
 各車1回目のピットストップ後の順位は、ハミルトン、バリチェロ、コバライネン、ライコネン、ロズベルグ、アロンソ、ウェバー、バトン、クビカ、フォースインディア・スーティルとなります。しかし1stスティントの様に、ハミルトンとバリチェロの差は開かず、かといってコース上でのオーバーテイクに至るまでは接近せずといった状況で、勝負は2回目のピットストップに委ねられます。
 その2回目のピットストップ、先に動いたのはハミルトンでした。37周目にピットインしたハミルトンでしたが、右フロントタイヤの準備が遅れるというミスによりタイムロスしてしまいます。一方のバリチェロは、その間自己ベストを更新する猛チャージを続け、3周後の40周目にピット作業を終えたときには、6秒もの大差をつけてトップに立つことに成功します。またライコネンはコバライネンを、バトンはウェバーをそれぞれピットストップで逆転します。こうして各車2回目のピットストップを終えた44周目の順位は、バリチェロ、ハミルトン、ライコネン、コバライネン、ロズベルグ、アロンソ、バトン、クビカ、ウェバー、スーティルとなります。
 結局その後10周以上にわたりオーバーテイクは起こらず、バリチェロの04年中国GP以来、実に5年ぶりとなる優勝で幕を閉じました。
 なおトヨタはトゥルーリの13位が最高位でした。またウィリアムズ・中嶋は、マシントラブルでリタイヤ、完走扱いの17位の結果でした。

◇感想

 バリチェロ優勝! 第8戦イギリスGP以来、速さに陰りが見えていたブラウンGPが、まだまだやれることを証明した1戦でした。そして2位、3位はかつての2強、ハミルトンとライコネンが分け合う状況となり、ここにきて上位者の顔ぶれが大きく変わってきた印象を受けました。
 深刻なのがレッドブル。特にベッテルは2戦連続のマシントラブルによるリタイヤでノーポイント。ブラウンGPの戦闘力が回復する兆しが見える中、バトンが下位でもがいている間に、ポイント差を詰め切れなかった状況に、チャンピオンシップの行方がますます解らなくなってきました。連戦となるベルギーGPで立て直すことができるのか、注目です。



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