Round.2 オーストラリアグランプリ
28.Mar.2010 : アルバートパーク・サーキット
周回数 : 58周
◇予選
ポールはレッドブル・ベッテル、2位には同僚のウェバーが入り、レッドブルが現在最強マシンであることを印象づけます。特にベッテルは、予選終盤に降り出した小雨にもかかわらず、コースレコードを更新する鬼神の走りで、2戦連続のポールを獲得します。
以下、3位フェラーリ・アロンソ、4位マクラーレン・バトン、5位フェラーリ・マッサ、6位メルセデス・ロズベルグ、7位同シューマッハー、8位ウィリアムズ・バリチェロ、9位ルノー・クビカ、10位フォースインディア・スーティルの結果となります。なおザウバー・小林は、16位でした。
◇決勝
スタート直前に降り出した雨により、各車インターミディエイトにタイヤを履き替え、スタートとなります。その中、ロータス・トゥルーリ、ヴァージン・グロック、同グラッシがピットスタートを選択します(トゥルーリは結局スタートできず、リタイヤ)。
スタートではレッドブル・ベッテルとフェラーリ・マッサがすばらしいダッシュを見せ、ベッテル、マッサ、レッドブル・ウェバーの順で1コーナーに飛び込みます。しかし後続は大混乱。並ぶようにして1コーナーに進入したフェラーリ・アロンソとマクラーレン・バトンが接触、これによりアロンソは体勢を崩し、メルセデス・シューマッハーと接触、アロンソはコースには戻れたものの、大きく順位を落とし、またシューマッハーはフロントウイングを破損しピットに入ります。一方、この混乱をに乗じて、ルノー・クビカが順位を上げます。
しかし混乱はこれだけで終わりませんでした。今度はフロントウイングを落としたザウバー・小林が、6コーナーで自らのウイングに乗り上げコントロールを失いクラッシュ、バウンドした小林は、ウィリアムズ・ヒュルケンベルクに乗り上げる形で激突し、マシンは原形を失うほど大破します。このクラッシュに巻き込まれたトロロッソ・ブエミを含み、3台がオープニングラップで姿を消します。
この事故の処理のため、早くもセフティーカーが入ります。この時点でのオーダーは、ベッテル、マッサ、ウェバー、クビカ、メルセデス・ロズベルグ、バトン、マクラーレン・ハミルトン、フォースインディア・スーティル、ウィリアムズ・バリチェロ、ルノー・ペトロフのトップ10となります。
レース再開は5周目、再開直後のストレートでは、クビカがウェバーに並びかけますが、ここはウェバーがキープします。これが功を奏し、6周目にはマッサをオーバーテイク、ベッテルと1-2体勢を築きます。その直前、ハミルトンに抜かれたバトンがピットイン、タイヤをドライに切り替えるギャンブルに出ます。バトンはピットアウト直後こそ、濡れた路面に足を取らオーバーランを喫しますが、その後は持ち直し一気に3秒以上タイムを縮めます。これを見た他のチームは、8周目から9周目にかけて、一斉にタイヤ交換を行います。こうして11周目、オーダーはベッテル、バトン、クビカ、ロズベルグ、マッサ、ウェバー、バリチェロ、ハミルトン、ザウバー・デ・ラ・ロサ、アロンソとなります。直後、ハミルトンがバリチェロを攻略、7位に順位を上げます。16周目、1コーナーでウェバーがマッサをオーバーテイク、これに乗じてハミルトンもマッサの前に出ます。勢いに乗るハミルトンは、ウェバーに仕掛けます。サイド・バイ・サイドでコーナーに飛び込むも、レイトブレーキのウェバーは踏ん張りが効かずコースアウト、ハミルトンもコーナー出口で大きくふくらんでしまい、その脇をマッサが抜き返して行きます。再びマッサに先行を許したハミルトンでしたが、22周目の最終コーナーで、マッサが挙動を乱したのを見逃しませんでした。メインストレートでマッサのスリップに入るや、1コーナーでオーバーテイク、5位に順位を上げます。一方マッサに前をふさがれる形となりスピードが落ちたアロンソは、ウェバーこの隙をウェバーに突かれ、順位が入れ替わります。
26周目、ハミルトンがロズベルグをオーバーテイク、順位を4位に上げたところで、なんとトップのベッテルがコースオフ、2戦連続のマシントラブルで戦列を去ります。こうして順位は、バトン、クビカ、ハミルトン、ロズベルグ、ウェバー、マッサ、アロンソ、バリチェロ、フォースインディア・リウッツィ、デ・ラ・ロサとなります。
33周目から35周目にかけて、激しく順位を争っていたウェバー、ロズベルグ、ハミルトンが相次いでピットイン、フレッシュタイヤで先頭を追いかけます。しかしトップ4のバトン、クビカ、マッサ、アロンソは動かず、そのまま周回を重ねます。フレッシュタイヤを履いたハミルトン、ロズベルグ、ウェバーは、毎周1秒以上タイムを詰め、50周目にはその差がほとんどなくなります。そして56周目、ハミルトンがアウトから、アロンソを抜きにかかります。アロンソもタイヤスモークを上げるほどのレイトブレーキで順位をキープしますが、直後、ウェバーがハミルトンに追突、両者コースオフで順位を落としてしまいます。
こうしてバトンが今期初勝利を上げ、2位クビカ、3位マッサの表彰台となりました。以下4位アロンソ、5位ロズベルグ、6位ハミルトン、7位リウッツィ、8位バリチェロ、9位ウェバー、10位シューマッハーの結果となりました。
◇感想
トラブルがらみとはいえ、オーストラリアは毎年オーバーテイクが見られ、おもしろいです。しかし2戦連続メカニカルトラブルのベッテルは、これで50ポイントを逃した計算となり、今年もタイトルに手が届かない予感・・・。まあ2戦とも優勝者が違うので、決定的なポイント差になっていないのが、不幸中の幸いでしょうか。
それにしても、小林のクラッシュは肝を冷やしました。状況は全く違いますが、2002年のオーストリアGPでの、佐藤とハイドフェルドの事故が、一瞬頭をよぎったくらいです。しかしながら、小林もヒュルケンベルグも、怪我がなくて幸いでした・・・。