Round.8 カナダグランプリ
12.Jun.2010 : サーキット・ジル・ビルヌーブ
周回数 : 70周


◇予選

 予選、ついにマクラーレン・ハミルトンが、レッドブル勢の連続ポール記録を止め、今期初ポールを決めます。以下2位レッドブル・ウェバー、3位同ベッテル、4位フェラーリ・アロンソ、5位マクラーレン・バトン、6位フォースインディア・リウッツィ、7位フェラーリ・マッサ、8位ルノー・クビカ、9位フォースインディア・スーティル、10位メルセデス・ロズベルグでした。なお予選後、2位のウェバーがギアボックスを交換したため5グリッド降格、決勝は7位スタートとなります。
またザウバー・小林は18位からのスタートとなります。



◇決勝

 スタートでは、フォースインディア・リウッツィとフェラーリ・マッサ、ルノー・ペトロフとザウバー・デ・ラ・ロサが接触、幸いカナダ名物の1-2複合コーナーの餌食になった車はありませんでしたが、中団以降は大きくシャッフルされることとなります。この好機を生かしたのが、ザウバー・小林。混乱をうまく切り抜け、10位のポジションを得ます。しかしこの幸運もつかの間、最終コーナーで行き場を失った小林は、縁石に乗り上げフロントウイングを破損、そのままウォールにヒットしてレースを終えます。
 こうしてオープニングラップは、マクラーレン・ハミルトン、レッドブル・ベッテル、フェラーリ・アロンソ、マクラーレン・バトン、レッドブル・ウェバー、ルノー・クビカ、フォースインディア・スーティル、メルセデス・シューマッハー、ウィリアムズ・ヒュルケンベルグ、トロロッソ・アルグエルスアリのオーダーとなります。
 今年のカナダはタイヤに厳しく、5周目にて早くもオプション(ソフト)タイヤがたれ始めます。この期を逃さず、ウェバーがバトンをターン8で攻略、タイムの落ちが激しいバトンは、7周目に早くもピットに入ります。タイムの落ちが激しいのはトップのハミルトンも同様で、プライム(ハード)のベッテルに一気に詰め寄られます。完全にテール・トゥー・ノーズ状態であおられるハミルトンは、たまらず8周目にピットイン、アロンソもこれに続きます。しかしタイヤ交換をいち早く完了させたのはアロンソで、わずかにハミルトンに先行してピットレーンに出ます。しかしハミルトンも譲らず、ピットレーンでのサイド・バイ・サイドを演じます。ピットレーンでの争いを制したのはアロンソでしたが、その優位も長くは続きません。14周目の最終コーナーにおいて、同一周回のトロロッソ・ブエミを抜きあぐねた隙をハミルトンに突かれます。続くストレートで、アロンソのスリップストリームに入ったハミルトンは、1コーナー手前でアロンソをオーバーテイク、トップを走っていたウェバー、ベッテルのピットインもあり、ここでトップに立ちます。この時点でのオーダーは、ハミルトン、アロンソ、バトン、ベッテル、ウェバー、クビカ、スーティル、ブエミ、メルセデス・ロズベルグ、ヒュルケンベルグとなります。
 26周目、トップを走るハミルトンのタイヤが限界に近づき、5位のウェバーまで、わずか6秒の差になります。27周目、ここでハミルトンがピットイン、28周目にはバトンとベッテル、29周目にはアロンソも続きます。ここで唯一プライム→プライムとつないだウェバーがトップに立ちます。
 一時は後続を15秒近く引き離したウェバーでしたが、タイヤのタレは予想以上に早く、40周を過ぎると後続との差が縮まり始めます。そして50周目、ついにハミルトンがウェバーをとらえ、メインストレートでオーバーテイクします。この翌周、たまらずウェバーがピットインしますが、ウェバーは5位で復帰するのが精一杯となります。56周目、ターン6でバックマーカーに引っかかったアロンソを、バトンがオーバーテイク、これによりマクラーレンの1-2体制となります。
 レース終盤になると、ポイント争いが激しくなります。64周目のターン1にて、8位のシューマッハーにマッサが仕掛け横並びになります。しかしシューマッハーも引かずマッサと接触、マッサはフロントウイングを破損してしまいます。オープニングラップの接触により、最後尾からの追い上げとなったマッサでしたが、ここでポイント圏から脱落します。そのシューマッハーでしたが、すでにタイヤは限界を超えており、最終ラップにリウッツィ、スーティルに相次いで抜かれ、ポイント圏から脱落します。
 こうしてハミルトンが連勝し、バトンも連続2位を獲得、以下3位アロンソ、4位ベッテル、5位ウェバー、6位ロズベルグ、7位クビカ、8位ブエミ、9位リウッツィ、10位スーティルの結果となります。


◇感想

 ウェバー、プライムを引っ張りに引っ張って、なんとかオプションで走りきれる距離まで持って行こうというコンサバな戦略をとりましたが、他車はまさかの40周を超えるロングスティントを決行し、終わってみれば5位に埋もれる結果に。最後のプライムで走った終盤の10周は、明らかにパフォーマンスが落ちていただけに、タイム差があるうちにオプション→オプションのショートスティントで行くという作戦がとれなかったのか疑問です。
 今年のカナダは異様にタイヤに厳しかったといえ、柔軟にプランを組み替えたマクラーレンが、レッドブルを圧勝する結果になり、レッドブルの速さにマクラーレンが追いついてきたことを印象づけるグランプリとなりました。



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