Round.9 ヨーロッパグランプリ
27.Jun.2010 : バレンシア・ストリート・サーキット
周回数 : 57周


◇予選

 予選ではレッドブル勢が前回の雪辱を果たし、ベッテル、ウェバーがフロントローを独占します。3位はマクラーレン・バトン、4位は母国GPのフェラーリ・アロンソとなります。以下5位フェラーリ・マッサ、6位ルノー・クビカ、7位マクラーレン・バトン、8位ウィリアムズ・ヒュルケンベルグ、9位同バリチェロ、10位ルノー・ペトロフとなります。
 なおザウバー・小林は18位からのスタートとなります。


◇決勝

 スタートでは、マクラーレン・ハミルトンが好スタートを決めた一方、レッドブル・ウェバーが大きく出遅れます。こうして1コーナー手前でウェバーをかわしたハミルトンは、レッドブル・ベッテルと並んで1コーナーに入ります。軽く接触する両者でしたが、ここはベッテルがトップを守ります。こうしてオープニングラップはベッテルが制し、ハミルトン、フェラーリ・アロンソ、同マッサ、ルノー・クビカ、マクラーレン・バトン、ウィリアムズ・バリチェロ、同ヒュルケンベルグ、ウェバー、トロロッソ・ブエミのオーダーとなります。
 スタートに失敗したウェバーは、ヒュルケンベルグに前を抑えられ、上位との差を縮めることができません。そのため8周目に、早くもピット作業を行います。しかしここで左フロントタイヤの交換に手間取り、数秒をロスしてしまいます。この焦りがあったのでしょうか、翌周、オーバーテイクの際にロータス・コバライネンに追突、タイヤに乗り上げたウェバーは大きく宙を舞い、縦に1回転して路面にたたきつけられます。そしてそのままランオフエリアを直進し、タイヤバリアに激突してストップします。幸い、コバライネン、ウェバーともに無事でしたが、この事故処理のためにセフティーカーが入ります。
 この時点でバトン、クビカ、バリチェロ等が、翌周にベッテル、ハミルトン、アロンソ、マッサがピットに入ります。しかしセフティーカーに引っかかってしまったアロンソ、およびピットイン時にアロンソの後ろで待機となったマッサは大きく順位を落とし、それぞれ10位、17位と上位争いから脱落してしまいます。
 15周目、セフティーカーが退きリスタート、この時点でのオーダーは、ベッテル、ハミルトン、そして唯一タイヤ交換を行わなかったザウバー・小林が3位につけます。以下バトン、バリチェロ、クビカ、ブエミ、フォースインディア・スーティル、ヒュルケンベルグ、アロンソとなります。なおアロンソは、直後にヒュルケンベルグをオーバーテイクし、9位に順位を上げます。
 こうしてレースは、ベッテルが逃げ、やや遅れてハミルトンが追走、やや間を開けて小林が続き、以下は数珠つなぎとなります。しかし小林も、自己ベストを更新しつつ走り続け、追従しているのはバトンのみという状況となります。この状況で、2位のハミルトンにペナルティーが下されます。これはセフティーカーが入った時に、セフティーカーを追い抜いたとのことでした。しかしこの裁定には時間がかかりすぎ、28周目にハミルトンがドライブスルーペナルティーを受けた際には後続との差は十分で、順位キープで周回に復帰できます。
 こうなると注目は、3位の小林が、いつピットにはいるかに絞られてきます。しかし小林はいっこうにピットに入る気配を見せず、そのままレースは終盤にさしかかります。そして54周目、ラスト4周を残した時点で、ようやく小林がピットに入ります。ここでピットクルーは小林を9位で復帰させ、今期2度目のポイント獲得に大きく近づきます。しかし小林はここから怒濤の走りを披露します。フレッシュタイヤのグリップを十分に使い、一気に前を走るアロンソとの差を縮めるや、56周目にアロンソをオーバーテイク、そして57周目ファイナルラップにはブエミまでも攻略、7位に順位を上げることに成功します。
 こうしてレースは、ベッテルが第3戦マレーシア以来の勝利となる2勝目を挙げ、ハミルトン2位、バトン3位のポディウムとなります。以下4位バリチェロ、5位クビカ、6位スーティル、7位小林、8位ブエミ、9位アロンソ、10位ザウバー・デ・ラ・ロサとなります。
 なおレース後、バトン、バリチェロ、ヒュルケンベルグ、クビカ、スーティル、リウッツィ(フォースインディア)、アルグエルスアリ(トロロッソ)、デ・ラ・ロサに対し、セフティーカー導入時に速度を落とさなかったとして、タイムに5秒加算のペナルティーが下されました。この結果、1位ベッテル、2位ハミルトン、3位バトン、4位バリチェロ、5位クビカ、6位スーティル、7位小林、8位アロンソ、9位ブエミ、10位ロズベルグ(メルセデス)の順位に変更となりました。


◇感想

 小林っ! 久々に日本選手の熱い走りを見ました。この興奮は、スーパーアグリ・佐藤が、2007年カナダで、フェラーリ・シューマッハー、マクラーレン・アロンソをぶち抜いた時以来じゃないですかね。やったー!!
 しかしウェバーは、、、、何というか、トルコで勝っていたレースを同士討ちで失ってから、スペイン、モナコと連勝した強いウェバーがなりを潜め、それ以前の速いけど結果に結びつかないウェバーに戻っちゃったような悲しさがあります。今回ベッテルが勝っただけに、いっそう悲愴に見えてしまいます。



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