Round.13 ベルギーグランプリ
29.Aug.2010 : サーキット・デ・スパーフランコルシャン
周回数 : 44周


◇予選

 ドライ−雨と変わる不安定なコンディションの中、レッドブル・ウェバーが今期4度目のポールポジションを獲得します。2位にはレインコンディションの中、唯一タイムアップに成功したマクラーレン・ハミルトンが入ります。以下3位ルノー・クビカ、4位レッドブル・ベッテル、5位マクラーレン・バトン、6位フェラーリ・マッサ、7位ウィリアムズ・バリチェロ、8位フォースインディア・スーティル、9位ウィリアムズ・ヒュルケンベルグ、10位フェラーリ・アロンソとなります。
 なおザウバー・小林は19位、HRT・山本は21位の結果となりますが、メルセデス・シューマッハー、同ロズベルグ、ヴァージン・グロック、ザウバー・デ・ラ・ロサ等のグリッド降格により、小林17位、山本19位からのスタートとなります(上位10位内の順位変動はなし)。


◇決勝

 フォーメーションラップ中に雨粒が落ちてくる不安定なコンディションで迎えたスタート、ここでポールのレッドブル・ウェバーがスタートに失敗、大きく遅れることとなります。こうして1コーナーは、マクラーレン・ハミルトン、ルノー・クビカ、マクラーレン・バトン、レッドブル・ベッテル、フェラーリ・マッサ、ウェバーの順で立ち上がって行くこととなります。しかしオープニングラップ途中で雨足がさらに強まり、一部はウエット状態までコンディションが悪化します。そしてこの雨に足下をすくわれたウィリアムズ・バリチェロが、18コーナーで止まりきれず、フェラーリ・アロンソに追突するアクシデントが発生します。幸いアロンソはスピンしたのみでレースに復帰することができましたが、バリチェロはフロントサスペンションが破断するほどのダメージを受けその場でリタイヤ、自身300戦目の記念グランプリを、1周すらできず終えることとなります。
 このアクシデントの処理のため、2周目にセフティーカーが入ります。これを見て動いたのがバリチェロとのアクシデントで順位を大きく落としていたアロンソと、後方からの追い上げを見せていたザウバー・小林。ここでアロンソはインターミディエイトに交換しますが、小林はなんとハードタイヤに交換し、雨足が弱まる方に賭けます。
 3周目、セフティーカーが退き、レースが再開されます。この時点でのオーダーは、ハミルトン、バトン、クビカ、ベッテル、ウェバー、フェラーリ・マッサ、ウィリアムズ・ヒュルケンベルグ、フォースインディア・スーティル、トロロッソ・リウッツィ、メルセデス・ロズベルグ。しかし直後のオー・ルージュで、ベッテルがクビカをオーバーテイク、3位に順位を上げることに成功します。5周目、アロンソが2回目のピットイン。これは雨足が弱まり、そのままインターミディエイトで走り続けることができなくなったためでした。
 12周目、ルノー・ペトロフがロズベルグをオーバーテイク、ロズベルグは路肩にタイヤを落とし、この間にメルセデス・シューマッハーが前に出ます。しかしロズベルグがコースに戻る際シューマッハーと接触、ロズベルグはフロントウイングにダメージを負います。この結果、ハミルトン、バトン、ベッテル、クビカ、ウェバー、マッサ、スーティル、ヒュルケンベルグ、ペトロフ、シューマッハーのオーダーに変わります。
 レース序盤から中盤にかけて、トップのハミルトンが逃げ、バトンがやや離される展開となります。ベッテルもバトンに仕掛けますが、雨用のセッティングが災いしトップスピードが伸びず、オーバーテイクには至りません。そして17周目、ベッテルがアウトから仕掛けますが、バトンの横に並んだ瞬間挙動を乱し、ハーフスピンに陥ります。そしてベッテルのフロンノーズがバトンのサイドポンツーンを貫通、バトンはラジエターを損傷しリタイヤとなります。一方のベッテルは、ピットに戻りノーズを交換することとなり、12位まで順位を落とします。さらに21周目には、このアクシデントの原因を作ったとの判定で、ドライブスルーのペナルティーを課せられ、ベッテルはポイント争いから脱落します。
 レース中盤、16周目から25周目にかけて、各車がピットイン、タイヤを交換していきます。この結果、ハミルトン、クビカ、ウェバー、マッサ、スーティル、シューマッハー、ロズベルグ、小林、アロンソ、ペトロフのオーダーとなります。しかしタイヤを交換したのもつかの間、34周目には再び雨が降り出します。ここでトップ3はステイ、他車はレインタイヤに交換することを選びます。しかし雨量は激しくなり、途中ハミルトンがコースオフ、後続との差がほとんどなくなる事態となります。そして36周目に、ハミルトン、クビカ、ウェバーがほぼ同時にピットイン、ここでウェバーがクビカを逆転、2位に順位を上げます。
 レース終盤、8位を走行していたアロンソが縁石に乗り上げスピン、一度ウォールにヒットした後、バウンドしてコース半分をふさぐ形でストップしてしまいます。これによりアロンソはリタイヤ、またマシン除去のため、今レース2度目のセフティーカーが導入されます。
 リスタートは41周目、ここでロズベルグが小林、シューマッハーとゴボウ抜きし、6位に順位を上げます。一方の小林は、晴れ用のセッティングのため雨の中では踏ん張りが聞かず、続けてシューマッハーにも抜かれてしまいます。これを最後の順位変動として、レースはチェッカーを迎え、ハミルトンが選手権トップに返り咲く今期3勝目を上げ、2位ウェバー、3位クビカのポディウムとなります。以下4位マッサ、5位スーティル、6位ロズベルグ、7位シューマッハー、8位小林、9位ペトロフ、10位トロロッソ・ブエミとなります。
 なおレース後、ブエミにシケインでのショートカットによるタイム加算のペナルティーが課せられ、フォースインディア・リウッツィが10位に繰り上がることとなります。またHRT・山本は20位完走でした。


◇感想

 ハミルトンが優勝し、ウェバーが2位につけた一方、ベッテル、バトン、アロンソがノーポイントに終わり、選手権争いは、ハミルトンとウェバーが一歩抜け出した感があります。特にベッテルは、バトンを”撃墜”したことにより、ウェバーをアシストした形となった上、自身がノーポイントで終わったため、ウェバーとのポイント差が28点に広がってしまいました。ただしレッドブルのチーム代表ホーナーは、選手権の可能性が残っている限り、ウェバーとベッテルを公平に扱うと言っており、また伝統的にマクラーレンはチームオーダーを出さないことで有名なので、ポイントこそ離されておりますが、ハミルトン、ウェバーに次ぐポジションには、実はアロンソがいる可能性があります。
 次戦イタリアでアロンソが優勝するようなことがあれば、2007年のライコネン逆転優勝の再現が、現実味を帯びてくる、かも?(笑)

 それから、小林。来期もザウバーで参戦決定、オメ!!



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