Round.19 アブダビグランプリ
13.Nov.2010 : ヤス・マリーナ・サーキット
周回数 : 55周
◇予選
予選ポールは、レッドブル・ベッテルが獲得し、逆転王座へ最高の滑り出しを見せます。2位には、こちらも逆転王座に望みをつないでいる、マクラーレン・ハミルトンが入ります。3位はフェラーリ・アロンソで、この順位をキープできれば王座決定と、最低限の予選順位を得ることに成功します。4位のマクラーレン・バトンをはさみ、5位はレッドブル・ウェバーで、逆転王座には厳しい予選結果となります。以下6位フェラーリ・マッサ、7位ウィリアムズ・バリチェロ、8位メルセデス・シューマッハー、9位同ロズベルグ、10位ルノー・ペトロフとなります。
なおザウバー・小林は、12位からのスタートとなります。
◇決勝
スタートではレッドブル・ベッテル、マクラーレン・ハミルトンとも順位をキープして、1コーナーに入ります。しかし後方では、マクラーレン・バトンがフェラーリ・アロンソを1コーナー手前で抜き去ります。そしてトップが5コーナーを通過した直後、ウィリアムズ・バリチェロに詰まったメルセデス・シューマッハーが、6コーナーで横から同僚ロズベルグに並ばれ行き場を失います。接触を避けアウト側に逃げたシューマッハーでしたが、そこでダスティーな路面に足をすくわれハーフスピンを喫します。しかし未だ後続車はコーナーを通過中であり、避けきれなかったフォースインディア・リウッツィがシューマッハーに乗り上げる形で衝突してしまいます。このクラッシュにより、セフティーカーが入ります。
このタイミングで、ロズベルグ、ルノー・ペトロフ、トロロッソ・アルグエルスアリ等がピットに入り、タイヤ交換義務を果たします。
5周目、レースが再開され、この時点でのオーダーは、ベッテル、ハミルトン、バトン、アロンソ、ウェバー、フェラーリ・マッサ、バリチェロ、ザウバー・小林、フォースインディア・スーティル、ルノー・クビカのとなります。なおこの周回、クビカがスーティルを11〜13コーナーで抜き、9位に順位を上げます。
レース序盤からトップのベッテルが後続を引き離し始め、これにハミルトンがついて行くも、バトンはやや遅れ、アロンソ、ウェバーが続く展開となります。しかしウェバーはタイヤのグリップ不足に悩み、12周目、早くもピットに入ります。これを見たフェラーリ勢は、14周目にマッサ、16周目にアロンソをピットに入れ、この時点でアロンソ12位、ウェバー13位、マッサ14位となります。一方ハミルトンは24周目、ベッテルは25周目までピットインを遅らせ、それぞれ2位、4位で周回に復帰し、アロンソ、ウェバーと明暗を分けます。この時点でのオーダーは、バトン、ベッテル、クビカ、ハミルトン、小林、スーティル、トロロッソ・ブエミ、ロズベルグ、ウィリアムズ・ヒュルケンベルグ、ペトロフ。アロンソはペトロフに次いで11位、ウェバーは12位となります。
40周目、プライムタイヤで引っ張ったバトンがピット作業を行い、47周目、クビカが上位では最後となるピット作業を行います。この時点で、ベッテル、ハミルトン、バトン、ロズベルグ、クビカ、ペトロフ、アロンソ、ウェバー、アルグエルスアリ、マッサのオーダーとなります。
ベッテル優勝の場合、4位以上がタイトル獲得の条件となるアロンソでしたが、タイヤ交換直後からペトロフを抜きあぐね、そのままの隊列でレース終盤を迎えてしまいます。ラップタイムはアロンソの方が速いものの、ストレートスピードでルノーに劣るフェラーリは、なかなか前に出ることができず、ついにファイナルラップとなります。
こうしてベッテルが、今期5勝目を上げ、2位にハミルトン、3位にバトンとなります。4位にはロズベルグが入り、ここにベッテルのドライバーズタイトルが確定します。以下5位クビカ、6位ペトロフ、7位アロンソ、8位ウェバー、9位アルグエルスアリ、10位マッサとなります。なお小林は14位完走で、4戦連続の入賞はなりませんでした。
◇感想
レッドブルがコンストラクターズ・ドライバーズの両タイトルを獲得し、選手権完全制覇を果たします。個人的な完走では、ドライバーズはウェバーに取らせてあげたかった。若いベッテルに対し、ベテランの域に入っているウェバーは、ひょっとすると(というかおそらく)タイトルの機会はないかもしれませんから。
思うにトルコGPの同士討ち、あれからウェバーは神経質になり、予選・決勝とも速さが失われたように思えます。むろんウェバーはイギリスやハンガリーで優勝していますが、いずれもベッテルがミスやペナルティーを受けて脱落した結果であり、トルコ以降で唯一ポールを獲得したベルギーでも、スタートに失敗する始末。トルコで失った勝利が、あまりに大きかったと残念でなりません。
とはいえ、ベッテルがウェバーを上回る速さを示し続けたのは事実。ここは若き新チャンピオンの誕生に拍手を送りましょう。
そして最後に。14年間、ありがとうございました>ブリヂストン