Round.1 オーストラリアグランプリ
27.Mar.2011 : アルバートパーク・サーキット
周回数 : 58周
◇予選
政情不安定からバーレーングランプリが延期(実質中止)となり、繰り上がりで開幕戦となったオーストラリア。さらに日本をおそった巨大震災に対し、各チームが応援メッセージを掲げて望むという、異例ずくめの開幕戦となりました。
そのような中、予選で別格の速さを見せつけたのはレッドブル・ベッテル。2位以下に0.8秒もの大差をつけてのポールとなります。2位はマクラーレン・ハミルトン、3位はレッドブル・ウェバー、4位はマクラーレン・バトンと、レッドブルとマクラーレンが交互に並ぶグリッドとなります。以下5位フェラーリ・アロンソ、6位ルノー・ペトロフ、7位メルセデス・ロズベルグ、8位フェラーリ・マッサ、9位ザウバー・小林、10位トロロッソ・ブエミとなります。
なおHRT・リウッツィ、同カーティケヤンは、復活した107%ルール(Q1のトップとのタイム比が107%超えた場合、本戦に出場できない)の餌食となり、予選落ちとなります。
◇決勝
スタートでは大きな混乱もなく、各車1コーナーに飛び込みます。しかし派手なクラッシュこそなかったものの、フェラーリ・アロンソが行き場を失いコースアウト、大きく順位を落とした他、メルセデス・シューマッハーとトロロッソ・アルグエルスアリが接触、シューマッハーは右リアタイヤがバースト、アルグエルスアリはフロントウイングにダメージを負い、早くもピットインする羽目となります。
こうしてオープニングラップは、レッドブル・ベッテル、マクラーレン・ハミルトン、レッドブル・ウェバー、ルノー・ペトロフ、フェラーリ・マッサ、マクラーレン・バトン、メルセデス・ロズベルグ、ザウバー・小林、フェラーリ・アロンソ、フォースインディア・ディ・レスタとなります。
2周目、アロンソはストレートで小林をオーバーテイク、8位に順位を上げます。さらにアロンソは、6周目にロズベルグをかわし、7位まで順位を回復します。
12周目、それまでマッサを抜きあぐねていたバトンが、ターン11で仕掛けます。しかしマッサも譲る訳がなく、バトンはシケインをショートカットする形でマッサの前に出ます。ここですかさず動いたのはアロンソで、マッサの前に出ることに成功します。これで困ったのはバトン。シケインをショートカットしたため、バトンはマッサに順位を返さなければいけません。しかしマッサを前に出すと言うことは、必然的にアロンソを前に出さなくてはいけない。そうこうしているうちに、マッサがピットに入り、順位を返すことが不可能となります。こうして18周目、バトンはドライブスルー・ペナルティーを受け、大きく順位を落とします。
12周目にウェバーのピットインに始まった1回目のタイヤ交換、25周目のザウバー・ペレスの交換で一応の終わりとなります。しかし今年からピレリタイヤに変わったことから、タイヤの交換回数は手探り状態となります。そのため27周目には早くもウェバーが2回目のタイヤ交換を行い、アロンソ、マッサ等が続きます。一方トップのベッテル、2位ハミルトン、3位ペトロフは、やや遅れる37周目にピットイン、ここに2回交換のベッテル、ハミルトン、ペトロフ、3回交換のウェバー、アロンソ、マッサという図式が見えてきます。42周目、ウェバーが3回目のピットストップを行います。しかし右フロントタイヤの交換に手間取り、大きくタイムをロスしてしまいます。そうして43周目にピットに入ったアロンソがウェバーを逆転することに成功します。
49周目にマッサが最後のピットインを済ませ、この時点でのオーダーは、ベッテル、ハミルトン、ペトロフ、アロンソ、ウェバー、バトン、ペレス、小林、ブエミ、マッサとなります。
こうしてベッテルが優勝し、2位にはハミルトン、3位にはペトロフが入り、初の表彰台となります。以下4位アロンソ、5位ウェバー、6位バトンと続き、7位には唯一1ストップ作戦をとったペレスが入り、8位には小林が入ります。9位は55周目にブエミをかわしたマッサが入り、10位はブエミという結果となります。
なおレース後、リアウイングの規定違反により、ペレスと小林が失格となり、フォースインディア・スーティルが9位、同ディ・レスタが10位に繰り上がります。
◇感想
オーバーテイクを増やすため導入されたKERS(運動エネルギー回生システム)とDRS(可変リアウイング)。DRSはギミックとしては面白いのだけど、結局上位でDRSによる順位変動はなし。タイヤ交換とその戦略で順位が決まるというのは、変わらないようです。
さてその中、全く安泰とも言えるレース運びで優勝を果たしたベッテル。昨年は取りこぼしレースが多かったため、最終戦までタイトルがもつれ込みましたが、今年は一転、開幕戦からきっかり25ポイントを取ってきました。これは昨年以上に手強い気がします。
最後に、震災に苦しむ日本のために、メッセージを車体に掲げてくれたF1チームに、ヘルメットに綴ってくれたドライバーに、そして「がんばろう、日本」の応援ボードでドライバー撮影を行ってくれたFIAに、心からの感謝をこめて、ありがとう。