Round.2 マレーシアグランプリ
10.Apr.2011 : セパン・インターナショナル・サーキット
周回数 : 56周
◇予選
予選ポールは、2戦連続となるレッドブル・ベッテル、そして2位マクラーレン・ハミルトン、3位レッドブル・ウェバー、4位マクラーレン・バトン、5位フェラーリ・アロンソまで、開幕戦と同じ順位となります。以下6位ルノー・ハイドフェルド、7位フェラーリ・マッサ、8位ルノー・ペトロフ、9位メルセデス・ロズベルグ、10位ザウバー・小林となります。
なお前戦107%ルールにより本戦に出場できなかったHRTのリウッツィとカーティケヤンは、それぞれトップタイムの104.966%、106.026%と107%をクリア、本戦出場を決めました。
◇決勝
スタートではレッドブル・ウェバーとフェラーリ・アロンソが遅れ、一方ルノー・ハイドフェルド、同ペトロフは順位を上げることに成功します。特にハイドフェルドは、トップの2台、レッドブル・ベッテルとマクラーレン・ハミルトンが互いを牽制しラインを変える中、1コーナーアウトから一気にハミルトンに並び、続く2コーナーでインを奪いオーバーテイクすることに成功します。こうしてオープニングラップは、ベッテル、ハイドフェルド、ハミルトン、マクラーレン・バトン、ペトロフ、フェラーリ・マッサ、アロンソ、メルセデス・シューマッハー、ウェバー、ザウバー・小林となります。
レース序盤は、ウェバーと小林が抜きつ抜かれつの接戦を演じます。2周目の14コーナー、まず小林がウェバーをパスします。しかし続くバックストレートでは、今度はウェバーがマシンのポテンシャルの差を見せつけ、小林をオーバーテイクします。しかし続くストレートエンドで、再び小林がウェバーの前に出ます。一方ウェバーも、格下のマシン相手に後塵を拝すことを許すこともなく、7周目の14コーナーで再び小林の前に出ます。しかしここは小林が冷静に対処し、バックストレートでKERSの力を使ってウェバーに追走し、続くホームストレートでDRSを使用、ウェバーを三たび抜き去ります。これでタイヤの摩耗が激しくなったウェバーは、各車の先頭を切って、11周目にピットに入ることとなります。 続いて小林は、13周目にシューマッハーを抜き、また各車のピットインも手伝って、3位にまで順位を上げたところで、18周目にピットに入ります。
小林のピットインにより、上位各車は1回目のピット作業を終え、この時点でのオーダーは、ベッテル、ハミルトン、アロンソ、バトン、ハイドフェルド、ウェバー、マッサ、ペトロフ、フォースインディア・ディ・レスタ、シューマッハーとなり、小林は11位となります。
しかし隊列が落ち着いたのもつかの間、23周目にはウェバーが2回目のピットインを行い、再び順位はシャッフルされていきます。24周目、小林の後ろでコースに復帰していたウェバーが、小林をオーバーテイク、続く25周目にはシューマッハーもパスして、順位を8位まで回復させます。28周目、小林が1コーナーインからシューマッハーに仕掛けます。ここではシューマッハーがインに寄せてブロックしたため、小林はクロスラインをとって続く2コーナーでインを奪いサイドバイサイドに、そして3コーナーインでシューマッハーの頭を抑え、見事にオーバーテイクします。この後シューマッハーはピットに入り、小林とのバトルは小休止となります。37周目、小林が2回目のピットストップを行いますが、ロングランの影響でタイムが落ちたため、三たびシューマッハーの後ろでの周回復帰となってしまいます。しかし43周目、シューマッハーがコースオフし、その間に小林がシューマッハーの前に出ることに成功します。
レース終盤の44周目、それまで5位を走っていたペトロフが、ハイドフェルド、マッサに相次いで抜かれてしまいます。これはタイヤがタレたのが原因で、そのためペトロフは45周目に緊急ピットインすることとなります。46周目アロンソがハミルトンに接触、アロンソはフロント翼端板を破損し、47周目にピットに入ることになります。この時点でオーダーは、ベッテル、バトン、ハミルトン、ハイドフェルド、マッサ、ウェバー、アロンソ、小林、ペトロフ、ディ・レスタとなります。しかしレースはまだ落ち着きません。49周目、ニュータイヤに履き替えたペトロフが小林を攻略、また50周目にはウェバーがマッサを、52周目にはハイドフェルドがハミルトンを、それぞれパスします。この時点でハミルトンのタイヤは限界で、直後にコースオフを演じます。これで労せずしてウェバーが前に出ることに成功します。さらにハミルトンは52周目にピットに入り、7位まで順位を落とします。54周目、ニュータイヤで追い上げを見せていたペトロフがコースオフ、ランオフエリアからコースに戻る際、縁石で激しくバウンドしそのままコントロールを失い看板に接触、そのままリタイヤとなります(規定周回数をクリアしているため完走扱い)。これを最後のアクシデントとして、レースはチェッカーを迎えます。
こうしてベッテルが開幕二連勝を挙げ、2位バトン、3位ハイドフェルドのポディウムとなります。以下4位ウェバー、5位マッサ、6位アロンソ、7位ハミルトン、8位小林、9位シューマッハー、10位ディ・レスタの結果となります。
なおレース後、ハミルトンに対する接触によりアロンソに、アロンソに対する走路妨害(複数回にわたるブロックのためのコース変更)によりハミルトンに、それぞれ20秒加算のペナルティーが下されます。これにより7位小林、8位ハミルトンの最終結果となります。
◇感想
レビューが長くなってしまいましたが、これはKERS+DRSによる順位変動の多さと、ピレリタイヤの摩耗に関するピットストップの多さが原因です。小林がコースでシューマッハーを抜くこと3回、しかしながらタイヤ交換でシューマッハーに先行を許すこと3回、これがすべてを物語っています。
さてレースの方はベッテルが2連勝で、最高のスタートを切ったといえます。しかしレッドブルチームとしては、ウェバーがかろうじて4位に入ったものの、なかなか1-2フィニッシュと行かず、歯がゆいところでしょうか。ルノーは前戦はペトロフが、今回はハイドフェルドが連続で3位を獲得し、実力の一端を見せつけました。2台そろってのポイントがないぶんフェラーリにポイントを先行されていますが、速さではフェラーリを上回っており、今後のレース展開が楽しみとなりました。